「私の家政夫ナギサさん」を考察したら猛省することになった理由。

「私の家政夫ナギサさん」がアマプラで配信されていたので、夏休みに一気見した。

主人公と自分の境遇は重なることも多く、ドラマはわたしに非常に沁みた。

主題歌も沁みた。
それについてはこちらの記事に書いている。

さてそんな“わたナギ”だが、沁みたと同時に、わたしは結末になんだかモヤモヤした気持ちが残った。
そしてそのモヤモヤに向き合ったとき、自分の心の奥底にある固定観念に気づき、衝撃が走った。

ドラマのあらすじ

多部未華子演じるメイは、製薬会社のMRとして若くして活躍する28歳の独身女性。仕事はデキるが家事が大の苦手で、一人暮らしの部屋はぐちゃぐちゃ。そんなメイのもとに、妹の働く家政婦サービスの会社から、おじさんの家政夫ナギサさんがやってくる。メイとナギサさんはお互いの抱える様々な問題を一緒に向き合っていく中で、依頼主と家政夫の関係以上に親交を深めていく…

===ここからネタバレ含む===


モヤモヤしたこと


果たして、メイとナギサさんの間に芽生えていた気持ちは「恋」だったのか?

このドラマは最終的に、二人が結婚する。
ハッピーエンド、ってやつだ。

でも本当にハッピーエンドなのか?

ドラマの後半くらいから、メイとナギサさんがそれぞれ相手のことを想う描写が増える。

さらにメイは「ナギサさんがいないとダメなんです」みたいなことを言って、ナギサさんへの気持ちを確信する。

でもわたしにはどう考えても、メイがナギサさんを想う気持ちは、『面倒を見てくれる人が必要』としか感じられなかった。

逆も然りで、ナギサさんがメイに抱いているそれは、『面倒を見ないと心配』という気持ちだと感じた。

つまり、二人はお互いのことを知るうちに、『依頼主と家政婦というお金が発生する割り切った関係は息苦しいが、引き続き面倒を見る・見られるという関係は続けたい』という気持ちが合致したように受け取った。

だからわたしは、この二人の間に芽生えた気持ちは、恋ではないと思う。

現に、二人が結ばれるシーンではハグをしてくるくる回る(そしてナギサさんが腰を痛める)だけで、キスシーンはない。

この後の生活でも、キスやセックスをするのは想像できない。

では、二人は結婚すべきだったのか?
「恋」と錯覚した気持ちのまま結婚を選んだ二人の決断は正しかったのか?

気づかされたこと


この問いに答えようとした時、わたしはあることに気づき、雷に打たれたかのような衝撃を覚えた。

それは、

自分の中に
『結婚=恋愛の先にあるもの』
『恋愛=キスやセックスが伴うもの』
という2つの固定観念
があったことだ。

今の時代、結婚は当たり前ではない。
人生の選択肢のひとつとして、結婚がある。
(もちろん出産も、そう。)

だけど、結婚するとなったとき、二人の間にあるべきものは“恋愛感情”だという考えが、自分の根底にあることに、ハッと気づいた。

でもよく考えたら、結婚はもっと自由でいいのではないか?

「好きではないけどお互いのメリットが一致する」だったり、他にもいろいろあると思うが、どんな理由で結婚しても、当事者の二人が納得していればいいはずだ。

メイとナギサさんのように、「面倒見たい・見てほしい」という親子に近いような結婚もあっていいと思う。

だから、今回の二人を繋ぐものが恋愛感情ではなかったとしても、二人が望んだことであれば、結婚という形をとったことはそれで良いのだ。

さらに、今後もし二人の間に本当の恋愛感情と思われるものが芽生えても、キスやセックスをしなくても良い。
だって、恋愛に必ず必要なものではないから。
(性的指向も、恋愛感情と性的欲求は切り離して考えられることを今さら思い出した)

ここまで書いていて、わたしは『逃げ恥』が頭に浮かんできた。

みくりさんと平匡さんの間には金銭の授受が発生していたが、「家事をする・してもらう」という契約で事実婚をしていた。(結局、二人の間には恋愛感情が芽生える結末だったが。)(なんなら新垣結衣と星野源もリアルに結婚してしまったが!)

わたナギ放送の4年も前に、形は違えど結婚のあり方を世の中に問うドラマが放送されていたではないか…。


結婚するもしないも自由。
結婚するにしても、いろんな形がある。
そこに正解も不正解もないし、“ふうふ”(※同性パートナーも含めるのであえて平仮名にする)の数だけ「結婚」の形がある。

頭では分かっていたつもりだったが、心ではちゃんと理解できていなかったことを、わたナギを通じて気づかされた。

わたしは、どんな結婚がしたいのか?
はたまた、本当に結婚がしたいのか?

世の中の“当たり前”と思われていることに流されず、自分に向き合って考えたい。

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