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【長編現代和風ファンタジー】神社の娘

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「俺も悪神倒しの仲間にいれてください!」 日本のどこにあるのか分からない不思議なとある村。 刺激のない平凡な日々を過ごしていた高校生の橘平は、雪の夜、森の近くで村の神社の跡取り…
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#ファンタジー小説部門

【小説】神社の娘(第41話 妨害と桜)

●第4章 妨害と桜  ざっ、ざっ、ざっ。  早朝から、お伝え様の広い境内に竹ぼうきの音が…

坂東さしま
3週間前
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【小説】神社の娘(第38話 2回目のゲロも君が受け止めてくれたんだ…)

「本当にごめんなさい本当にごめんなさい本当にごめんなさい本当に…」 「いやもういいから、…

坂東さしま
4週間前
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【小説】神社の娘(第36話 身一つで立つ場所)

 橘平は午前中、ゆるーく陸上部の練習があった。  それを終えてスマホを見ると、向日葵から…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第34話 毎年恒例タケノコ大発掘会)

 役場の裏の竹林を会場に、毎年春になると「タケノコ大発掘会」が開催されることは既出の通り…

坂東さしま
1か月前

【小説】神社の娘(第33話 大人気ロボットアニメ鑑賞会-第一期)

『ありがとう』 「何が?」 『森の扉の絵、描き始めてくれて』 「ああ、うん」 『君のおかげだ…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第30話 君のおかげだ-バケモノ対策課、ヒグマ退治休日出勤編)

 東北地区の山に、まばゆく青白い閃光がとどろく。  「橘平君のおかげだ」  葵が穏やかな笑…

坂東さしま
1か月前
2

【小説】神社の娘(第26話 唐揚げからカツカレーに変更ーバケモノ対策課、秋田犬退治編)

 今日は朝から妖物だらけである。  感知器課長は続々と感知してしまう妖物センサーに辟易している。彼によると、一回の感知で唐揚げ定食1食分のカロリーを消費している感覚だという。今日は何食消費したか。感知するごとに、部下たちに連絡し、もう今日は本当に足りないわ、と隣の課に応援を要請する。  これまで、妖物駆除は1日に一件くらいのものだった。これが毎日になったらと考えると、たまったものではない。土日は退職した感知能力者、自身の父親に依頼して休めたが、平日はフル稼働だ。夜に現れな

【小説】神社の娘(第22話 スパイデート-やっぱり自分の話じゃないか君)

●第3章 冷然な桜  剣術の稽古が行われるのは学校にある剣道場だった。  夕方の部活動の…

坂東さしま
1か月前
2

【小説】神社の娘(第19話 読めるメガネたち)

 古い本。史料というのか、古文書というのか。  橘平は祖父から渡された物を前にして、腕を…

坂東さしま
1か月前
1

【小説】神社の娘(第13話 バケモノ対策課、トラ退治編)

 村役場の環境部野生動物対策課では、朝一に会議が行われていた。  議題は「妖物の強力・凶…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第11話 友達の桜)

 我が家が近づくにつれ、心臓の鼓動が大きく、速くなっていく。  ピンクのデコ軽に乗って八…

坂東さしま
1か月前
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【小説】神社の娘(第10話 向日葵、もっと絶対しないことをする)

 古民家にたどり着いた時には、すでに日付は変わっていた。  橘平は玄関を跨いだ途端、心身…

坂東さしま
1か月前
2

【小説】神社の娘(第8話 向日葵と葵、バケモノを倒す)

 楽しいバイクの時間はあっという間だった。  森の南口、つまり森の入口付近に到着し、バイ…

坂東さしま
1か月前

【小説】神社の娘(第7話 橘平、嘘をつく)

「じゃあ、マジでこ、今夜。こんや?コンヤ?本日の夜??ええ、親になんて言えば」  周囲に大きな言い訳や嘘をついてこなかった橘平。「仲間に入れてください」などと宣った時とは別人のように、手を首に当てて掻いたり、頬をむにむにつかんだり、立ち上がっては座ったりと落ち着きがない。 「八神さん、ご無理は」 「無理じゃないです!行く!ちょっと、親に電話してきます」  橘平はダウンコートを掴み、ばたばたと部屋を出ていった。 「ちょろっと、テキトーなウソつけばいいだけなのに。ずいぶん