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【短編小説全12話】私と僕と夏休み、それから。

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初めて投稿した短編小説です。 【あらすじ】 地元の高校に通う高校1年生の中村キコは、同じクラスで同じ委員会になった男子生徒から、突然「大っ嫌い」と言われる。しかし、なぜそう言われ…
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#創作小説

【短編小説】私と僕と夏休み、それから。(第3話/全12話)

【短編小説】私と僕と夏休み、それから。(第3話/全12話)

美化委員会の会議の日がやってきた。「大っ嫌い」の日から約1か月が経っている。話すようになってから「大っ嫌い」のことは忘れていたが、この日はふと、あの日の情景から温度、シオンの笑顔まで詳細に思い出されてきて、またもやもやしてきた。最近見かける笑顔には優しさを感じるが「大っ嫌い」の笑顔からはいまだに何もわからない。
帰りのホームルームが終われば会議だ。ホームルームが終わり、生徒たちは部活や委員会、帰宅

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【短編小説】私と僕と夏休み、それから。(第2話/全12話)

【短編小説】私と僕と夏休み、それから。(第2話/全12話)

6月に入った。衣替えで夏制服になる以外に変化はないように思えたが、朝のホームルームで予告なしの席替えがあり、キコとシオンは窓側の一番後ろの席で隣同士になった。
あれから一週間、朝の挨拶以外は特に接点はなかった。

「大っ嫌い」の意味はよく分からないが、やっぱり気になってもやもやしていた。週1のごみ置き場掃除と月1の会議さえ乗り切ればいいと思っていたのに、これから毎日隣にいることになってしまった。

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