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時間について

"I am always late on principle, my principle being that punctuality is the thief of time."
---- Oscar Wilde

英語レッスン教材より引用

これは、アイルランド出身の詩人作家であるオスカーワイルドの言葉らしい。英語のオンラインレッスンで、"Time, 時間"についての英語の格言をいくつか読んだ際にあったもの。格言っていうか…オスカーさん…ただのジコチューじゃないの?と思ってしまった私。だって、時間にいつも遅れることが彼の原則で、時間通りでいることは、時間泥棒、時間のムダだと言ってるってことですよね?あなたが"時間のムダ"と思っているその時間に、あなたのことを待ってる人がいるとは思わないのかしら?あなたは人の時間をムダにしている、あなたこそが時間泥棒だと思わないのかしら?そんなことを思っていたら、まさに時間泥棒された気分になるできごとがあった。いや、別に盗まれたわけではないんだけれど、あまりに時間にルーズすぎませんか?と思わず説教垂れたくなるようなできごと。

昨日、とある連絡が来るのを待っていた。事前の案内には「10日(月)18:00までに連絡します」とあった。まぁここはイギリスだし、18:00ギリギリにならないと連絡ないだろうなと思いつつも、16:30頃から、まだかしら、そろそろかしら、とそわそわしていた私。しかし、17:50になってもまだ連絡はない。どんだけギリギリなん、と思いながらも、まぁまだ18:00じゃないし、と自分に言い聞かせた。言い聞かせているうちに、時計の針が18:00を回った。約束の時間を過ぎた。まぁでもここはイギリスやし、少し遅れることも想定内と言えば想定内。18:15、おい、まだか。18:20、おいおい、まだなんか。18:30、おいおいおい、さすがに30分オーバーはどないやねん。と時間が経つにつれてイライラしていたら、18:37にようやくメールを受信。37分オーバーて!まぁ仕方ないと思いながらメールを開けると、「連絡が遅くなってすみません。まだ結果が出てませんので、明日(11日)14:00までに連絡します」とな。いや、いやいや、いやいやいや。予定時間より37分遅れた挙句に、やっぱり明日連絡しますってどういうことよ?どんだけ計画性ないんですか?有り得へんやろ?と半ギレモードになりつつも、そこでキレてもどうにもならないので、やり場のない気持ちをぐぬぬぬと抑え込んだ。ちなみに、私が待っていた連絡というのは、私だけが待っていたものではなく、その他にもおそらく100人くらいの人が同じようにその連絡を待っているという類のもの。きっと、その100人もみんな同じように、ぐぬぬぬと感じていたに違いない。

そして迎えた今日。昨日あれだけ待たせたわけだし、今日こそはちゃんと14:00までに連絡してくるだろう、してこいよ、と期待していた。また12:00頃からそわそわしはじめる私。12:30、13:00、まだ音沙汰なし。家にいるとずっとスマホばかり気になって落ち着かないので、徒歩20分ほどの公園へ散歩に行くことにした 。家から公園まではスマホを見ずに、スタスタと歩き続け、陽当たりの良いベンチを見つけて腰掛けた。時刻は13:30。まだ来ない。まだ30分あるしな。とりあえず本でも読もうと、持参した文庫本を開く。しかし本の内容が入ってこない。心ここに在らずで集中できていないからにほかならない。14:00、来ない。おい、約束破ったんこれで2回目やぞ。14:05、母からLINE。来るべき連絡が来ないことをグチる。「いい加減なこと甚だしい」と一緒に怒ってくれる。やっぱり日本人の感覚ならそう思うよね。しかしここは日本じゃない、イギリスなのだ。そういう国なのだ、と母に返信しつつ、自分に言い聞かせた。この時既に14:30。昨日は約束の時間(18:00)を30分過ぎた頃(18:37)に連絡があった。今日もまたか。14:37、まだ来ない。昨日よりあかんやないか。14:45、こどもたちのお迎えがあるので、そろそろ帰路につかねばならない。公園を出る前にもう一度メールチェック。更新ボタンを連打するも、変化なし。帰り道も歩きながらスマホを見ることはせず。途中、中東スーパーに立ち寄り、ザクロを2つ購入。ほんとはイチジクが欲しかったのだけれど、なかったので、代わりにザクロを選んだ。今日の夜はザクロのサラダにしようと考えた。家に着く直前、私と同じ結果連絡を待っている友人と道路を挟んで出会った。「連絡きた?」「まだ!」「今日来るのかね?」「さあね!」と叫び合って別れた。
帰宅後、ザクロを台所の机の上に置き、洗面所で手を洗い、うがいをした。そしてスマホを開いた。15:10、メール受信画面は先ほど何も変わっていなかった。もうぐぬぬぬの気持ちも湧かなくなった。諦めてこどものお迎えに行った。こどもたちと帰宅し、一緒におやつを食べた。今日のおやつはフィンガーチョコレート。日本のカバヤのではないよ、ここはイギリスだからね。でも味は似たようなもんで、素朴ながら美味しいやつ。フィンガーチョコを食べ終え15:45。まだ。息子の音読を聞いた。息子が何を読んだのか全く覚えていないのは、心がそこになかったからなのか、野菜を刻みながらだったからなのか、英語だからなのか、全部か。音読が終わって16:00、まだ。もうええわ。

トイレへ行き、台所へ戻り、再確認、16:05。来た!来た!!ついに来た!!!予定時刻の14:00から2時間5分オーバー。当初予定時刻からだと22時間5分オーバー。おっそ!!!どんだけ待たすねん!!!しかも、今度のメールには「再三お待たせしてしまいまして、大変申し訳ございませんでした」のひとことはなく、何事もなかったかのようにサラっとシレッと結果報告だけ。謝らんのかい。そこはまず謝るとこちゃうんかい。と思うのは、日本人的発想なんだろうか。こちらの人はそんなこと思わないのだろうか。待ちわびていた結果が、良いものだったので、あぁよかった!!!と前向きに受け止められたけれど、これが悪い結果だったら、きっと、待たせるだけ待たせて悪い結果とかほんまなんやねん!!!最悪や!!!となっていただろう。結果オーライの最たるもの。

と、まぁこんなことがありまして。こちらは時間通りに連絡が来るものと信じてそれを待っていた。しかし先方は、時間を守らないどころか、相手を待たせていることを何とも思っていないような態度。そりゃね、私だって時間にルーズなところ結構あるし、時間に関してだけでなく、だらしないところもたくさんあるけど、相手を待たせたなとか、悪いことしたなと思ったら、ちゃんと謝りますよ。しかしそれは、日本人的感覚なのかもしれない。世の中には、相手を待たせることを悪いと思わなかったり、時間通りに動くことを時間のムダと考える人もいるようです。いろんな人がいて、いろんな文化があって、自分の尺度だけでものごとを考えていてはいけないんだなぁと、改めて思うわけだけれど、それでもやっぱり、ぐぬぬぬと感じずにはいられないことが日々起こる。異国生活、異文化生活ってそういうもんなのでしょう。明日は何が起きるのか。そういえば、夕飯にザクロのサラダを作ろうと思っていたのに、すっかり忘れてしまっていたことを、今になって思いだした。ぐぬぬぬ。

最後に、前述のオスカーワイルドではなく、アルバート・アインシュタイン大先生の、"Time, 時間"に関する格言を、私は肝に銘じることにする。

"Learn from yesterday, live for today, hope for tomorrow."
-----Albert Einstein

英語レッスン教材より引用