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【長編現代和風ファンタジー】神社の娘

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「俺も悪神倒しの仲間にいれてください!」 日本のどこにあるのか分からない不思議なとある村。 刺激のない平凡な日々を過ごしていた高校生の橘平は、雪の夜、森の近くで村の神社の跡取り…
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2024年5月の記事一覧

【小説】神社の娘(第38話 向日葵、土下座する)

「本当にごめんなさい本当にごめんなさい本当にごめんなさい本当に…」 「いやもういいから、…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第37話 橘平、ひとりごとを言う)

 念願のプラモデルを組み立てる日がついにやってきた。  空は穏やかな青空が広がり、その清…

坂東さしま
4か月前

【小説】神社の娘(第36話 身一つで立つ場所)

 葵は息抜きのために休憩スペースへコーヒーを買いに来ていた。  自販機の前でボタンを押そ…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第35話 桜、妹のせいで辛くなる)

「まもりさんに関する物…やっぱり蔵かな?」   桜は家族に気取られないよう、春休み第1日…

坂東さしま
4か月前

【小説】神社の娘(第34話 葵、タケノコを掘らずにゴリラを倒し、そして聞き出す)

 役場の裏の竹林を会場に、毎年春になると「タケノコ大発掘会」が開催されることは既出の通り…

坂東さしま
4か月前

【小説】神社の娘(第33話 橘平、友人とアニメを観る)

『ありがとう』 「何が?」 『森の扉の絵、描き始めてくれて』 「ああ、うん」 『君のおか…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第32話 向日葵、口が滑る)

 日曜日。  本日の出動は3回。  キツネ2匹、柴犬3匹、猪1匹。  強さは一般的なレベル。  うち一回、有術者の親子が課長と見学に来ました。  退勤時間がせまり、向日葵は課内の共有アプリに今日の記録を簡単に入力し、帰る準備を始めた。  葵も同様に帰り支度をする。 「あー、やっと終わった。休日に職場って精神的に辛かった~こーいうとき、みんなお酒飲むんだろうなあ~ちょっと羨ましい~」  向日葵は見た目の派手さから飲めそうに思われがちだが、実は下戸である。  一口でふらふら

【小説】神社の娘(第31話 橘平と桜、ご先祖の共通点を知る)

 今日は模型作りに興味のあるお嬢さんが来る。  そういうわけで、八神本家の現当主、八神寛…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第30話 橘平と桜、向日葵と葵、何も「ない」)

 東北地区の山に、青白い閃光が轟く。 「橘平君のおかげだな」  葵が穏やかな笑顔を向けた…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第29話 桜はクラスメイトを見かけ、葵は一人でバケモノに立ち向…

 春休みも近づき、桜の通う女子高では早帰り期間が始まった。  しかし、赤点生徒には補習が…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第28話 橘平、春休みに期待する)

 蔵の段ボールも念のために開ける―  そのため本日、4人は八神家に集まった。  早速、蔵…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第27話 桜、冷たい拍手をする)

「も、もしもし、向日葵さん?今、大丈夫ですか?」  柏とひと騒動あった日の夜のことだ。橘…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第26話 向日葵、秋田犬と闘う)

 野生動物対策課は、朝からてんてこまいだった。  続々と妖物が出現し、感知器課長こと二宮…

坂東さしま
4か月前
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【小説】神社の娘(第25話 橘平、先輩に対抗する)

 カーテンから漏れる朝の光が目にあたる。橘平はゆっくり瞼をあけた。  夢を見た。  起きてすぐ、それが頭に浮かんだ。 『君は入口の絵、描ける?』 「入口の絵?」 『村の真ん中にある森に入るための。扉みたいなもんかな』 「森の扉って何?どういうの?」 『君の想像でいいんだ。森が開くような絵が描ければ。別世界への扉さ』  頭の覚醒につれ、橘平は夢の内容をキレイさっぱり忘れてしまった。しかし、何かに導かれるように、無意識に、鉛筆を手にしていた。  いつかの夢である