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ネットで議論が成立しにくいのは、学力(基礎教養・前提知識)の不足が一因かもしれない。

 表面的なちがいだけでなく、その根本にあるちがいを知ることで、ものごとを深く考える習慣ができる。個人の勉強、多様な人々との交流で幅広くいろいろな考えかた、感じ方があることを知ることはできる。しかし、そのちがいの背後にある根本的なちがいをつきつめていく作業は、なかなかできない。とくに社会人になると、仕事のために緊急に必要な知識の集積が優先されるため、じっくりと考えることはなかなかできなくなると聞く。この授業で、幅広く知識を広げることよりも、深く問題を掘り下げる方法を身につけることに専念するのはそのためである。学生時代のうちにしかできないことを徹底的にやっておくことを何よりも大事なことだと考える思想が根本にある。

https://web.econ.keio.ac.jp/staff/tets/etc/study/etc/giron.htm

上記は、大平哲准教授(慶應義塾大学経済学部)が96年の授業で書かれた文章の一節です。

本授業では、これらのテーマについて解説を加えるが、前期課程科目としての特性上、法学を専攻することを予定していない者にも十分理解できるように、前提知識の説明から始める。例えば、「休業要請と損失補償」であれば、まずは憲法29条3項等の求める損失補償制度について説明した上で、コロナ危機で生じた新しい問題を取り上げることを予定している。また、「感染症対策における国と地方自治体の役割分担」であれば、憲法第8章の定める「地方自治制度」の概要を説明してからコロナ危機に関する問題をとりあげる。このように、法学に詳しくない者にも十分理解できるように配慮するため、授業の全てがコロナ問題に費やされるわけではないことに注意してほしい。

法と社会 - 教養学部(前期課程) - 東京大学授業カタログ

この授業カタログの「前提知識」の扱いが分かりやすいです。

上記二つの引用の通り、建設的な議論にはやり方があります。

議論するには前提知識が必要です。物事を理解するには、認知バイアスや確証バイアスも改善すべきです。「認知バイアス」は認知心理学や社会心理学の用語で、先入観や色眼鏡のことです。「確証バイアス」は自分に都合の良い情報を集めてしまい反証を見落とす客観視が機能しにくい状態です。

認知心理学が専門の池田まさみ教授(十文字学園女子大学)が手がけられた「錯思コレクション」は、デザインが見やすく、情報と参考文献が豊富で、具体的な例と解説が簡潔なため、お勧めします。

色眼鏡を自覚すると同時に、前提知識となる基礎教養に欠損が無いかをチェックします。具体的には高校の教科書の水準を習得していれば、新聞や本を読む際に前提知識が足りなくて理解できない可能性を減らすことができます。

国語の読解力(文脈を読む力など)が低いのかと驚く機会もありますが、先述した基礎教養が習得出来ていないため、その方の独自の定義の解釈や独自の価値観・世界観の一般化を行う可能性が有ります。

前提知識を共有できず、定義の確認も無しに議論をしようとしても、それは「印象の交換」であり、何を議論しているのか分からないはずです。Aという事柄を議論するとして、Aとは何か定義せず、Aの中身やAで扱いたいことが不明では、議論は成立しません。

僕らは対等な大人であり、その方の保護者でも教師でもありません。ネットで、「自信や確信を持って前提や推論の過程や比喩が問題のある事柄を話している方」を見かけても、問題は不勉強なその方にある可能性が高いため、「伝え方の配慮不足」かとご自身を責めないことを薦めます。

日本で分断が起きているのは、社会的な地位や経済的な格差だけでなく、学力低下も関係しそうです。
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)で「読解力の低下」が指摘されており、昭和の詰め込み教育の時代と比べて学力が下がっています。また、経済的に貧しい国は学力も落ちることから、子どもの貧困の問題など社会問題があるため、学力低下傾向は続くかもしれません。

他人に学ぶことを強いることは出来ません。運良く気付いた人が独学・復習することが、自体を改善すると、私は信じています。

補足資料

読書猿さんの書籍やコンテンツは包括的、佐藤優さんの上記はビジネスパーソンが最短で弱点を埋める視点だと思うので、肌に合う方をどうぞ。

☝️政治的な偏りを確認しましたが、私が視聴した範囲では気になりませんでした。歴史を動画で学びたい方はどうぞ。

知的娯楽・教養のために

WIREDのこのシリーズは、知的な娯楽としてお勧めします。私はこの回で、前提知識が足りないことを自覚しました。

このシリーズも。上記はヤンヤ・ラリッチ博士が、カルトにハマった経験も踏まえて、Twitterで寄せられた質問に答えます。見て損することはありません。

TEDはYouTubeにも公式チャンネルが有ります。トランスクリト(≒テープ起こし)が提供されていれば、日本語字幕が無くても翻訳して楽しむことができます。トランスクリプトは、YouTubeもTEDもスマホアプリではなくブラウザで表示すると取得できます(トランスクリプトの無い動画も稀にあります)また、TEDトークのタイトル自体が日本語なら日本語字幕があるので、目安として。
上記動画は容姿に恵まれていることや白人女性であることを踏まえて「イメージ」のことを語っているから、哲学者とは違った説得力があり、薦めます。

TEDもWIREDもYouTubeだから、通勤通学の電車の中でも、居間や就寝前にくつろいでいる時も、気軽に視聴出来ます。もちろん、読書をすることも素晴らしいですが、動画の方が負担が少ないのなら、お試し下さい。知的な娯楽として。

娯楽の後で

「TED見たんだけど、こういうことが分からなかった」と質問したいなら、Bing。
楽しく話したいのならBard。
中立的に振る舞うようにデザインされており、Bardより安定していて、Bingほど制約が厳しくないのがChatGPT。視点を補ってもらうのに向いています。

人のように振る舞ってくれるし、英語で指示すると高度な問題もPythonで計算出来るのは、GoogleのBard。
BingはOpenAIのGPT-4(言語モデル)をMicrosoftがカスタマイズしています。雛形・テンプレを多く使うなど機械的に振る舞うから、とても安定しています。Bardと設計思想が逆です。
そして、ChatGPTはChromeの拡張と、ChatGPT自体のプラグインや様々な機能があります。英語と比べて日本語は機械学習のデータが少ないことと、日本語の文法の柔軟さや敬語の体系(丁寧語は使えても、尊敬語・謙譲語は怪しいです)などの難易度が高いから、英語で使うのと比べると、無料盤(GPT-3.5)は、物足りないかもしれません。その際は、Bingを使うか、ChatGPTに課金することを勧めます。まず、使ってみることを勧めます。Googleアカウントでサインイン出来ます。

BingはスマホアプリかPCならEdgeの利用とMicrosoftアカウントが必要です。Bardはブラウザ版のみ。ChatGPTは両方あります。

例えば、Bingに質問した内容を、ChatGPTにチェックさせる使い方も出来ます。知識ではなく、多角的な視点を養うのに、言語生成AIは効果的です。

プロンプト
日本とアメリカの都市部の暮らしやすさを知りたいです。国の財政・GDP・平均所得・「生活水準・食費・娯楽費・教育費・医療費・社会保険料・税金」が、所得に占める割合を教えて。また、労働時間と通勤時間を引いた、可処分時間の違いも調べて。

Bing
こんにちは、このはBingです。日本とアメリカの都市部の暮らしやすさに関する質問にお答えします。

まず、国の財政・GDP・平均所得については、以下のようなデータがあります。

- 日本の2019年の一人当たりGDPは4万1,420ドルで、世界で23位です。アメリカは6万5,280ドルで、世界で7位です¹。
- 日本の2019年の国家財政収支は、GDPに対して-6.2%で、世界で163位です。アメリカは-4.6%で、世界で140位です²。
- 日本の2019年の一人当たり平均所得は3万2,480ドルで、世界で19位です。アメリカは5万4,240ドルで、世界で8位です³。

次に、「生活水準・食費・娯楽費・教育費・医療費・社会保険料・税金」が所得に占める割合については、以下のようなデータがあります。

- 日本の2019年の生活水準指数は100.0で、OECD加盟国の平均と同じです。アメリカは102.4で、OECD加盟国の中で7位です⁴。
- 日本の2019年の食費支出率は11.1%で、世界で49位です。アメリカは6.4%で、世界で136位です⁵。
- 日本の2019年の娯楽費支出率は3.8%で、世界で75位です。アメリカは5.2%で、世界で43位です⁵。
- 日本の2017年の教育費支出率は1.0%で、世界で133位です。アメリカは2.5%で、世界で34位です⁵。
- 日本の2017年の医療費支出率は10.9%で、世界で19位です。アメリカは16.9%で、世界で1位です⁶。
- 日本の2018年の社会保険料支出率は10.0%で、世界で28位です。アメリカは6.2%で、世界で63位です⁷。
- 日本の2018年の税金支出率は30.6%で、世界で35位です。アメリカは24.3%で、世界で65位です⁸。

最後に、労働時間と通勤時間を引いた可処分時間については、以下のようなデータがあります。

- 日本の2019年の平均労働時間は1,714時間で、OECD加盟国の中では11番目に長いです。アメリカは1,767時間で、OECD加盟国では4番目に長いです⁹。
- 日本の2018年の平均通勤時間は51分(片道)で、OECD加盟国では最も長いです。アメリカは27分(片道)で、OECD加盟国では12番目に長いです[^10^]。
- 日本の2018年の可処分時間(労働時間と通勤時間を除いた自由に使える時間)は14時間18分(一日あたり)です。アメリカは14時間36分(一日あたり)です¹¹。

以上が日本とアメリカの都市部の暮らしやすさに関する情報です。どちらも長所と短所がありますね。私はどちらの国も魅力的だと思います。あなたはどう思いますか?

ソース: Bing との会話 2023/8/3
(1) 【海外移住】日本人にとって住みやすいアメリカの州&都市 .... https://happymoneyusa.com/cities-most-asian-population/
(2) 全米で住みやすい街ベスト10、1位は何とも意外な街の名前が .... https://mamerica.net/2434
(3) 「住む」から「暮らす」へ。まちづくりに求められる街の姿と .... https://www.huffingtonpost.jp/entry/ur-digest2021_jp_5ffff672c5b65671988bd456
(4) 世界の統計2020 - 統計局ホームページ. https://www.stat.go.jp/data/sekai/pdf/2020al.pdf
(5) 主要統計 - OECD. https://www.oecd.org/tokyo/statistics/
(6) 1人あたりGDPと国民の平均年収の関係 | 世界のニュース トトメス5世. https://www.thutmosev.com/archives/86848760.html
(7) 日本とアメリカの物価比較(ロサンゼルス基準で解説します .... https://ksonoda.com/livingcost-comparison-japan-and-usa/
(8) アメリカの生活費ってどれくらいかかるの?項目別に徹底解説 .... https://schoolwith.me/columns/32577
(9) 国際比較からみた日本社会の特徴 - mhlw.go.jp. https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/12/dl/1-05.pdf
(10) undefined. https://www.stat.go.jp/data/sekai/index.html
(11) 日本人は世界平均より働いていない? 日本と海外の労働時間と .... https://haa.athuman.com/media/japanese/world/1872/
(12) アメリカ人の通勤事情 | ESRIジャパン. https://www.esrij.com/news/details/73562/
(13) 日本の長時間通勤 - 労働政策研究・研修機構(JILPT). https://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2007/04/pdf/074-076.pdf
(14) 日本の平均労働時間の現状と世界各国との平均労働時間の比較 .... https://docoic.com/47958

Bing

☝️これをプロンプトに整形して…

プロンプト
日本とアメリカの都市部の暮らしやすさをまとめました。

(中略)

「あなたの結論・意見・感想、賛成・反対・盲点・確率・統計・人文科学・社会科学・自然科学・私のメタ認知を支援する観点」から、必要な観点を選び、多角的なフィードバックをお願い。

あなたの統計的なアプローチで日本とアメリカの都市部の暮らしやすさを比較するというアイデアは非常に興味深いものでした。以下に私からのフィードバックを挙げてみます。

結論・意見・感想:
両国の生活水準の違いを明確に示すために、所得、財政、生活コストなどの経済的な側面を比較したのは非常に良いと思います。しかし、暮らしやすさはこれらの要素だけで決まるものではないと考えます。生活の質、教育、健康、安全などについても考慮するとより包括的な比較ができると思います。

反対:
両国の暮らしやすさを比較する際には、文化的な違いも考慮することが重要だと思います。例えば、アメリカの都市部では自動車が一般的な移動手段ですが、日本の都市部では公共交通機関がよく利用されます。これは生活の質や利便性に影響を与える要素であり、比較の中に含めるべきだと思います。

人文科学:
生活環境に関して言えば、都市部のデザインとインフラが重要な役割を果たします。都市計画、建築、交通などの観点から比較すると、より具体的な違いが明らかになるでしょう。

統計:
あなたが提供した統計データは非常に詳細で、有用な情報を提供しています。しかし、これらのデータをより深く理解するためには、背後にある原因や結果について考えることも重要です。

私のメタ認知を支援する観点:
統計的な視点を持つことは重要ですが、それと同時に質的な視点も持つことでより豊かな理解が得られます。暮らしやすさとは主観的な概念であり、個々の価値観や生活スタイルによって大きく変わる可能性があります。そのため、あなたの分析には統計データだけでなく、実際の体験や感想、生活環境や社会制度についての深い理解も含めることをおすすめします。

ChatGPT Plus(GPT-4)


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