上記は、大平哲准教授(慶應義塾大学経済学部)が96年の授業で書かれた文章の一節です。
この授業カタログの「前提知識」の扱いが分かりやすいです。
上記二つの引用の通り、建設的な議論にはやり方があります。
議論するには前提知識が必要です。物事を理解するには、認知バイアスや確証バイアスも改善すべきです。「認知バイアス」は認知心理学や社会心理学の用語で、先入観や色眼鏡のことです。「確証バイアス」は自分に都合の良い情報を集めてしまい反証を見落とす客観視が機能しにくい状態です。
認知心理学が専門の池田まさみ教授(十文字学園女子大学)が手がけられた「錯思コレクション」は、デザインが見やすく、情報と参考文献が豊富で、具体的な例と解説が簡潔なため、お勧めします。
色眼鏡を自覚すると同時に、前提知識となる基礎教養に欠損が無いかをチェックします。具体的には高校の教科書の水準を習得していれば、新聞や本を読む際に前提知識が足りなくて理解できない可能性を減らすことができます。
国語の読解力(文脈を読む力など)が低いのかと驚く機会もありますが、先述した基礎教養が習得出来ていないため、その方の独自の定義の解釈や独自の価値観・世界観の一般化を行う可能性が有ります。
前提知識を共有できず、定義の確認も無しに議論をしようとしても、それは「印象の交換」であり、何を議論しているのか分からないはずです。Aという事柄を議論するとして、Aとは何か定義せず、Aの中身やAで扱いたいことが不明では、議論は成立しません。
僕らは対等な大人であり、その方の保護者でも教師でもありません。ネットで、「自信や確信を持って前提や推論の過程や比喩が問題のある事柄を話している方」を見かけても、問題は不勉強なその方にある可能性が高いため、「伝え方の配慮不足」かとご自身を責めないことを薦めます。
日本で分断が起きているのは、社会的な地位や経済的な格差だけでなく、学力低下も関係しそうです。
OECD生徒の学習到達度調査(PISA)で「読解力の低下」が指摘されており、昭和の詰め込み教育の時代と比べて学力が下がっています。また、経済的に貧しい国は学力も落ちることから、子どもの貧困の問題など社会問題があるため、学力低下傾向は続くかもしれません。
他人に学ぶことを強いることは出来ません。運良く気付いた人が独学・復習することが、自体を改善すると、私は信じています。
補足資料
読書猿さんの書籍やコンテンツは包括的、佐藤優さんの上記はビジネスパーソンが最短で弱点を埋める視点だと思うので、肌に合う方をどうぞ。
☝️政治的な偏りを確認しましたが、私が視聴した範囲では気になりませんでした。歴史を動画で学びたい方はどうぞ。
知的娯楽・教養のために
WIREDのこのシリーズは、知的な娯楽としてお勧めします。私はこの回で、前提知識が足りないことを自覚しました。
このシリーズも。上記はヤンヤ・ラリッチ博士が、カルトにハマった経験も踏まえて、Twitterで寄せられた質問に答えます。見て損することはありません。
TEDはYouTubeにも公式チャンネルが有ります。トランスクリト(≒テープ起こし)が提供されていれば、日本語字幕が無くても翻訳して楽しむことができます。トランスクリプトは、YouTubeもTEDもスマホアプリではなくブラウザで表示すると取得できます(トランスクリプトの無い動画も稀にあります)また、TEDトークのタイトル自体が日本語なら日本語字幕があるので、目安として。
上記動画は容姿に恵まれていることや白人女性であることを踏まえて「イメージ」のことを語っているから、哲学者とは違った説得力があり、薦めます。
TEDもWIREDもYouTubeだから、通勤通学の電車の中でも、居間や就寝前にくつろいでいる時も、気軽に視聴出来ます。もちろん、読書をすることも素晴らしいですが、動画の方が負担が少ないのなら、お試し下さい。知的な娯楽として。
娯楽の後で
「TED見たんだけど、こういうことが分からなかった」と質問したいなら、Bing。
楽しく話したいのならBard。
中立的に振る舞うようにデザインされており、Bardより安定していて、Bingほど制約が厳しくないのがChatGPT。視点を補ってもらうのに向いています。
人のように振る舞ってくれるし、英語で指示すると高度な問題もPythonで計算出来るのは、GoogleのBard。
BingはOpenAIのGPT-4(言語モデル)をMicrosoftがカスタマイズしています。雛形・テンプレを多く使うなど機械的に振る舞うから、とても安定しています。Bardと設計思想が逆です。
そして、ChatGPTはChromeの拡張と、ChatGPT自体のプラグインや様々な機能があります。英語と比べて日本語は機械学習のデータが少ないことと、日本語の文法の柔軟さや敬語の体系(丁寧語は使えても、尊敬語・謙譲語は怪しいです)などの難易度が高いから、英語で使うのと比べると、無料盤(GPT-3.5)は、物足りないかもしれません。その際は、Bingを使うか、ChatGPTに課金することを勧めます。まず、使ってみることを勧めます。Googleアカウントでサインイン出来ます。
BingはスマホアプリかPCならEdgeの利用とMicrosoftアカウントが必要です。Bardはブラウザ版のみ。ChatGPTは両方あります。
例えば、Bingに質問した内容を、ChatGPTにチェックさせる使い方も出来ます。知識ではなく、多角的な視点を養うのに、言語生成AIは効果的です。
プロンプト
日本とアメリカの都市部の暮らしやすさを知りたいです。国の財政・GDP・平均所得・「生活水準・食費・娯楽費・教育費・医療費・社会保険料・税金」が、所得に占める割合を教えて。また、労働時間と通勤時間を引いた、可処分時間の違いも調べて。
☝️これをプロンプトに整形して…
プロンプト
日本とアメリカの都市部の暮らしやすさをまとめました。
(中略)
「あなたの結論・意見・感想、賛成・反対・盲点・確率・統計・人文科学・社会科学・自然科学・私のメタ認知を支援する観点」から、必要な観点を選び、多角的なフィードバックをお願い。
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