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自分の「心」が一番大事。『プロセスエコノミー』を読んでわかった、自分にしかない信念の大切さ

『プロセスエコノミー あなたの物語が価値になる(著・尾原和啓)』(幻冬舎)を2月の読書会では読みました!
前々から話題になっている本ではありますが、今回もまた新たな気づきを与えてもらった本だったので、ご紹介します。

・なぜ読もうと思ったのか

この本を読む目的は、今聞くプロセスエコノミーとはなんぞや?というのを知りたかったのが一番です。成果物だけでなく、「プロセス」の段階から意味性を求められている時代だと感じています。熱狂を生み出すコンセプトの作り方、成果物の生み出し方を知りたかったのでこの本を読みました。

・なぜ今プロセスエコノミーが注目されているのか

プロセスエコノミーとは、「プロセス自体を売る」新時代の稼ぎ方。商品の制作過程に課金してもらうことです。

その逆の概念として本書でも紹介されているのが、「アウトプットエコノミー」。既に作品として出来上がった本や映画、音楽などの成果物である「アウトプット」されたモノで課金する一般的な販売モデルを指します。

これがなぜ注目を集めているかというと、アウトプットされるモノの品質の差がそこまでない現代、「差別化するモノがプロセスしかない」からだそうです。

勝ち組のプロダクトはより勝っていき、そうでないプロダクトは、たとえ良いモノでも、陽の光を浴びなくなってきている、という感じになっている気がしています。

「はじめに」P.8

家具なら無印やニトリだし、衣料品はユニクロやGUだし、というようにモノを選ぶことにこだわりがなければ、勝ち組のプロダクトにどうしたって手が伸びてしまいます。

例えば自動車でも、ハイブリットカーが必要なら”プリウス一択”で言いわけです。第2のプリウス、第3のプリウスなんてものは顧客は求めていない。機能性があるものは1つあれば事足りる。

「役に立つ」より「意味がある」(P.30)

機能性が必要なら勝者の椅子は一択しかないのだそうです。

そんな勝ち組に勝つことができるのが、「ストーリー」。
「役に立たなくても意味があるほうが市場価値が高い」と山口周さんもご自身の著書『ニュータイプの時代』で語られていたそうです。


意味があるモノが重視されている背景には、自分のアイデンティティとなるブランドを求めているのが理由の一つだそうです。

それはなぜかと言うと、食べるのに困らないから時代だからこそ、内面的な問題にぶち当たるのだと。何のために働くのか、生きるのかという茫漠とした不安や悩みを抱えている人が多いのだそうです。

『本当やりたいことの見つけ方』の本なども売れていましたし、私も買った一人でした。笑

そのプロセス作りのために必要なのが「WHY」であると終始この本では書かれていました。

・プロセスエコノミーに必要なWHYとは

プロセスエコノミーを発信するうえで最も大切なのは、あなたの中にあるWHY(なぜやるのか、哲学、こだわり)をさらけ出すことです。

「1億総発信時代」のWhyの価値(P.98)

つまりは、自分の「心」の部分が大事であると言うことです。

就活の時にWHYを求められていたことを思いました。
WHAT、HOW(どんな内容をどんな技でやるのか)よりもWHYが重視されていたように思いました(新卒だからほぼみんな真っ新な状態だからね)。企業の席を勝ち取る上では、誰にも真似できないWHYを探しをしていたように思います。

ただ、そこでぶち当たったことがWHYの部分がそれ相応のバックグラウンドがある人には負けてしまうということ。例えば編集者として働きたい理由をありきたりじゃないモノを言語化するのが難しかったなと。本が好き、編集者に憧れがあるなど表層的な理由じゃなく、自分のバッググランドを含めて、根源的な理由を伝えるというのに頭を悩ませました。正直なところ編集者が憧れの仕事だからなりたかったのが一番ですが、なぜ憧れなのかを言語化するべきだったと今は思います。笑 言語化できてストーリーとして成り立っていて、相手が腹落ちする理由であれば、鮮烈なストーリーでなくてもよかったのだと思います。

もちろん生き方が既にストーリーとして成り立っている人が苦労はしないのかもしれません。だからこそ、そこでWHYという部分から仕事に対する本気度を問われていたように感じました。

WHYを強く感じるブランド「食べチョク」

「WHY」を感じるブランドのいい例として、「食べチョク」は「WHY」の部分で競合から差別化できているように思いました。

産直のECサイトはオイシックスなどの上場企業が既にあり、飽和状態にありました。その中で起業し、さらに今食べチョクが頭一つ抜けている印象がするのは、創業者秋元里奈さんの熱意があるからだと思います。

起業のきっかけは秋元さんの実家の農家が廃業したことがあるそうです。だからこそ、ブランドポリシーに中小規模の農家を支援したいという根っこの部分が強くあります。「実家も販路があれば廃業せずに済んだ」とインタビューでは語られていました。

だからこそ競合よりも「生産者支援」が目的を強く感じます。その揺るぎない「WHY(心)」に人も集まってくるだろうし、メディアも取り上げるし、投資家からも魅力に思われるのだろうと思います。

人気がある発信者は取り組んでいるモノに対して本気さを感じる

やっぱり人を動かすのは本気度なんですよね。合わせてSNSの人気の発信者も、発信しているモノコトに対しての一本の軸があるように思います。それは、ファッションで取り組んでいるわけではない。表層的に取り組んでいるわけではない。そのライフスタイル(生き方)が本物であり、ブレない信念を感じます。

例えば今のライフスタイル界でそう感じるのは、以下の二人。

・シンプルライフ研究家マキさん→家事をラクにしたい
・minimal.igさん→ミニマムに暮らすことの豊かさ

上記のことを軸にいろんな視点から発信されているお二人。それが自身のためではなく、利他の心で発信されているようにも思います。

心技体=「WHY」「HOW」「WHT」

日本の言葉である「心技体」と「WHY」「HOW」「WHT」は似ているとこの本で書かれていました。

この言葉を目にして、自身が惹かれるコンテンツ・人には”心技体”があると思いました。これらの文化は伝統工芸の職人や歌舞伎の役者がイメージとしてある言葉。

心→人間としてのこだわり
体→最終的なアウトプット
技→プロフェッショナルの技

そう、私は相撲や歌舞伎、民藝などの日本の伝統文化や京都が好きです。
この言葉の実態が伴っている人やモノに惹かれているのだと思いました。相撲であれば元・横綱稀勢の里はこのバランスが良いし(力士の精神性を重んじる、強い、左四つの技術)、京都は禅的な心をベースに空間作りがされていることもあります。

そして、コンテンツであれば、カンブリア宮殿や、セブンルールなど、成果を生み出している人や企業のこだわり(心)、技術や手段、モノ(技・体)を知ることができるので好きです。

この本で自分にとっての一番の発見は、これだったかもしれません!

実践したいこと

心技体を磨く

アウトプットの質と技がそもそも備わっていないと、プロセスの過程だけを共有しても、伴わない気がしています。やっぱり普段の目の前のことが大事。質にこだわり、技を磨きつつ、思い(こだわり・哲学)も持っていくことが必要だと感じました。

自分の楽しいこと、幸せだと思うことを育てていく

そのためには、好きなことを言語化する。何をしている時の自分が幸せだと感じているか、言語化していこう。

最近であれば、お洒落なカフェバーに連れて行ってもらった時が最高に幸せな気分になる。それも日本的なモノを取り入れつつ、音楽、空間、料理の質など、バランス良いお店が大好きです。過去の経験から、店の人の職人的なこだわり、人間性があってこそ、お店丸ごと好きになります。

言語化したら、これがただ受動的に享受するだけでなく、自分の身の回りに置こうと思いました!

なぜを考える

例えば、なぜ「編集」にこだわるのか、好きなのか。編集者として自分だけのストーリーが言語化できるようにしたい。そしてどんな「編集者」になりたいのか考えたい。今はパラレル編集者になりたいと思ってます(言葉の使い方が合っているか微妙ですが。笑)。紙・webはできるので、より専門性を高めていきつつ、SNSや動画の編集についても哲学が持てるぐらいの技法を身につけたいです。

人やモノの数だけ、ストーリーは作れます!「なぜ」の言語化は難しいですが、改めて振り返ってみようと思いました。熱狂を生み出すコンセプトの作り方や、ハウツーが学べる本ではなかったですが、強いメッセージ性がシンプルに伝わってきた本でした。私は副読本として、『ファンベース』(筑摩新書)を合わせて読みたいと思います。

次回はストーリー作りについてみんなで学んでいきたいと思います。







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