星の王子さまを5回読んで得たもの

「星の王子さま」を人生のバイブルと思っているぐらい好きなので、自分なりの感想を書いてみます。

出会ったきっかけは(元々有名で名前は色々な所で見てたので存在は知ってたものの)ラダーシリーズという英語学習者向けの教材でした。
英語学習者向けに簡略化された英訳書で、語彙は易しいもののストーリーの省略はありません。

このラダーシリーズ版を英語学習を兼ねて4周、和訳を1周の計5回読み、
「やはりこの本は童話の域を超えた童話だ」と思わざるを得なかったので
どういう感動があったのか記してみたいと思います。


井戸のシーンの意味

終盤で登場する井戸のシーン。
「砂漠のどこかに井戸がある」
どこかにそんな秘密を隠しているという事実が砂漠全体を特別なものにしている、ということを主人公と王子さまの会話でお互いが気付いた直後、あるはずのない村の井戸が砂漠に現れるが、
これは「奥底にある目に見えない価値」に気付くことそれ自体が価値だ、というメッセージなのではないか。

本当に大切な「目に見えないもの」とはなにか

目に見えない何かがある、と言うこの作品のテーマは別にスピリチュアルや霊的な話では無く、我々は物質的世界というより解釈の世界に住んでいる、と一言で言えると思う。
そして、目に見える物質的・経済的・社会的その他諸々の価値の奥の方に
「自分の思い出や記憶と結びついた真の価値」がある、という事だと思う。

地球にあるたくさんのバラと、王子さまの星のたった一つのバラ

思い出と結び付かない美しさはこの世界に幾らでも代わりがあるという点で、美しいとしても大切ではない。仮に大切だと感じるとしても、替えが効く感情でしかない。
しかし思い出と結びつくものは美しさと無関係にその人の世界の全てに意味を与える。

あの空にある全ての星が輝いて見えるのは

作中で
「たった一つの星が自分にとって大切なら、夜空にある全ての星が輝いて見える」
「でもそのたった一つの星から自分の大切なものが失われたなら、それと同時に夜空は真っ暗闇と変わらなくなってしまう」
という話がある。

自分は猫が異常なぐらい大好きで、YouTubeでもTwitter(X)でも毎日猫ばっか見てる。飽きない。
この世の全ての猫ちゃんを猫ちゃんというだけで無条件に愛している。
それは星の王子さまに照らし合わせるとしっかり理由があって、
「子供の頃から実家で猫とともに長年暮らしてきたし、その猫ちゃん達を愛してるから」だと思う。

童話であれ、何度読んでも学びがあるという気付き

たった1回で自分は星の王子さまを理解し切ることは出来なかった。
子供向けの話であっても繰り返し読むと繰り返し得るものがある。
なら大人向けの物語や本なら何周してもし足りないんだな、という気付きを得てしまった。

(やや話が逸れるが)繰り返し同じ教材で英語を学ぶ意味

4周したので、話の筋はもう全部覚えてて、次にどんな話が来るかとか全部流石にわかる。
が、それを踏まえても基本的な英語への強靭な慣れが形成されたと思う。
最後は最早日本語と同じぐらいの理解度とスピードで全て読みこなす事が出来たと思う。

全体的な感想

誰しもが誰かにとって価値ある存在だし、自分にとっても誰しもが価値ある存在になり得る。

そしてその対象は人でも生き物でもなく出来事や物、場所など、この世の全てに対しても同様に言える。

その価値は共に過ごした時間が生み出し、決してなくなることはなく、「絆を守る責任」という形で存在し続ける。

この話はあまりにも深い。一生学び続ける姿勢が必要な気すらします。
最終的にフランス語の原書までいつか手を出すつもりで居るし、定期的に読んだり、いろいろな人の考察を見て理解を深めていきたいです。
自分にとって本当に人生のバイブルと呼ぶ事が出来る人生唯一の本かもしれないです。
この作品に関わってくれた全ての人へ感謝します。


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