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興味深いnoteの記事

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#エッセイ

エッセイ「また、会えるよ」

 死んだ父の夢を見ることがある。食道がんで五十一歳に亡くなった父は、夢の中では元気なときの姿で、川のほとりに立っている。  それは私が子供の頃に家族でよく通ったニューヨークのハドソン川であったり、湖のように大きな見知らぬ川だったりした。  川はゆったりと流れて、淡い青空の下、静かに水面が輝いている。少し霧がかかって、遠くの対岸には近代的なビルなどの現代の街並みが見える。他に人はおらず、私と父の二人きりだ。  父の出てくる夢はもう何度も見たので、夢の中に現れても、私はすぐ

画像が語るウクライナ情勢 (2)

時は変わってもやってることは似たようなもの。まさか2022年のこの現代にタイムワープのようなことが起こるとは。 2枚の画像の類似点を見て悲しくなる。過去から何も学んだことはないのか。 ウクライナの人々はペットを連れて逃げる。置きざりにはできない、家族だから。 泣きながら猫を連れて逃げる。 👇シェルターにもなるキエフの地下鉄駅に避難してきた市民たちです。ありそうもないことが実際こうして起きてしまった。 ミサイル実験を繰り返す物騒な国が近くにある日本、緊急時のシェルター

芥川賞作家の思い出①

皆さんは「芥川賞作家」と聞いて最初に誰の名が浮かびますか? 私は中村文則(なかむら ふみのり)です。彼の代表作「掏摸」(スリ)に出会うまでは「現代文学は当たり外れが激しい」「小難しいテーマや前衛性に囚われて話があやふや」「太宰や三島や漱石を読む方が間違いない」という偏見が少なからずありました。 ところが彼の小説は(少なくともデビュー作「銃」から「あなたが消えた夜に」ぐらいまでは)、私の好きな旧時代の文学と味わいが似ていました。カミュやドストエフスキー、サルトルらの遺した名

わたしの愛するペンたち #3000字に込めた偏愛

ある日森の中クマさんに、ではなくて、ある日noteの街をフラフラしていたら椎名トキさんが企画をされていました。 うわ~~これは書かねばなるまい! 1~2度、お話ししたことがある(ような気がする)トキさん、なんてステキな企画を考えるんだ! 偏愛BARにお邪魔したことはないけれど偏愛してるモノはあるんだよ。書かせて下さい。どうぞよろしくお願いします。 というわけで、前々から書きたかった推し文具について書こうと思います。 森野は文房具が好きだ そうなんです文具が好きです。文

読書感想文~炎立つ

下手すれば四半世紀前になる作品でしょうか(苦笑)。 大河ドラマ「炎立つ(1993~1994)」の原作です。 高橋克彦氏によって描かれた、前九年の役前後から鎌倉時代にかけての奥州藤原氏の興亡を描いた作品です。 5巻までありかなりのボリュームですが、めちゃくちゃ面白い! 物語は、多賀城国府に仕えていた藤原経清の物語から幕を開けます。 平安初期の頃ですね。 経清~北の埋み火、燃える北天、空への炎藤原経清は、亘理郡を差配していた大夫。祖先をたどれば中央政権の藤原氏に連なる系譜です

ファミマのソックスを愛用しすぎたらいつの間にかファミマ推しになっていた

ファミマがアツすぎる。 アツすぎて、火事が起きそうだ。 それは言いすぎた。とにかく、私の中で『ファミリーマート』というコンビニがめちゃくちゃブームになっているのだ。でも今まで、かなりファミマにお世話になっていたはずだが、なぜ今頃のブームなのか。 中学校の職業体験の場所がファミマだった。今だったらすごく喜ぶけど、当時は『なんで職業体験がコンビニなんよ!』とちょっとだけ不満はあった。 何をやったかは正直記憶が薄れているけど、ぽっちゃりした体型の店長さんが抜けっぽかったこと

無性に書きたくなって。

ずっとこのnoteというものの使い方を考えていました。最初は初回の投稿でも書いたように、自分が興味を持っている分野を色々実験的に表現してシェアできたらな、と考えていました。たぶん主に精神世界的なことや、スピってる経験則を自分なりに書く!としていました。ところがあれこれ捏ね回して考えているうちに、そっちは書こうとするほど抑止が利いて筆が止まってしまうのでした。そういう時はまだそのタイミングではないと割り切ることにして降りてくるまで放っておくことにしました。そんなある日、ツイッタ

みらっちセレクション⑤ わりと人生を狂わせがち

今回は中学校編です。 中学時代は、以前書いたことがありますが、私の中では少女小説全盛時代。 そのうえ、どちらかというとアニメに夢中でした。 当時のアニメは、勢いがあったんですよね。 『アニメージュ』という雑誌もありました。 『風の谷のナウシカ』が連載されていた気がします。 特に『超時空要塞マクロス』『北斗の拳』『うる星やつら』はかなりハマっていました。「小白龍~」と一緒に歌ったり、「あたたたたた!」といって遊ぶ人が誰もいませんでしたね。孤独でした。笑 いまでいう、オ

青春の馳星周

馳星周の作品はほぼ読んでいる。 私は、馳星周の初期作品に焦がれた一人である。 馳星周といえば、歌舞伎町を舞台にした暗黒小説、つまりはノワール小説の『不夜城』が一番有名な作品だと思う。 これは、映画化もされていて、金城武が主演だった。私はこの映画が好きでも嫌いでもないが、然し、劉健一を演じられる役者がいることに驚きがある。私は後発組なので、子供向け映画を観ていた時に、この映画のポスターが大々的に貼り出されていて、怖かった思いがある。 大体、京都宝塚では、ドラえもんやクレヨ

【全て源泉かけ流し!】私が泊まった4千円以下の温泉宿

 温泉旅行の宿代の平均は、1泊2食付で1万5千円だそうです。 高いと思うか安いと思うかは価値観に依るところ。ですが長期滞在が基本となる湯治、1~2週間単位で治療(ワーケーション)に出ることも多い私にとっては致死量の価格です。  病臥する以前からボロ宿嗜好の強かったため、剝れかかった壁紙に立て付けの悪いドア、廊下のギシギシ音などは元々何とも思いません(害虫は苦手)。高級旅館に泊れない僻みからではなく、家族経営の小さい宿が本当に好きなのです。  定款やマニュアルに縛られないお

《陸軍登戸研究所》を知っていますか? (街で★深読み)

数年前に仕事で明治大学理工学部に行った時、会議後の雑談の中で先生に教えていただいた。 「この生田キャンパスはね、戦前、陸軍の秘密研究所だったんですよ」 そのことがわかる資料館がある、とうかがい、仕事が終わった後でさっそく見学をしてきました。 それ以前にも、何度かキャンパスを訪れ、時間調整で散歩した時に、不思議なものを見ました。 その時は遠目に見ただけでしたが、大学の構内に《神社》があるのです。 改めてそこを訪れると、説明のプレートが掲げられていました。 説明書きは、「研究

CITTA手帳を実質1000円で手に入れた方法

CITTA手帳メソッドだけを取り入れ、手帳自体は別のものを使い続けていた私が、2022年のCITTA手帳を購入しました!!  購入した手帳 CITTA手帳 B6サイズ 2021年10月~2022年12月 カバー色 マンダリンオレンジ(今年の新色) 公式予約特典の付箋と下敷き付 カバーはかなり目立つ色。素材はビニールだと思いますが、どこかしっとりとした高級感があります。 今までどうしてCITTA手帳を使っていなかったのかこれはもう、単純に、私には値段が高すぎた。以上。 加

【都内】夜に訪れたい、文壇bar7選

こんばんはTAGABOOK編集部の令です。 本日は『夜に訪れたい、文壇bar7選』を紹介します! 1. Bar Rupin銀座の喧騒も裏路地に入り込めれば、文学界の方が密かに通い詰めるBarにたどり着くことができます。それもそう、文豪太宰治も通ったとされるお店です。カクテルが並ぶカウンターテーブルには、当時通い詰めた太宰治のDenaが付着しているかも。(隣席の医者がお話されたジョークから引用してます)深いお話に盛り上がっても、くれぐれも2人揃って入水自○だけはなされないよう

Cafe&Bar bookcobar・Hotel OKUnoMA

こんばんは、TAGABOOK編集部の令です。 本日は浅草に佇む話題沸騰のブックカフェ&ホテルの「Cafe&Bar bookcobar・Hotel OKUnoMA」を特別に取材させていただきましたので、魅力についてご紹介させていただきます。 Cafe&Bar bookcobar①文壇トークが弾む、文学空間 建築家が、生み出した空間は文字通り「文学×建築のイノベーション」。 浅草情緒漂う本の隠れ家で、コーヒーやお酒を楽しむ文壇トークは時間の流れをとろけさせます。 空間にふ