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【読書】11月に読んだ本 7冊

11月は何かとバタバタしていましたが、意外と本を読んでいました。
去年は仕事が繁忙期に入った瞬間本が読めなくなっていたけれど、今年はいい感じのペース。
というわけで11月に読んだ本のまとめです。




落日 / 湊かなえ

新進気鋭の映画監督長谷部から、新作の相談を受ける新人脚本家の千尋。15年前に起きた引きこもりの青年が妹を刺殺し、放火して両親も殺害してしまった事件を映画にしたいという。
ちょっとずつ明らかになっていく過程がなかなかキツく、想像すると苦しくなった。これとこれは繋がりそうか…?と思ったそばから、じゃあこれはどう説明する?と自問自答しながら読み進め、最後はこちらの予想を上回る構成力ですべて全部回収していった。長いし章ごとに視点も変わるし、複雑な構成なのにぐいぐい読ませる湊かなえさんはやっぱり凄い。


はーばーらいと / 吉本ばなな

TSUGUMIもキッチンもハマらなかったわたしにとって、めちゃくちゃ久しぶりの吉本ばななさん。宗教2世の女の子ひばりを幼馴染の男の子つばさとその家族が救おうとする物語。ひばりの場合、宗教2世というか、途中から親が信仰に入ったので純粋な2世ではないから余計苦しかっただろう。風変わりのひばりがつぐみを彷彿とさせるのだけど意識してるのかな?してるだろうな。
あとどうしても引っかかったところ。つばさがひばりのことをAKBの北原里英と坂本美雨を足して2で割ったような風貌と例えている一文があって、そのふたりを持ち出せるつばさって一体どんな若者?と思ってしまった…。


蜜蜂と遠雷 / 恩田陸

どエンタメ本。直木賞と本屋大賞W受賞、まんをじしての登場。長らく積んでいたが、彼らがコンクールのためにチョイスした演目をBGMとして流しながらようやく読んだ。
国際ピアノコンクールを舞台にした音楽に愛された天才たちの群像劇。視点がくるくる変わるけど全く違和感なく読み進められたし、何より活字が跳ねて鳴っていた。彼らが奏でる音楽を表現する言葉がふたつと同じものがないことが、この世界にふたつとして同じ音楽がないことを表していると思った。クラシックの名曲を活字で書くとこんな感じになるんだなぁ。作家ってすごい。最初から最後までキラキラし続けていた作品だった。


合理的にあり得ない2  / 柚月裕子

1を読み、ドラマを見てからの今作なので、どうしても天海祐希さんと松下洸平さんがチラつくのだけど、やっぱ涼子は天海さんのイメージじゃないんだよなーって思っちゃう。ドラマより原作の設定の方が断然好き。どうしてドラマで涼子が激辛好きとかやっちゃったんだろう。
物語の内容としては1の方がミステリとして、よくできてるなと思った。2はライト感が増して読みやすかったけどそこが物足りなくも感じてしまった。とはいえ3が出たらまた読むのだろう。3つ目のお話はちょっと強引すぎて戸惑った。確かに「自分のせい」というのは傲慢かもしれないけど…。


いい子のあくび / 高瀬隼子

いい子でいることとそうじゃないことの両方とも自分。あの子が好きそうな自分になることが演技かと言われたらそうじゃない。多かれ少なかれ、そういう二面性って誰にでもあると思う。でも活字で見ると現実を突きつけられたようでうわうわうわうわ!ってなってしまうんだよな。
表題作はもちろん、思わず鍵谷正造ってググってしまった「お供え」も面白かったし、結婚式の形式に疑問を持つ「末永い幸せ」もすばらしい。実はわたし結婚式場で長らく写真撮っていたけど、確かにあれは「ん?」と思うことが多くて自分には必要ないと判断したことを思い出した(神社で神前式をやりました)。


本性 / 伊岡俊

A4のレポートと写真が出てきた時点でサトウミサキの復讐だろうと予想はつくが後半までは結び付かず、これをどうなって繋げていくのだろうと思いつつ読み進めた。出てくる人たちが容赦ないクズで、刑事の宮下だけが唯一まとも。タイトルの本性が表すのは、ミサキのことではなく、人間全般のことのような気がした。終わり方がとてもよかった。


悪いものが、来ませんように / 芦沢央

どんでん返し系の物語って、騙されたくてうずうずしながら手に取るけど、どうにか見極めたくもあってつい注意深く読んじゃう。でも作家はいつも想像の斜め上をいく。
夫の不倫と不妊に悩む紗英の心の拠り所である奈津子。奈津子もまた無関心な夫や母との折り合いが悪く紗英を支えにしているが、紗英の夫が殺される事件が発生し…、というストーリー。
とにかく構成が上手すぎる。毒親と子煩悩は紙一重なのか…。湊かなえさんの「ポイズンドーターホーリーマザー」を思い出した。単なる女同士のドロドロしたミステリーではなく、いろんな問題がてんこ盛りなのに最後にきれいに回収していくところは圧巻。


12月につづく。

最後まで読んでいただきありがとうございます。よければまた、遊びに来てください。