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『世界の端から、歩き出す』(ポプラ文庫ピュアフル)販促〜本当にあったホテルの「こわい」話・3


更に引き続き、「ホテルにまつわる怖い話」。
小説の方は、以下より、ちょっとだけ試し読みできます。
冒頭部分で「ファンタジー?」とか「あやかし系?」とか思われる方が多いようですが、実はこの後はその要素はほぼありません(笑)。


今回は「こわい」は「こわい」でもちょっと毛色の違う「こわい」話。

前回の廃業しちゃったホテルとはまた別の、外資系ホテルで働いてた時のこと。


この時はオープニングスタッフとして入社したので、まわり全員が同時一斉入社。
なので、社員研修も皆同時。でも勿論、役職によって受けるプログラムは違います。
当時自分がいた課のマネージャー、いわば課長さんがそれを受けてきた後に聞いた話。


受けたのは上級管理職プログラム、内容としてはまあ普通の、「部下はこのように指導しましょう」的なシロモノ。
部下に何か新しいことを教える時には、まず説明し、次に説明しながらやって見せ、質問を受け付け、やらせてみて修正する、そういうステップを踏みましょう。そんな感じ。


ひと通りの説明を終えて、講師さんから受講者に「ひとりずつ感想を」との要請。
これもまあ、皆さん普通に無難に、「参考になりました」とか「こういう点に気をつけたいと思います」てなこと答えていきます。


そんな中、料飲の長(見た目は完全に893さん)が指名されて一言。


「 殴らなくても部下にものが教えられると判りました 」



えっ。
ら ん ぼ う ……!


もう、うちの上司を含め、全員が振り返ってかの人を見てしまったそうです。
講師も「えっ……」と絶句。


うちの上司さん、「こわぁ……」と思いつつも、「ここでそれを言うそのメンタルがすごい」と大変興味がわいて、休憩の際に話しかけてみたそうです(笑)。
そこで知ったのが、その人が以前職場を辞めた、イヤ辞めさせられた理由が、


「 冷蔵室のデカい肉を吊るす鈎に部下の女の子を逆さ吊りにしたから 」


……いやもうそれ警察呼ばれるレベルじゃないかな!???

よう辞めさすだけで済んでくれましたな……なんとおそろしい……。



まあ今は全然違うのでしょうが、昔はホテルの料飲というのはヤンキーあがりや893あがりの方が本当に多く、大変にハードなワールドだったのですよ。ホテル自体のクラスとは全く関係なく。
なのでもう料飲の世界は異質と言うか。アンタッチャブル、他の部からは手出しのできん感がありました。
この料飲の偉いさんもベテランですから、当時は既に平成でしたが、もうバリバリの昭和モードで叩き上げられてきた人な訳で。
今はもうこんな乱暴者はそうそういないと思います、はい。

ちなみにその「逆さ吊り」にはセクハラ的な意味は一切なくて、ただ単に仕事が猛烈にできないわ言うこと聞かないわで(料飲さん談)腹が立ちすぎてやったことらしい。いやそれでも絶対ダメですけどね。

あらためて「料飲こわい……おそろしい……」という気持ちが高まった、当時の「こわい」話でした。
 




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