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【長編現代和風ファンタジー】神社の娘

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「俺も悪神倒しの仲間にいれてください!」 日本のどこにあるのか分からない不思議なとある村。 刺激のない平凡な日々を過ごしていた高校生の橘平は、雪の夜、森の近くで村の神社の跡取り…
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#創作大賞2024

【小説】神社の娘(第41話 妨害と桜)

●第4章 妨害と桜  ざっ、ざっ、ざっ。  早朝から、お伝え様の広い境内に竹ぼうきの音が…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第38話 2回目のゲロも君が受け止めてくれたんだ…)

「本当にごめんなさい本当にごめんなさい本当にごめんなさい本当に…」 「いやもういいから、…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第36話 身一つで立つ場所)

 橘平は午前中、ゆるーく陸上部の練習があった。  それを終えてスマホを見ると、向日葵から…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第33話 大人気ロボットアニメ鑑賞会-第一期)

『ありがとう』 「何が?」 『森の扉の絵、描き始めてくれて』 「ああ、うん」 『君のおかげだ…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第30話 君のおかげだ-バケモノ対策課、ヒグマ退治休日出勤編)

 東北地区の山に、まばゆく青白い閃光がとどろく。  「橘平君のおかげだ」  葵が穏やかな笑…

坂東さしま
1か月前
2

【小説】神社の娘(第26話 唐揚げからカツカレーに変更ーバケモノ対策課、秋田犬退…

 今日は朝から妖物だらけである。  感知器課長は続々と感知してしまう妖物センサーに辟易し…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第22話 スパイデート-やっぱり自分の話じゃないか君)

●第3章 冷然な桜  剣術の稽古が行われるのは学校にある剣道場だった。  夕方の部活動の後、剣術の会があったとは橘平は、いや関係者以外はほとんど知らないだろう。昨日の躰道は、地域貢献として広く一般に公開しつつ、実のところは有術を使える子や大人たちの訓練をしているというが、こちらは完全に有術が使える家の子と大人たちのみだという。  橘平と桜は稽古が始まった時間、つまり参加者がみな剣道場に入ったころを見計らって校庭に侵入する。  ドレスコードは黒い服。橘平は黒いスウェット

【小説】神社の娘(第21話 橘平、遊びの約束をする)

「手のひらは上に向けて」 「は、はい」 「腰落として腰落として。『七減三加』って言ってね。…

坂東さしま
1か月前

【小説】神社の娘(第20話 葵、橘平を大いに利用し、橘平、友達の話をする)

「冷静冷静、いつも通りいつも通り、笑顔笑顔、デカい声デカい声…」  向日葵は通勤中の車内…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第19話 橘平、友達をとられる)

 橘平は祖父から渡された物を前にして、腕を組んだ。  史料というのか、古文書というのか。…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第18話 橘平、祖父から贈り物を受け取る)

「じいちゃん、おはよう」 「おはよう」  祖父の寛平は自室で趣味のプラモデル作りをしてい…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第17話 葵、勇気を出す)

『ひまちゃん?あのさ、妖物出たから。俺の感覚だとそんな強くなさそうだから。パートナー葵く…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第16話 橘平、名前を尋ねる)

 風のように去った二人を見送り、橘平は家に戻った。  居間では桜が手寧に紅茶を飲んでいた…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第15話 橘平、自分を殴りたくなる)

 明日は土曜日。3人が八神家にまたやってくる。  橘平は学校の帰り、村唯一のコンビニに立ち寄った。明日のおやつとお茶を買うためである。  これまで、友達が遊びに来ても家にあるお菓子や飲み物で済ませていたし、母に事前に話せば買っておいてもらえた。けれど、今回は自分で用意したかった。  まず、お菓子売り場に足を運んだ。自分の好きなお菓子に手を伸ばすところ、今日は3人の顔を思い浮かべながら買い物をする。  桜は一口サイズのチョコレートが似合う。  向日葵はなんでも喜んで食べそう。