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【長編現代和風ファンタジー】神社の娘

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「俺も悪神倒しの仲間にいれてください!」 日本のどこにあるのか分からない不思議なとある村。 刺激のない平凡な日々を過ごしていた高校生の橘平は、雪の夜、森の近くで村の神社の跡取り…
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#創作大賞2024

【小説】神社の娘(第36話 身一つで立つ場所)

 橘平は午前中、ゆるーく陸上部の練習があった。  それを終えてスマホを見ると、向日葵から…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第33話 大人気ロボットアニメ鑑賞会-第一期)

『ありがとう』 「何が?」 『森の扉の絵、描き始めてくれて』 「ああ、うん」 『君のおかげだ…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第30話 君のおかげだ-バケモノ対策課、ヒグマ退治休日出勤編)

 東北地区の山に、まばゆく青白い閃光がとどろく。  「橘平君のおかげだ」  葵が穏やかな笑…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第23話 橘平と桜、美味しい唐揚げを作る)

 橘平は日曜の朝から、桜、向日葵とともに、村唯一の食品スーパー「だいこく」にやってきてい…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第22話 橘平、桜の暗い一面を知り、桜、橘平の切ない一面を知る…

 剣術の稽古が行われるのは、中高合同で使う剣道場だという。  夕方の部活動の後、剣術の会…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第21話 橘平、遊びの約束をする)

「手のひらは上に向けて」 「は、はい」 「腰落として腰落として。『七減三加』って言ってね。…

坂東さしま
2か月前

【小説】神社の娘(第20話 葵、橘平を大いに利用し、橘平、友達の話をする)

「冷静冷静、いつも通りいつも通り、笑顔笑顔、デカい声デカい声…」  向日葵は通勤中の車内で呪文のように唱えていた。眉間に皺寄せ、苦い顔。呪いをかけているようだ。  土曜日、葵に抱き寄せられてしまった向日葵。職場の前の席に座る彼に、おかしな態度を取らないよう自分を落ち着けるのに必死だった。無視はお互いに利益のないことだった。今回は「いつも通り」を演じようと昨日の就寝前に決めたのだ。といっても、就寝は全くできず朝まで考え続けてしまったのであるが。 「主演女優賞、助演女優賞…」

【小説】神社の娘(第19話 橘平、友達をとられる)

 橘平は祖父から渡された物を前にして、腕を組んだ。  史料というのか、古文書というのか。…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第18話 橘平、祖父から贈り物を受け取る)

「じいちゃん、おはよう」 「おはよう」  祖父の寛平は自室で趣味のプラモデル作りをしてい…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第17話 葵、勇気を出す)

『ひまちゃん?あのさ、妖物出たから。俺の感覚だとそんな強くなさそうだから。パートナー葵く…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第16話 橘平、名前を尋ねる)

 風のように去った二人を見送り、橘平は家に戻った。  居間では桜が手寧に紅茶を飲んでいた…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第15話 橘平、自分を殴りたくなる)

 明日は土曜日。3人が八神家にまたやってくる。  橘平は学校の帰り、村唯一のコンビニに立…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第14話 桜、橘平と話したくなる)

 野生動物対策課の会議で報告された話は、一宮家、つまりお伝え様の家でも話題になっており、…

坂東さしま
2か月前
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【小説】神社の娘(第13話 向日葵と葵、虎に遭遇する)

 村の周りに出現するバケモノ「妖物」。  妖物は人間の知る動物の形をしているが、どこか異常な特徴を持っている。耳がないとか、鼻がないとか、足が異常に太いとか…。  「なゐ」が封印される以前、妖物たちは全国さまざまな場所に現れ、土地や山を荒らし、人間や動物を殺していた。  見るも無残なこの世の惨状に、神は人に特殊な力を与えた。それが有術。力を得た人間たちは一丸となり、妖物と対峙した。  しかし一宮家の先祖により「なゐ」がこの村に封印されると、妖物はこの村以外から姿を消した。村に