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【小説】神社の娘(第10話 向日葵、もっと絶対しないことをする)

 古民家にたどり着いた時には、すでに日付は変わっていた。

 橘平は玄関を跨いだ途端、心身の疲れが一気に吹き出した。体を支えられない。このまま倒れてしまいたかった。

 しかし、ここでばったりして迷惑をかけるわけにはいかない。必死に気力を振り絞り、ソファに辿り着いた。

 3人も疲労困憊のはずだが、葵は風呂の準備に、向日葵はお茶を淹れに、桜は皆の上着を回収して埃を払っている。一番年下の橘平だけ何もせずに、どっかり座っている。部活ならば先輩たちから叱責もの。明日からいじめだ。

「さ、桜さん、俺何かやること」

「え?じゃあこれをハンガーにかけて」

「うん」

 ほどなくして葵がスウェットを手に戻り、向日葵がお茶を持って居間にやってきた。

 そしてほうじ茶を飲んでまったりしているうちに風呂が沸く。まず桜と向日葵、そして葵、最後に「自分年下なんで」と橘平が入ることになった。

「葵とはいれば?時短」

「ふええ?い、いや出会ったばかりの二枚目とはちょっと…」

「…男二人も入れるわけないだろ、あの風呂」

 桜、向日葵とは打ち解けてきた橘平。だが最後の一人とは、まだ緊張する関係にある。そんな彼と至近距離になる家庭用の湯舟というのは、遠慮したかった。

 古民家の風呂はなるほど、葵の言うとおり、男子二人には狭かった。桜と向日葵なら、親子サイズということで入れそうだ。

 ゆっくりと、温かい湯船に浸かる。気持ちが緩み、体も少し楽になった。

「はあ…ほっとするって、こういう事かあ…」と、一つ知ったのであった。

 今日一日の体と疲労という汚れを落とし、橘平は風呂を出た。

 桜と向日葵はしっかりお泊りセットを持ってきていたけれど、橘平が持ってきているはずもない。バケモノを倒して葵の家にお泊まりだなんて、家を出たときには露ほども考えていなかったのだから。

 そういういわけで、寝間着として葵の黒いスウェットの上下を貸してもらった。

 スウェットを手にすると、知らない匂いがした。

 早速、上の方に袖を通すと、手のひらが隠れてしまった。

「わーい、やっぱり大きい…はは…」

 ズボンも履く。

 裾が床に付いてしまった。


◇◇◇◇◇


 橘平がほかほかした体で居間に戻ると、3人は神経衰弱に興じていた。

「なぜトランプ」

 疲れ目にはチカチカする、派手なレインボーパジャマの向日葵が答える。

「きっちゃんが来るまで眠らないように、眠気覚ましにね!あ、ちょっとおいで」

 向日葵は少年を手招きする。そして手のひらが半分隠れているスウェットの袖を掴み、「やっぱちょい大きいね~」とまくった。「でもー、きーちゃんオーバーサイズなのかわいい~」

「うう。もう身長伸びないよなあ。親もそんなに大きくないし」

「高校生だからまだまだいけるっしょ。あら、ズボンもだ。はい座って~」

 言われるままに橘平はカーペットの上に座った。家では長男、弟や親戚の子供の面倒ばかり任されてきたので、弟扱いをされるのがちょっと嬉しかったりする。向日葵は橘平のズボンの裾もまくってあげた。

「ってかさ、そんなに大きくなんないでよ。いつまでも私の弟分でいてほしい~」

「えー!せめて向日葵さんくらい身長ほしいっす。葵さんとは言わないから」

「別に、背が高いからっていいことないぞ」とモスグリーンのスウェットを着た葵。

「それは高身長の人だからいえることだよね」

 淡い桃色のシンプルな綿パジャマでトランプを置く桜がつっこんだ。


◇◇◇◇◇


 橘平が風呂から出てきたということで神経衰弱はお開きにし、4人は葵が普段寝起きしている部屋へ向かった。

 葵の部屋は「何もない」という形容がぴったりなほど簡素だった。

 部屋の奥には桜が言っていた日本刀。その他には古めかしい大きめの鏡台があり、和柄の布が鏡の部分にかけられている。それだけだった。

 押入れには、下に洋服ケース、上に布団が三組入っていた。布団の内訳は元々あったものが2組、葵が実家から持ってきたものが1組だという。

 みなで布団を敷き始める。そこで橘平は疑問を持った。

 布団三組で4人寝るのか、と。

 桜と橘平のような小柄4人というならば十分そうだ。だが向日葵も葵も細身とはいえ、あれだけの戦闘ができる体を持つ人間。特に葵は意外とがっしりしている。加えて2人とも背が高い。

 女性二人に一組ずつで残りの一組を橘平と葵。

 それかお風呂の時のように女性二人で一つ、男子陣が一組ずつ。

 もしくは三組つなげてぎゅっとして眠るのか。

 葵とは一つの布団で眠るほどの仲ではない。女子二人に1つの布団で眠れというのも気が引ける。ならばまだ三組つなげて、のほうがいろいろと気まずくなさそうだ。橘平がそう考えながら敷かれた布団を眺めていると。

「狭くてすまんが、ここで寝てくれ」

 葵は薄手の掛け布団を手に、部屋を出ていこうとした。

「え、葵さんは?」

「居間で寝るよ」

「え!?いや、俺があっち行きますよ!一番邪魔者、っつーか、本当はいないはずの人間なんで!」

「客を居間で寝かせるわけにいかないだろう」

「もしやソファに寝るんすか?あんな小さなソファ、葵さんじゃはみ出しますって。俺の方が小さいから」

「そ、それを言ったら私の方がもっと小さい!私があっちで」

「ここに住んでるのは俺だ。高校生はここで寝ろ!」

 日本刀のように高校生二人の言い分をばっさり切り、葵は部屋を出ていった。

「まあ、お言葉に甘えて、私らはここでゆーっくり休もっか」

 部屋内で唯一の大人が、高校生たちを寝床に誘う。

「私真ん中!こっちがさくちゃん、こっちがきーちゃんね!」

 向日葵は布団をばんばん叩き、二人に寝なさいと促す。

 本当に葵が居間でいいのだろうか。二人が躊躇していると向日葵がぐいっと二人の腕をひっぱり、無理矢理布団の上に座らせた。

 向日葵はにこにこした顔で桜の手を握る。

「わー、さっちゃんと寝るなんていつぶりかなあ~わくわくしちゃう!」

 つられて桜も笑顔になった。昔を思い出しながら布団に入り「子供の頃さ、夏休みにひま姉さんとよくお昼寝したよね。私、あの時間大好きだったの」

「私も私も!ねー、きっぺーちゃんも、そーいう思い…」

 すでに橘平は夢の世界へと旅立っていた。座らせた時には限界だったのか、掛布団の上でくの字になっている。

「さっちゃん、きっぺー…こっちも寝たわ」

 すーっと寝息をたて、安心そうに眠る桜。妹のような、守るべき子供のような。向日葵にとってそんな存在の女の子の髪を、いとおしそうに撫でる。

 橘平を布団にいれてあげた向日葵は、そっと寝室を出た。

 向日葵が居間を覗くと、潔く3人に寝床を譲った青年が薄い布団をかけ、カーペットの上で横になっていた。

 椅子とテーブルを部屋の端に寄せて、寝る場所を確保したようだ。こちらも熟睡だ。

 向日葵はしゃがんで、彼の寝顔を眺めた。

「…風邪ひかないでね」

 そっと冷たい頬に触れた。

 葵に触れる。

 これこそ、今までの彼女なら絶対にしない行動だった。

◇◇◇◇◇

 非日常から一夜明けた。

 橘平は起床した瞬間から、吐きそうなほど頭を悩ませていた。桜からあの話を聞かされた時よりだ。

「今日三人が家に来るんだよぉ…親になんて言えばいいんだ…」

 半分に割れた神社には、八神のお守りの模様が描かれていた。ヒントは八神家にありそうだ。行くしかない。

 それは橘平にも十分理解できるのだが、今まで同年代の友人しか遊びに来たことがないのに突然、年上二人がくる。同年代の見知らぬ女子も来る。

「今日出かけてたりしないかな…いやー、今日はでかけないよーわぁー」

 学校や祭り、親戚づきあい、地域の集まり。

 年齢の異なる人たちと交流する機会はもちろんあるが、家に来るほどとなると同年代のみ。村唯一の金髪と美青年、それと小動物系女子という、これまでの友人たちにいないタイプばかりだ。家族が不思議がっていろいろ質問してきたら…取り繕えるのだろうか。

「ただいまー!!」

 橘平以外の三人は、早朝からバイクの回収に向かった。向日葵が車を出し、他二人がバイクで帰ってくる、という形だ。

 一足先に桜と葵が、そのあと向日葵が帰宅。向日葵はすぐに朝ご飯を作り始めた。

 良い香りが家中を漂っている。「絶対美味しいやつ」なのに、橘平は楽しみにできなかった。朝ご飯を一日の始まりとして何より大事している少年であるのに。

 今日、3人が八神家に来る。

 それに思考は支配され、橘平の五感は消失していた。美味しい朝ごはんなのに、感動できず無表情で黙々と食べる。

「どしたの、きっちゃん?具合悪いかな?」

「え?元気…ですよ?」

「ならいいんだけど。じゃあご飯不味いかな?」

「なんで!?うまいです」

「怖い顔で食べてるから…お口に合わないのかと」

 そう言われて初めて橘平は、この場に相応しくない様子で朝食を食べていることに気が付いた。

 あわてて、向日葵の朝食を褒める。

「め…目玉焼きさいこーっす!黄金比!調味料なくてもうまい!」

 と、目玉焼きと米を一緒に食べ、飲み込む。

「この味噌汁だって…みそ…み…みそしる?」

 昨夜の夕食は、すべてのメニューが今まで食べた中でも一番の味だった。

 もちろん味噌汁もだ。

 しかし昨夜の味噌汁がしぼりたての牧場牛乳だとすれば、今朝の味噌汁は消費期限が1か月切れた腐敗乳だった。

「やっぱ微妙?」

「うおお、そ、そんな…そんな…」

 この味の落差はおかしい。向日葵こそ昨日の疲れが出ているのかもしれないと、橘平は心配になった。

「…向日葵さんこそ具合悪いんじゃないんですか?味覚を失うほど」

「…俺だよ作ったの…」

 腐敗乳の作者は葵だった。

「残していい…ごめんな」

 彼女より先に帰宅した葵は、気を利かせたつもりで「味噌汁でも」と作ったのであった。

 葵が作るとは予想もしていなかった橘平は、固まってしまった。しかも微妙。美味いか不味いでいえば、不味い。

 が、すぐに頭を切り替え、味噌汁を一気に流し込んだ。

「おい、橘平君!?」

「葵さんの作った味噌汁飲んだら背が伸びるかなって!!思いました!!」

 この行動に向日葵は爆笑し、桜も声をあげて笑った。葵は恥ずかしさを隠すために無言で食べ続けた。

◇◇◇◇◇ 

 朝食後、橘平は改めて三人に確認した。

「今日、まじで、うち、来ますよね?」

 葵は味噌汁の恥ずかしさがまだ抜けないのか、少し強い語調で彼に当たる。

「当たり前だろ。ほかに手掛かりがないんだから」

 それぴりっと感じた橘平は、なるべく葵を刺激しないように話を続けた。

「あれっすよね、ベタに蔵とか物置とか探索しますよ、ね?」

「ご迷惑おかけします、橘平さん」

「お、親になんてせつめーすればいいと思います?三人のこと」

「マジメだなあ、きっぺーも。適当にその辺で仲良くなったでいいでしょーよ」

 何度も言うけど、あなたのキャラなら許されるでしょうよ!

 橘平は心の中で強い突っ込みをいれつつ、「めっちゃ仲良し感だせば怪しまれないか?」とも考えた。いつどこで仲良くなったことにしよう、と設定を考え始めたころ、葵が質問した。

「優真君の家ってどこ地区?山の近く?」

「え?ああ、はい。大四家なんで東っす。その奥のほう。山近いです」

「じゃあ、俺らが優真君ちの近くの山で害獣駆除していた。たまたまそこへ遊びに来ていた橘平君たちが…」

 向日葵がテーブルに体を乗りだす。

「クマはクマ」

「そうだな。熊に襲われていた。で、俺らが助けて」

「ありがとうございます!ぜひお礼にウチにきてくださーい!って感じできーくんチにきちゃった!」

「って感じでどうだ?」

「ああ、なるほど熊に襲われてお礼に…は?」

 いきなり何を言い出すんだこの人たちはと、橘平は二人を凝視した。そんな言い訳が通るのだろうか。

「く、くま?ご、ごまかせるか…?」

 乾いてぼろぼろになりそうなほど開いた眼で逡巡する少年の姿に、あくまでも冷静に葵は答えた。

「覚えてるか。動物の形なんかをしたバケモノを退治してるって話」

「え?ああ、はい、有術の話の…」

「そういう類だけじゃなく、一般的な害獣駆除、例えば畑を荒らす野生動物とかだな。実際、それの対処もしてるんだよ、俺と向日葵は」

「そそそ、だからフツーの話なワケ」

 橘平たちが山に遊びへ行くことは、子供の頃に比べれば減った。けれど、無いわけではない。

 しっくりくる言い訳も考え付かなかったので、橘平は「じゃあ、そう言い訳します」と当たって砕けてみることにした。

 葵が新聞を開く。

「てかさ、きー君、八神幸次さんの息子っしょ?役場の。福祉課課長の」

「え?ああ、はい」

「じゃあなおさら、私らに理解あるからOKだわ。ラッキー」

「ひま姉さん、橘平さんのお父様と知り合いなの?」

「あれ、言ってなかったっけ?私ら、きっぺーのお父さんと同じ職場だよ~」

 その一言に、橘平の脳内から昨夜の出来事が吹き飛んだ。 

「へーそうなんだ。あ、お茶淹れてくるね」

 まさかこの二人が、父と同じ職場。橘平は衝撃を受けた。

「え、ちょ、お二人は村役場の方なんすか?」

 桜が立って空席になった少年の隣に、向日葵が座る。

「そうそう!あのおんぼろ役所で働いてまーす」

 橘平には全く想像ができなかった。

 日本刀の君がシャツとスラックスで村役場にいる姿。

「葵さん、俺が知ってる役場の人じゃない。かっこよすぎる」

「なんだそれ」

 保守的な職場で村唯一の金髪がデスクワークをしている姿。

「髪染めろって言われないんすか?」

「言われたよ~無理矢理染めようとしてくる奴いたけど倒した。最近はもうみんな諦めてくれたからOK」

 村ではある意味目立つ二人が村役場で働いている。

 二人が社会人なのは分かっていた橘平だが、どんな仕事なのか考えもしなかった。

 まさか橘平の父と同じ村役場。本当にイナカの世間は狭いな、狭すぎるな、と橘平の脳内はちかちかしてきた。

「バケモン、役場では妖物って呼んでるんだけどね」

 桜が緑茶の入った湯呑を各人の前に置く。

「そのほか畑を荒らす野生動物などなど。私らは村役場の害獣駆除班なのさ」

「二人だけでバケモン退治してるんですか?」

「ううん。有術使えんのって、私らだけじゃなくて、うちらの親戚筋は使えっからね。全員じゃないし、能力の大小、使い道はそれぞれ違うけど。まあそいつらで固まってる部署があるの」

「野生動物対策課」

 葵は新聞を読みながらも一応話を聞いているようで、言葉をはさむ。

「そーいう名前のね。ってかさ、親戚しかいないから超つまんない!家かよ!出会いがないのマジで~お嫁にいけないよ~イイ人紹介して~」

 言いながら橘平の腕に自身の腕をからませて、向日葵は話を続ける。

「きっぺーパパと課は違うけどさ、ちっちゃい職場だからよく顔合わせるの。優しい人だよね」

 ふわりと、向日葵からも「優しい」香りがした。橘平は朝、向日葵が洗面所でフローラルな匂いのヘアスプレーを付けていたのを思い出した。

「私の髪の色、とやかく言わないオジサンってきっぺーパパだけだよ!」

「へー、そうなんすか」

 父親が職場でどんな人か。橘平は興味を持ったことも考えたこともなかったが、第三者から「優しい人」だと聞くと、意外とうれしかった。

 役場では、有術や妖物については二人が所属する部署の人間、つまりその親戚筋のみが知っている。

 橘平の父を含めほかの職員たちは、そういう能力が昔の人にはあって今も受け継がれていること、現代でも妖の類がいることなどは全く知らない。そして、部外者にはその存在すら知らせてはならないことになっていると向日葵は説明する。

 つまり、外からの認識は単なる「野生動物対策課」。今までに知ったことは橘平も口をチャックで、とのことである。

「でも二人と橘平さんのお父様が顔見知りなら、すんなり受け入れてもらえそうで良かった。正直言うと、今日ちょっと探したからって、手掛かりが見つかるとは思ってないの。もしかしたら何度か八神家に伺うかもしれないし、ご家族と仲良くできればいいな」

「大丈夫よん、すでに私が仲良しだから八神かちょーと。給湯室でばったりあうとねえ、コーヒー淹れてくれんのよ~まじ優しい~課長みたいな旦那さん見つけよ!」

 さっきから「出会いがない」とか「お嫁にいけない」とか、「課長みたいな旦那さん」などと騒ぐ向日葵。橘平は「葵さんに興味を持ってもらうためにわざと言ってるのか?」などと推測しつつ、当の葵に目を移した。

 新聞を読みながら、静かに緑茶を飲んでいた。休日のお父さんのようだった。

 向日葵のアピールは全く功を奏していないようだ。小さいころから側にいすぎて、彼女に対して何も感じないのかもしれない。

 悔しい。

 雑なようで丁寧。こき使おうなどとは言うものの、絶対そうはしない。弟のように優しくしてくれる、姉のような女性。

 橘平は初めての姉、向日葵の幸せを願い始めていた。

「向日葵さん!」

 少年は、ぎゅっと、隣に座る女性の両手を包んだ。

「お?!え、なに?!」

 なぜ無味乾燥な二枚目に思いを寄せるのか。橘平にその理由は理解できないけれど、向日葵が望むなら。

「素敵な人、見つけてください。俺、応援しますから!結婚式呼んでくださいね!」

 葵にしっかり聞こえるよう、橘平はわざとはきはき喋る。

「へあえ?!ああ、ふん…」

 予想外の励ましに、向日葵は耳まで真っ赤になってしまった。

 橘平はさてどうだと、彼女の想い人を目の端で確認する。

 あくびをしていた。

「…向日葵さん、手のひらだしてください」

「ほい」

 だされた右手に、橘平は指で何かを書いた。

「くすぐった!何?」

「お守り、書きました。神社に書いてあったやつです。良い人が見つかりますように」

 向日葵は心がぽかぽかしてきた気がした。

 やっぱりこの子は本当に良い子。

 お守りには橘平の心がこもっていると感じた。

 そしてその様子は、しっかりと見ていた青年だった。
  


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