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日曜暮れ六つ奇話

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サザエさん症候群にやられた人が現実逃避をして眠りにつけるよう、これまで収集・体験した不思議だったり怖い話を詰め込んでおります。 名前の通り、毎週日曜の夕方更新予定。 【主な登場…
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2024年3月の記事一覧

花の怪 ~桜奇譚~

花の怪 ~桜奇譚~

昔から、花の咲く木が好きだ。
梅、桃、木蓮、椿、そして桜。

桜は花が咲いても若葉でも、冬の裸木でも好きだ。
付属される毛虫はさておき、枝ぶり、葉、幹の質感、どこを取っても美しい。
好きだから特別なのか、何か繋がりがあるから好きなのかは分からない。分かっているのは
「桜の木にだけ視えるものがある」
ということ。

花の怪20年以上前に住んでいた家の目と鼻の先には神社があった。
ここは数ある白山社の

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猫の恩返しは死んでから ~黒猫・初代奇話~

猫の恩返しは死んでから ~黒猫・初代奇話~

うちのダンナが犬猫を愛でながら、よくこのようなことを言う。

「犬の恩返しは死ぬまで。猫の恩返しは死んでから」

これは、犬は生きている間、主人に付き従いながら恩を返し、猫は生前好き勝手に生き、死後に恩を返しに来る……ということらしい。

犬はさておき、猫は「家につく」「恩を三日で忘れる」などと言われているが……はてさて、本当のところはどうなんだろう?

黒猫、死しても恩を忘れず ~幽霊初代の奇行

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黒い守護者~黒猫・初代~ 

黒い守護者~黒猫・初代~ 

古今東西を問わず、猫を愛し、猫に狂う人々がいる。

ダ・ヴィンチは「猫は神の作った最高傑作である」 という言葉を残し、ピカソやダリも猫を愛した。
我が国でも室生犀星や大佛次郎、果ては宇多天皇までもが猫の下僕となった。

猫の魅力は、時代や場所を違えて人々の心を鷲掴み……いや"猫掴み"にする。
そして、こんなことを言っている私もその肉球と爪に捕らえられた一人だ。

「働いたら負け」とは、猫と貴族とニ

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幻想桜譚 ~春を乞うもの~

幻想桜譚 ~春を乞うもの~

あれよ、あれよという間に2月が過ぎ、気付いたら明日は啓蟄。
なるほど、冷たい風にも一筋の春の香りが混じるわけだ。

この国で春を表す花と言えば「桜」だ。
他にも梅、桃、木蓮、色々あるが、やはり桜が一番いい。

今夜は、そんな春と花の不思議な話。

■立春と花

「それ」がいつから視えるようになったのか、 よく覚えていない。
覚えちゃいないが、桜の木に「不思議なモノ」を見かける。

毎年、立春を過ぎ

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