『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』とテーマ曲『BEYOND THE TIME』から考える、愛と平和と争いと。
今回は急に思い立ち、アニメオタクな記事を書いております。
以前書いた、音楽の記事↓
コメントのやり取り中、昔TMネットワークにハマった時期を思い出し、久々にCDを引っ張りだして「なつかし〜…」と聞いておりました。
その中でも一番好きだったのが、劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』のテーマソングである
『BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~』です。
で、この曲の良さを語るため、まずは『機動戦士ガンダム』の話を…と書き始めた次第。
おばさんが、平日のど昼間に働きもせず、なんでいまさらガンダムの話なんかわざわざ書いてんねん、と言う心のつぶやきがしばしば湧きあがりました(この年で、「ジェットストリームアタック」の文字を打つことになろうとは…)が、ここはもう一旦横においておきます。
子どもの事でなんやかんやあって、内職の仕事先に「しばらく急ぎの仕事できません」って言ったら、当然仕事がぱったりなくなり。
そんなこんなで、どんどん社会生活から外れており、日々生産性ゼロ生活を送っていて。
こんな人生で、本当に大丈夫なんかいなと思いつつ、でもどっかから「気にすんな、今回はこれを書くターンや」という声がするようでもあり、流れるままにこの記事を書いてます(笑)
ちなみにアニメオタク記事とはいっても、現在のガンダムとかは全く観ていないので、子どもの頃の記憶を頼りにした、かなりライトなオタクです。
色々うろ覚え…(笑)
ただ、『BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~』と『水の星へ愛をこめて』はホントいい曲だと思うので、アニメに興味のないよ〜という方は、良かったら曲だけでも聴いてって下さい。
たぶん、損はさせません…(笑)
それでは、そろそろ本題へ…
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【ガンダムとの出会い】
子供の頃は2歳上の兄がいる影響で、仮面ライダーとか、わりと男の子が観るTVを一緒に見てました。
その中で、特に印象に残っているのが『機動戦士ガンダム』シリーズ。
私自身は、リアルタイムで『機動戦士ガンダム(初代ガンダム)』、『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』、『機動戦士ガンダムZZ』までは見ました。
(ちなみに兄は、現在の「ガンダム水星の魔女」まで、ガンダムシリーズ全てを見ている模様。今も趣味でガンプラ作っては並べてコレクションしている、バリバリのガンダム世代ガチ勢です。)
当時から、兄がガンダムをかなり好きだったようで、家にガンダムとかズゴックの柄のコップがあったことを記憶しています。
さらに、数年に一度しか帰省しない、両親の実家に行った際には、兄はおじいちゃんに、「これ。ガンダム描いて」と愛読するガンダムのイラスト本を渡してましたね。
(おじいちゃんは器用な人で、「う~ん…難しいな〜」と困りながらも、孫のために一生懸命描いてくれました。なかなかの出来栄えでした。おじいちゃんの愛。)
【機動戦士ガンダム(初代ガンダム)】
『機動戦士ガンダム(初代ガンダム)』は、単なるヒーローロボットアニメとは違い、戦争による人間模様を描いた、まるで大河ドラマのようなアニメでした。
子供にはあまり受けなかったようで、実は全52話放送予定が43話で打ち切られていた、という裏話があります。
初期ガンダムシリーズを語る上で絶対に外せないのは、主人公アムロ•レイと、シャア・アズナブルの2人。
特にシャアは『赤い彗星』とも呼ばれ、その生き様から、様々な世代を超えて圧倒的な人気を誇っています。名言多し。
声優の池田秀一さんの声が、また渋くて…!
洋画の吹き替え(ジェームス・ディーン、チャーリー・シーン、ジェット・リー等)や様々なのナレーションなどもされているので、この声を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
また、「機動戦士ガンダム」は、毎回毎回考えさせられる話が多い中、個人的には主人公アムロ・レイの初恋の人、マチルダさんが死んだ時はかなり衝撃で。子供心に「なんであんないい人が死なないとけなかったのか…戦争って、一体なんなんだ…」と震えたものでした。
ちなみに『黒い三連星』とは、ジオン公国軍のモビルスーツパイロットの、ガイア、オルテガ、マッシュの3人の異名。
あと、不慮の事故で亡くなったミハル。(幼い兄弟を食べさせるためジオン軍のスパイとなり、ホワイトベースに潜入していました。)
リアルタイムで見ながら、「そこは幸せになるところではなかったんか…!」と、子ども心に監督を恨みましたね…。
ミハルに情を移していた、カイ•シデンが、本当に可哀想でした。
子どもが見るには、内容が重すぎる話が多すぎて。それだけ印象深く、毎回考えさせられるアニメでした。(毎週兄と並んで観てたな…。)
オープニング、エンディング、挿入歌もいい曲がたくさんあって、サントラのカセットテープ(世代がバレる!)も買いました。
「哀戦士」とか、渋くて良かったです。
【機動戦士Z(ゼータ)ガンダム】
個人的には『機動戦士ガンダム』の次作『機動戦士Z(ゼータ)ガンダム』が一番好きでした。
主人公、カミーユ・ビダン。
中性的な容姿を持ち「アムロ・レイの再来」と評価され、ニュータイプ最強と呼ばれた彼ですが、その繊細さ故、戦いを重ねるうち、最後は精神を病んでしまいました。
人は戦争に巻き込まれると、精神を麻痺させるか崩壊するかの2択に陥ってしまうものなのだなと思いましたね。悲しい…。
クワトロ・バジーナ(偽名で、正体はシャア)が乗っていたモビルスーツ『百式』がかっこよくて、Zガンダムよりも好きでした。
【Zガンダム2期オープニング曲「水の星に愛をこめて」】
さらに、この「機動戦士Zガンダム」では、オープニング曲にもハマりました。
2期オープニング
「水の星へ愛をこめて」
歌∶森口博子
この歌のオファーを受けた当初、森口さんは「アニメソングなんて…」とガッカリされていたようですが、今となってはこの曲が森口さんの代表曲に。
いやぁ、人生どうなるかわかりません。
このユーチューブの映像とは違いますが(サムネのシロッコがちょっと気の毒…w)、アニメの初めにかかるこの曲と映像がとても美しく完成度が高いもので、今でもこの曲を聞くとその映像が脳内で再生されるほど好きな曲でした。歌詞見なくても歌えます(笑)
とても美しい歌詞で、今聴いてみると「全地球人に向けての愛の歌」のように思えます。
1期の「Z•刻を超えて」(歌∶鮎川麻弥)もカッコよくて良かったです。
なんかZガンダムになってから、作画や曲が急におしゃれになった気がします。でもアニメって、何気にいい曲多いですよね。
ええ、中二病が炸裂しております…(笑)
【機動戦士ガンダムZZ(ダブルゼータ)】
『機動戦士ガンダムZZ(ダブルゼータ)』は、主人公ジュドー・アーシタがイマイチ好きになれず、私的にはあんまり刺さらなかったんですが、話は面白かったです。
悪女オブ悪女のハマーン•カーン、好きでしたね(笑)。
ハマーンが乗っていたモビルスーツの「キュベレイ」も、曲線のフォルムが美しくて好きでした。
あと、最終回にZガンダムの主人公、カミーユが快方に向かう描写、すごく嬉しかったですね~。
ZZでは、オープニングテーマ「サイレント・ヴォイス」と、エンディングテーマ「一千万年銀河」は好きでよく聞いてました。
あ、あと。
忘れちゃいけない重要なキャラクター、ブライト・ノア。
初代から3作に渡り、ずっと登場しています(たぶん他のシリーズにも出てるっぽい)。
『機動戦士ガンダム(初代ガンダム)』で、戦いが激化する中、正規の軍人士官が軒並みいなくなってしまったため、繰り上がりでホワイトベースの艦長になった人物。当時20歳。しっかりし過ぎ。
ブライト・ノアはそれを皮切りに、あらゆる戦いに参加し勝利を収めているリーダーOFリーダーであり、もはや軍神。
実はこの人が地味に一番優秀ですごい人なんではないかと、個人的には感じております。
あと、ガンダムのキャラクターデザインを手がけた、安彦良和さんの作風もすごく好きです。レジェンド!
この頃はガンダムの世界観が好きすぎて、もっと各キャラクターの細かい心理描写が知りたい余り、ガンダムシリーズの総監督、富野由悠季さんが書いた原作本を片っ端からずっと読み漁ってました。
その3作の後は別に興味が移ったため、見ていません。
なにせガンダムシリーズはシリーズの数が多いうえ、時系列も覚えられないくらい…。ファンの方が整理してくれているサイトがあるほどです。
【機動戦士ガンダム 逆襲のシャア】
そして。
今回ご紹介する、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』は、『機動戦士ガンダム』から14年後の出来事で、因縁のライバル同士のアムロとシャアの戦いにピリオドが打たれるもの。
今でもファンの間でとても人気の高い作品です。私もめっちゃ好きでした。
題名が、もうかっこよくないですか?
『シャアの逆襲』ではなく
『逆襲のシャア』。
倒置法万歳。
まず何がすごいって、その映像です。
1988年制作。36年も前のアニメで、CGなしでこの映像のクオリティ。今見ても全然遜色なく。
当時のジブリも、映画界のライバルとしてその出来栄えに震えたのだとか。
あらすじ読んでも、わからん固有名詞だらけで、なんのこっちゃいなと思われる方もいるかと思いますが、ものすごく雑に要約すると、シャアが
『俺の理想の世界を作るため、地球の重力に縛られて自己中な支配を続ける人類を粛正するために、もうこうなったら地上に隕石を落下させることで、地球を居住不能な星にしてやるぜ!』
という暴挙に出たため、アムロたちが必死で止めに入る、という話です(合ってる、のかな…?)。
【シャア・アズナブルという人物】
映画を見た当初は、結局シャアがほぼほぼ悪いんじゃん、アムロの方が常識的だよな…と思っていたのですが。年取ってから見ると、シャアの気持ちもめっちゃ理解出来ちゃうんですよね…。
シャアの人生は波乱万丈で、「機動戦士ガンダム」内で幼少期(確か10歳頃)に父親を暗殺され、ザビ家に復讐するところからスタート。
ここでシャア・アズナブルという偽名を使い始めます。そしてアムロという才能溢れるニュータイプと出会うことで、自分の限界に直面し。
さらにシャアは「母」と表現するほどに愛したララァ・スンという人と出会いますが、ララァはニュータイプでもあり、アムロとも惹かれ合います。
最後にはシャアとアムロの一騎討ちの際にララァが割って入り、アムロがララァのトドメを刺す結果となってしまいました。
また「機動戦士Zガンダム」では「クワトロ・バジーナ」という偽名でエウーゴのリーダーとなり、カミーユ達を導く立場になったり、さらには新しくネオ・ジオンを立ち上げることになったりと、とにかく「運命」に翻弄され、役割を与えられ、流されて行きます。
偽名を使い、仮面を被り続ける人生を送る中、幾度となく、自分の運命を自嘲し呪ったことでしょう。
「逆襲のシャア」では、革命のリーダーとして振る舞ってはいますが、恐らくそのこと自体、また、それにより起こる事態はもはやどうでもよく、目標としていたのは「ララァを奪ったアムロに勝つ」、そのことだけだったようです(作中でシャア自身も、確かそんなことを言ってました)。
ララァを失ったその、シャアの心の穴を、どんな出来事も、他の誰も、最後まで埋めることは出来ず、誰も愛せなかった。恐らくシャアは、そんな自分自身すら愛せていなかったのではないかと思います。
それに対し、アムロは最後まで地球人を、地球を信じ、愛し、守り抜いていきます。
アムロの方も、研究ばかりに没頭し家を省みなかった変わり者の父親とか、目の前で母親を殺されたりとか、なかなかハードモードな人生を送っていますが、それでも彼の周りにはいつも信頼出来る、一緒に数々の死線をくぐり抜けた仲間がいました。
だからこそきっと、最後まで諦めず、人を、地球を愛せた。
シャアは結局、「ジオン」の名やララァへの想い、アムロとの因縁、それら全てを精算する『死に場所』を、ずっと探していたのかも知れません。
そして、何に対しての「逆襲」だったのか。
ザビ家か、アムロか、自分自身か。
もしかすると、何より、あっさりと愛する人の命を奪い、自分を翻弄し続けた「運命」に対する逆襲だったのかも知れません。
己の人生を呪い、苦しみ、運命に流されもがき続けながら、それさえも愚かだ、と自嘲しながら。
彼はどこまでも未熟で、純粋な人だったのだろうと思います。
どんなに自分を傷つけても、周囲を傷つけても。それが、どんなに愚かなことだとわかっていても。
それでも自分と、その信念を貫こうとする「シャア•アズナブル」という人物の、とてつもない人間臭さに、ガンダムファンはずっと心惹かれているのかもなぁ…と、感じました。
【「BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~」】
そして、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』メインテーマ。
「BEYOND THE TIME ~メビウスの宇宙を越えて~」
作詞:小室みつ子
作曲:小室哲哉
歌:TM NETWORK
当時ガンダムの大ファンだった小室哲哉さんが、それはもうノリノリで、楽曲制作のオファーを受けたのだとか…(笑)
そして、作詞家の小室みつ子さんはそれを受け、作詞のために、今まで全く見たことがなかったガンダムシリーズを最初から鑑賞され、その「感想文」としてこの歌詞を書かれたそう。
もう、この感性が素晴らし過ぎて。
そして、初めて「逆襲のシャア」を観てこの曲を聴いた時。その世界観に、やっぱり小室哲哉は天才だ!と震えましたね。
まず、イントロが素晴らしい。
昨今は曲を聴く際、イントロを飛ばしてサビだけ聞く若者もいるそうですが、この曲は最初から最後まで聴いてこそ、の曲。
小室みつ子さんの書き上げた、深い歌詞を歌い上げる、ボーカル宇都宮隆さんの、透き通る美しい声。
重厚な入りから、雨のように叩きつけるドラムの音。その後ろでギャンギャン鳴るギター。さらに、盛り上がる後半に入ってくるサックスが、もう最高にカッコよく。
どなたかYouTubeのコメントで書かれていましたが、何より曲の03∶45の、あの「一音」が、この映画の世界観の全てを表現している、まさに神曲。
TM NETWORKと言えば、「GET WILD」があまりに有名で私も大好きな曲ですが、心に刺さるのは、ぶっちぎりでこちらの「BEYOND THE TIME 」。
本当にもう、エンドレスで聴けてしまいます。
この曲が、「シャアから愛するララァへの想い」を歌ったものだと思うと、どこまでも悲しく。
また、「歴史から何も学ぼうとせず、争いを繰り返す人類」の理想と現実の乖離を歌った曲だとも思えて。
スピリチュアル的に見れば、「輪廻転生から抜け出せない人類とアセンションへの曲」というふうにも思えます。
シャアとアムロ。
対局の価値観を持つ2人が、わかり合えることはありませんでした。
もし、シャアが両親を殺されず、愛を受けて育っていれば。ララァが生きていれば。カミーユが精神を病むことなく、作戦に参加していれば…。
色々思うことはありますが、今までのどの歴史をみても大きすぎる「大義」を掲げた人間は、その大義のために例外なく派手に散り、その人生を終えています。それならば、シャアも、劇中でただ、その役割を演じただけなのかもしれません。
【戦いを止めるために私達が出来ること】
ガンダムシリーズの総監督、富野由悠季さんは、戦争経験者でもあり、また、学生運動の中核でバリバリに活動されていた方なのだそうです。
その、自身の経験の中で、高すぎる理想を掲げるあまり、それに向かい進んでいく内に徐々に狂っていく人間の様や、人間の業を。
そして戦争によって翻弄されていく人々の苦しみや悲しみを、間近で見られてきたのだと思います。
だからこそ、彼が作り上げた「ガンダムシリーズ」は、重厚な人間ドラマとなり、数十年後の今も、人々の心を掴んではなさないのだと。
ネタバレになってしまいますが。
劇中の最後には、敵・味方の垣根を越えた、地球を愛する、たくさんの人々の献身の末、地球はその危機を回避します。
しかし、その「アクシズの奇跡」は、上層部により情報操作され、一般の人々がその真実を知ることはありませんでした。
その後も、繰り返される戦争。
現代社会と、何も変わらない。
正義とは、悪とは。
「大義の為の犠牲」は、本当に必要で、正しいことなのか。
大義とは、何なのか。
自らは何も手を手を汚そうとはしない、上層部。何も知らず、巻き込まれていくだけの、市井の人々。
人々は、どうして争いを止めることが出来ないのか。
ガンダムシリーズを見ながら、そんなことばかり考える、暗い子どもでしたね…(笑)
戦争を起こすことは簡単で、その幕引きは難しい。
そして「平和を維持すること」が、お互いの国の1番労力を要し、最も難しいことだと思います。
戦争だ、平和だと声高に叫ばずとも、ただ、振り上げた拳を下ろすこと。
自分がどんなに「正義」だと思っていても、行き過ぎた正義は悪となり、時には悪もまた正義となりうること。
自分の物差しと、他人の物差しは違うものなのだと認め、尊重しあうこと。
そして何より。
生きている私達全員が、地球に住まう、仲間なのだと思い出す事。
そのために、普通の人達が出来ること。
自分を愛し、家族を愛し、その周りの人を愛すること。ただ、それだけなのかなぁと思います。
【最後に】
思いの外、たくさん語ってしまい、自分でも驚いています(笑)興味のある方は、1度「逆襲のシャア」を観てみて下さい。
だだ、「逆襲のシャア」1作でも充分面白いのですが、シャアの苦悩や、その行動の動機づけをより知りたい方は、やはり「機動戦士Zガンダム」まで観ていただいて、クワトロ・バジーナ(=シャア)のダメっぷりを確認してからのほうが、より楽しめるかな〜と思います。
え〜、そんなの観るのめんどくせぇ!
と言う方は、曲だけでも。
いい曲、だと思います。
長々と読んでいただき、ありがとうございました。
『BEYOND THE TIME 〜メビウスの輪を越えて〜』
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