見出し画像

ロアルド・ダールの「マチルダ」をまるっと精読して音読してみた

ある日の午後、夫がブックオフで一冊の洋書を買って帰ってきました。
「これ知ってる?おもしろいから読んでみて。子供用だから簡単だと思うよ〜」と夫。
220円の値札がついたピンク色の表紙のそれは、Roald Dahl (ロアルド・ダール)の 『Matilda(マチルダ)』です。

ロアルド・ダールはイギリスの小説家です。日本で一番有名なのは映画にもなった『Charlie and the Chocolate Factory(チャーリーとチョコレート工場)』でしょうか。『Matilda』も映画化されているようです。

『Matilda』 あらすじ

マチルダは天才少女。三歳になる前に字が読めるようになり、四歳で、有名な文学作品も読みこなす。ところが両親ときたら、そんな娘を「かさぶた」あつかい。「物知らず」だの「ばか」だのと、どなりちらしてばかり。学校にあがると、そこには巨大な女校長がいて、生徒をぎゅうぎゅう痛めつけている。横暴で高圧的な大人たちに頭脳で立ち向かうマチルダの、痛快仕返し物語。
amazon

児童書ですが大人が読んでも関心させられるし、気付かされることがたくさんありました。塗る薬がないほど腐った大人がたくさんいるんだよっていうどうしょうもない世の中のことを、ユーモアを交えて書いている児童書です。テーマがなかなか重いんです。そのギャップがまたおもしろい。

マチルダの親はマチルダに対して、今で言うネグレクトをしています。親から何にも教わらないし、何もしてもらえない。そんなマチルダは天才少女なので本が友達になりました。

The books transported her into new worlds and introduced her to amazing people who lived exciting lives. 
(本は新しい世界に彼女を連れていき、刺激的な生活をする素晴らしい人々を紹介したのです)
Matilda

ラストシーンはハッピーエンドではあるものの、これでよいのかと思ってしまうほど考え込む羽目に。まさか児童書でこんな気持ちにさせられるなんて。大人になりすぎたわたしが読むから、単なるハッピーエンドには捉えられないのかも、と思うとなんとも複雑。
しょうもない親(大人)は捨ててもよい、自分の人生を切り開いていくのだ、という強いメッセージ性を感じました。これを大人が子供に伝えているのがこの本の魅力です。


原書『Matilda』とは?

原書は232ページで40009ワード。イギリスでは小学校高学年くらいから読めるとされているようです。
夫曰く、ダールを1冊も読んでいないイギリス人はいないと言うほど、ダールの作品はイギリスで愛されているのだとか。
amazonでマチルダを検索してみると、5800ものレビューがあるにも関わらず、4.8の高スコア。すごい。
一方で日本語訳版の『マチルダは小さな大天才』は72レビューなので、どれだけワールドワイドに愛されているかがわかりますね。


『Matilda』の英語はどんなレベル?

マチルダを読むには英語力中級〜というのが一般的なようです。わたしの肌感でもそのくらいかな、といった感じ。中学卒業レベルだとちょっと難しいと思いますが、大学の受験勉強でやっていた長文読解に比べたらだいぶ読みやすいというようなレベルです。
ブラックユーモアが散りばめられているので、聞き慣れない言葉がたくさん出てくるのですが、なんだこれ?と思って調べるとだいたい誰かを侮辱する言葉。そら勉強では出てこんはずや。特に大人から子供に向けた悪態が全編にわたってあちこちに。口の悪い言い回しやイディオムもたくさん出てきます。

Do you deny it, you miserable little gumboil?
否定するんじゃないよ。この惨めなクソガキめ!(gumboilは歯肉の腫れ物という意味で、you miserable little gumboilで上記のような意味に)

Go to blazes! 
くたばれ!

〜 you filthy little maggot! 
このうじ虫野郎!

のように、悪口のバリエーションが豊富。悪ガキはbratということもこの本で覚えました。悪ガキのバリエーションも豊富。ありがとうダール。きっと一生使わないけれど。うじ虫野郎。


精読して音読する

今回はわからない単語やイディオムを推測しながら読み進める多読ではなく、せっかくなので調べながら精読してみました。そうすると、高校、大学と苦手だった分詞が今も苦手であることに気づき、成長とは……と白目。ただ会話で苦手な仮定法は、物語で読むとさらっと理解できることにも気づきました。

そのあとは、夫には本を見せず、わたしの声だけで内容を理解してもらう音読をやりました。変な発音があると直してもらったり、逆に夫に読んでもらったりして、40009ワードの本を音読でも完走。

精読と音読で2回読んだことで、せっかくなのでこの本を使ってブリティッシュアクセントを勉強してみようかなという気になってきました。夫の声を録音するのはどうかと頭をよぎりましたが、さすがに夫もそこまで暇じゃない。そこで見つけてきたのがオーディオブックです。


ケイト・ウィンスレットが読む『Matilda』

マチルダのオーディオブックを読んでいるのは女優のケイト・ウィンスレットでした。夫がよくケイト・ウィンスレットの英語はきれいだからイギリス英語の勉強にいい、と言っていたこともあり、早速ダウンロードしてみることに。
これがとんでもない朗読でした。
ただの朗読と思って再生すると、あまりの凄さにひっくり返ります。これはもうケイト・ウィンスレットの一人芝居。もはや作品です。
登場人物に合わせて声色を変え、アクセントも変えているため、一回聞いたくらいじゃ何言ってるかさっぱり分かりません。演技力が災いして聞き取れないなんて。

子供の頃からずっとアメリカ英語で勉強してきたので、夫がイギリス人にも関わらず、イギリス英語のリスニングはちょっと苦手なわたし。これを機にケイトの英語を先生に、マチルダは聞き取れるようにしたいなーと思っています。



……英語学習はつづく。



この記事が参加している募集

#習慣にしていること

130,749件

#最近の学び

181,501件

最後まで読んでいただきありがとうございます。よければまた、遊びに来てください。