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美術展観賞記録

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展覧会に行ったときの感想文。Instagramに投稿しているものと基本的には同内容です。
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#japaneseart

【画像6枚+α】「ライトアップ木島櫻谷」(泉屋博古館東京)

【画像6枚+α】「ライトアップ木島櫻谷」(泉屋博古館東京)

 三つあるうちの、最初の展示室1がとにかく美しい。

 そこには5点ほどの屏風と水墨画掛軸(今尾景年《深山懸瀑図》)、写真撮影に関するパネル、あとはベンチが2つあるのみですが、そのベンチに座って、この後の作品や予定も一旦かなぐり捨て、腰を据えて長居したくなるような雰囲気があります。強いて言うならベンチをもう少し入口近くに置き、5点の屏風を眼中に収められる位置にしてほしかったぐらい、完成度の高い展示

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『ジャムセッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』(アーティゾン美術館)

『ジャムセッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン』(アーティゾン美術館)

私の手元に二通の封筒があります。それは今から20年近く前、丸善丸の内本店で山口晃の出版記念講演会が開催されたときにスタッフより渡されたもの。その講演会の内容がガッツリ「講義」であり、慌てて封筒の裏にメモをとったのでした。
藝大を受験したときの受験番号が818番だったので「ハイパー山ちゃん合格!」という、今見ると謎な記述もあれば、高校時代、文芸評論家である中村光夫の文明論に触れ、近代以降「断絶」を続

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「激動の時代 幕末明治の絵師たち」(サントリー美術館)

「激動の時代 幕末明治の絵師たち」(サントリー美術館)

日本の19世紀、近世(江戸後期・幕末)から近代へと変わっていく、時代の雰囲気を感じられる展覧会です。そう思わせる展覧会の構成が素晴らしい。
近世日本絵画の保守本流とも言える狩野派の作品からスタートし、写実的な谷文晁一門の作品、銅版画・泥絵に現れる西欧的な写実の世界、そして国芳・芳年…血なまぐさい幕末の時代を通り過ぎ、近代に入り三代広重や小林清親が展開する、人の活気に満ちた祝祭的雰囲気のさなか、井上

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