カリアゲしょうこ

ロンドン在住インタビューライター。 インタビュー記事と、ロンドン暮らしのエッセイを執筆…

カリアゲしょうこ

ロンドン在住インタビューライター。 インタビュー記事と、ロンドン暮らしのエッセイを執筆中。 言葉にすることで見えるもの、見えないものを探りながら、 肌ざわりを感じられる文章を綴っていきたいと思います。

最近の記事

あの人の物語、聞いてみよう。Vol.3 小島匡人さん

🌝月曜日のしょうこ🌝インタビュー 「あの人の物語、聞いてみよう。」 第三回のゲストは、スプリントコーチの小島匡人(こじままさと)さんです。 匡人さんは現在、ロンドンにある日系サッカークラブでスプリント(短距離)を指導するコーチとして働いています。 学生時代には選手として活躍されていた匡人さんがコーチを志した経緯や、これからの目標についてお伺いしました。 小学4年生から陸上競技を始める ―いつから陸上競技を始められましたか? 小学 4 年生から始めて、大学 4 年生まで

    • コーチへの挑戦は、自分の弱さに向き合うこと

      コーチデビュー 前の投稿で書いた通り、昨日から、ロンドンで女子チームのサッカーコーチを始めた。 私にとっての初レッスンの参加者は7人。5歳から10歳まで年齢はバラバラ。基本的にはみんな初心者レベルだけれど、その子によって、できることできないことの差は大きい。まずはサッカーを楽しむ、ボールになれる、そんなことを中心としたレッスンだった。 練習メニューを考えたのは私ではなく、もう一人のコーチ。彼はもともとサッカー経験者ではないそうだが、体育教員としての経験があり、既にこのチーム

      • 40歳母、サッカーの母国でサッカーコーチになる。

        タイトル通り、明日から私は、イングランドにある日系サッカークラブで、女子チームのコーチをさせてもらうことになった。 40歳。 サッカー初心者がコーチを始める年齢としては遅いかもしれない。自分としても、40歳で始めるには無謀な挑戦だったかも…何を血迷ったんや私…と思わないでもない。 いや、別に血迷ったわけではない。自分なりに思うところがあって、やろうと決めたのだ。やらせてくださいとお願いしたのだ。だから、頑張るしかないのだ。それでいいのだ。バカボンのパパなのだ。いや、違う。

        • あの人の物語、聞いてみよう。Vol.2 近藤久美子さん

          🌝月曜日のしょうこ🌝インタビュー 「あの人の物語、聞いてみよう。」 第二回目のゲストは、ロンドンを拠点に活動するアーティストの近藤久美子さんです。 久美子さんは、画家として油絵やアクリル画を描かれたり、作曲家として音楽活動をされたりしていますが、本格的に創作活動を始めたのは、40歳を過ぎてからだそうです。 アーティスト活動を始められた経緯や、ご自身の才能に気がついたときのお話などをお聞きしました。 ◆ピアノと絵が好きだった幼少時代 --久美子さん、今日はインタビューにご協

        あの人の物語、聞いてみよう。Vol.3 小島匡人さん

          元ヒヨッコ秘書の常務回想録

          「父が亡くなりました」 とインスタで繋がっている知人から連絡があった。友人ではなく、知人と書いたのは、友人と呼べるほどの親しい関係ではない、というよりも、私と彼女の関係性が、少し特殊なものだからだ。 亡くなった方、彼女のお父さんというのは、私が社会人2年目のときに、秘書を担当させていただいた会社役員(常務)の方だった(以後、その方の仮名を中田常務とする)。 そしてそのお嬢様であるAさんは、私と同い年で、彼女もまた、同じ会社に勤務していた。と言っても、私は大阪勤務、彼女は東京

          元ヒヨッコ秘書の常務回想録

          あの人の物語、聞いてみよう。 Vol.1 原田さちこさん

          🌝月曜日のしょうこ🌝インタビュー 「あの人の物語、聞いてみよう。」 記念すべき第一回目のゲストは、ロンドンでの私の友人で、ファイナンシャル・プランナーの原田さちこさんです。 さちこさんは現在、ファイナンシャル・プランナー(以下、FP)としての知識を活かしたWEBコラムを執筆したり、在英日本人向け(親子・保護者・こども向け)にマネー講座を実施されたりしています。 FPになろうと思った経緯や、マネー教育に取り組む想いなどについて、お話をお聞きしました。 現代の子は、お金の感覚

          あの人の物語、聞いてみよう。 Vol.1 原田さちこさん

          🌝月曜日のしょうこ🌝インタビュー「あの人の物語、聞いてみよう。」

          🌝月曜日のしょうこ🌝インタビュー 「あの人の物語、聞いてみよう。」 生き方に悩む、すべての人へ。 生き方に悩んでいるのは、 あなただけじゃない。 みんな最初は、悩んでた。 ほんとは今も、悩んでる。 キラキラして見えるあの人にも、 モヤモヤした時期や、 ドロドロした感情があった。 そんな過去があったからこそ、 頑張る今があり、 輝く未来がある。 生きがいの見つけ方 人生の切り開き方 聞いてみよう。 私が綴る「あの人の物語」の中に、 未来のあなたに繋がるピースが 隠れ

          🌝月曜日のしょうこ🌝インタビュー「あの人の物語、聞いてみよう。」

          娘についての備忘録 〜グラストンベリー旅の理由〜

          4月の終わりに、娘と2人でグラストンベリーを訪れた。その時のことは既に細かく書き残したけれど、なぜ母子2人旅をすることになったか、という経緯については書いていなかったことを思い出したので、改めて書き残しておこうと思う。 2月の終わり頃から、娘はずっと咳をしていた。痰の絡む激しいものではなく、乾いた咳だった。わが家は、というか私の方針で、体調不良になっても、基本的にはすぐに病院に行ったり薬を飲んだりということはしない。しばらく安静にして様子を見ていれば、たいていの不調は自然治

          娘についての備忘録 〜グラストンベリー旅の理由〜

          ムーン 我が家の庭にいた猫の話

          庭には二羽ニワトリがいる。 じゃなくて、我が家の庭には、いつも三匹の猫がいた。毛が長くて白茶黒のミックスカラー猫と、黒猫と、足元だけ白い黒猫。 私たちがロンドンのこの家に暮らしはじめた頃から、というか、私たちが住む以前から、彼らはこの庭を縄張りとしていたようだった。いつもうちの庭の日当たりのよい場所か、物置の上で、三者三様にひなたぼっこをしていた。私たちは彼らを庭から追い出したりせず、かと言って、エサを与えて手懐けることもしなかった。彼らの方も、私たちが庭に出ると、めんどくさ

          ムーン 我が家の庭にいた猫の話

          映画『The Zone of Interest(関心領域)』

          昨日、いつもの映画館で映画を観た。『The Zone of Interest』は、アウシュビッツ収容所の壁を隔ててすぐ隣に住んでいる所長とその家族を描いた映画だったのだが、想像していた以上に恐ろしい作品だった。 100万人以上のユダヤ人が虐殺された収容所のすぐ横に、”普通の“家族の暮らしがあった。 その家族は、すぐ隣で起きている凄惨な行いが何であるかを知っているはずである(こどもたちがどこまで知っているのかまではわからないが)。しかし、そのことに対して、全くと言っていいほど

          映画『The Zone of Interest(関心領域)』

          娘と2人旅〜グラストンベリーでのリトリート③〜

          丘から下りるにあたり、「靴を脱いで裸足で下りようよ。昨日も裸足で芝生の上を歩いたら気持ちよかったでしょ」と娘に提案をした。しかし娘は「イヤ。今はまだ朝露で濡れているから冷たそうだし」と言うので「それがひんやりして気持ちいいんでしょうが。朝露とともに余計なケガレも流したらいいじゃない」と答えると「ただでさえ私の足は冷たいのに、これ以上冷やす必要ないし」とまた反論してきたので、「じゃあもういいよ。お母さんは裸足で下りるけどね!靴を入れるためにビニール袋もちゃんととっておいたもんね

          娘と2人旅〜グラストンベリーでのリトリート③〜

          娘と2人旅〜グラストンベリーでのリトリート②〜

          翌朝、目が覚めたのは朝の4時半頃だった。カーテンの向こう側、窓の外もまだ暗いし、娘もまだ寝ているようだった。私はトイレに行くために起き上がり、廊下に出た。当然、廊下もトイレも真っ暗だったが、トイレで電気をつけて灯りを見てしまうと、それで目が冴えてしまいそうだと思ったので、暗い中で用を足した。そして部屋に戻り、もう一度目をつぶった。 次に目が覚めたのは、7時前だった。今度はカーテンの向こう側が明るくなっていた。私は7時半と8時にスマホのアラームをセットしていたのだが、そのどち

          娘と2人旅〜グラストンベリーでのリトリート②〜

          娘と2人旅 〜グラストンベリーでのリトリート①〜

          この週末、娘と初めての母子2人旅をした。行先はイングランド南西部のグラストンベリーという田舎町。ロンドンからバスを2本乗り継いで約4時間の旅。 10:50にハマースミスのバスステーションから出発。といっても、バスは少し遅れてやってきたので、本当の出発時刻は11:05頃だった。 イギリスに来て初めて乗った長距離バスは思いのほか快適で、座席はきれいで、トイレ完備で(ただし使っていないのできれいかどうかは知らない)、空調もちょうどよく管理され、陽気で気さくなドライバーによる安全走行

          娘と2人旅 〜グラストンベリーでのリトリート①〜

          映画『オッペンハイマー』へのアンサー

          今月末から、日本でもようやく映画『オッペンハイマー』が公開される。 世界では昨年公開され各国で大ヒットしたにも関わらず、日本での上映が見送られたこと、今年に入ってゴールデングローブ賞、アカデミー賞などの名だたる映画賞を総なめにしたこともあり、日本公開に向けての注目度は否が応にも高まっているようだ。 私としても、できるだけ多くの人に、日本人に、この作品を観てほしいと願っている。 私自身は昨年7月に、ボランティアとして働いているロンドンの映画館で『オッペンハイマー』を観た。上映

          映画『オッペンハイマー』へのアンサー

          わが子を通して問い直す

          ミス日本2024のニュースをきっかけに、日本らしさとは、日本人とは、国籍とは、アイデンティティとは、ということについて、日々、考えてい続けている。しかしその答えは、当然のことだが簡単には出てこない。 1ヶ月前のnote記事で、私は以下のように書いた。 記事全文はこちら↓ つまり、このときの私の観点では、“日本国籍を持ち、日本語で思考し、日本人であると自認している椎野さんは日本人である”ということになる。この記事を書いたときには、素直にそう考えたのだけれども、息子を見てい

          わが子を通して問い直す

          ボブ・マーリーの死因と息子の日本語

          昨日、ボブ・マーリーの半生を描いた伝記映画「BOB MARLEY: ONE LOVE」を観た。 ボブ・マーリー、言わずと知れたレゲエの神様、ジャマイカのレジェンド。顔と名前、「One Love」くらいは見知っていたけれど、特に彼のファンだというわけではなかった。 なので、この映画を観て、初めて彼について知ることがたくさんあったーーーもちろん、伝記映画とはいえ、映画の中のできごと全てが事実ではないことを理解した上で。 私はてっきり、彼は銃で撃たれて亡くなったものと思っていた。し

          ボブ・マーリーの死因と息子の日本語