車好きな息子と、映画『グランツーリスモ』を観た話
小6の息子はゲーマーだ。
今は特に車が好きらしく、プレステ5の『グランツーリスモ』をよくプレイしている。
今のゲームはとにかく映像が凄い。映像をよく見ないと、リアルなのかゲームなのか判断に迷うほどのクオリティー。
なかでも映画『ワイルドスピード』に出てくる「ダッチ」が好きなんだとか。渋。
この間も暇すぎたらしく、勢いで『ワイルドスピードシリーズ』を全部観てた。確かに面白いよね。
息子は色んな車を見ると、それぞれにカッコイイとか、可愛いとか、セクシーとか思って、なんかしらんけど興奮するらしい(笑)
息子は昔から電車や車が好きだった。
確か2才の頃、南海電鉄のラピートが機動戦士ガンダムの『赤い彗星 ネオ・ジオンバージョン』のラッピングをされた時に、近くの駅まで見に行った。
念願のラピートを見た息子。
顔全体が『おおぉ〜っ!』となっている。
大興奮だ(笑)
そして、電車を指さしてひと言。
『のる?』
いっさいの疑いのない、キラキラした眼差し。
あれ、出かける前にちゃんと『見るだけで乗れないよ』『わかった』のくだりがあったんやけど。
息子は興奮のあまり、忘れてしまったよう。
『ごめん、今日は乗れないよ(確かそのあと用事があった)』と言った瞬間、火がついたように泣き出した。夫が苦肉の策で、近くの100均でミニカーを買ってなんとか泣き止んだ。息子に悪い事したな…。
もう覚えてないか〜。
プラレールもハマって山程買った。
最初は自分でレールを組めなかったのに、1度覚えたらそこからは早かった。レールの組み方が独特で、やっぱ子供は頭がやわらかいな〜と感心した。
同時にトミカも好きで、こちらも大量に買い込んだ。車で出かける度に、息子は窓から色んな車を眺めていた。私もつられ、一時期電車と車の種類にやたらと詳しくなった。(もう忘れたけど…笑)
なので、家で遊ぶ時はそれはもう盛大にトミカ•プラレールで街を作った。その真ん中に寝転んで、走るプラレールを眺めるのが息子のルーティン(笑)
毎回1部屋まるまる潰れるので、もはや収集がつかない。もう片付けるのは諦めてそのまま次の日も次の日も放置してた。掃除が出来ん…。
また、駅の車庫が自宅から徒歩5分の所にあり、息子の気が済むまで毎日のように通った。(私の母がよく連れて行ってくれた。お母さん、ありがとう…涙)
さらに狂ったように、TSUTAYAで借りた乗り物DVDもエンドレスリピート。
乗り物づくしの日々。
それもまた、懐かしい思い出。
そんな彼も、今は12才。
思い出のトミカやプラレールを、思い入れのある一部を除いてメルカリで売りさばき、売上金をゲームの課金に投入する。
すっかり大きくなったもんだ…(苦笑)。
ある日、そんな息子が『見たい映画があるんやけど…』と言ってきた。いつも見ているサブスクの無料版では見られず、課金が必要らしい。
(どうやら息子はしろたんやら、課金やらにお小遣いを使い果たしてしまった模様…)
それが先述した映画『グランツーリスモ』。
(前置きが長すぎる?)
夫に聞くと、自分がよく見るYouTubeの宣伝によくあがってきていたらしく知っていた。
そうか、見たいか。
予告篇を見てみた。確かに面白そう。
アニメオタクの娘の方には、本や漫画を買ったり、コラボカフェに行ったりしてかなりお金を出している。それに対して超出不精のインドア派息子には、ほとんどお金を出してない。
息子からするとかなり不公平かも。
課金は映画1本分程度。
吹替版が出ておらず、字幕版しかないけどそれでも観たい?と聞くと、『観る。』と即答。
じゃあ、いいか。
夫に課金手続きを頼み、早速視聴開始。
車にはたいして詳しくないけれど、出てくるマシンがどれも凄くカッコイイ。スーパーカーがズラリと並んだその美しさに圧倒される。(どの車もマニアからすると垂涎ものらしい。)息子が夢中になるのもわかる気がする。
あと、あのオーランド・ブルームが、おじさんになってる…!
いや、今でも充分にイケオジなんだけども。私の中では『ロード・オブ・ザ・リング』や『パイレーツ・オブ・カリビアン』の時の印象のまま時が止まっていたので、ちょっとびっくりした(笑)
(↑いやホント、『レゴラス』が弓を放つ姿が最っ高にカッコ良くて。こちらもぜひ見て欲しい!…w)
ストーリーは、映画としては王道の進み方。ディズニー映画の『カーズ』を懐かしく思い出した。
父親との確執、ライバルとの戦い、師弟愛、成功までの努力。全てが主人公の成長へとつながっいく。
人が心に傷を追った時、どうやってその心を癒やし、乗り越えていくのか。
ただのシンデレラストーリーではなく、主人公の心の葛藤がとても丁寧に描かれている。
息子と主人と3人で見ていたけど、最後はみんなで『ヤン、行け〜っ!頑張れ〜っ!』
とつい熱くなった(笑)
映画自体はあまり話題にならなかったみたいだけど、もっと評価されてもいい映画では。
そして、エンドロールを眺めていると。
『この映画は実話を元に…』
え、実話!?
こんなクレイジーな企画を、実際にやってたの!?サイトを確認したら、本当にやってた。
やっちゃえ日産は、本当にやっちゃってた(笑)
ヤン・マーデンボローが、実在してた。
今回の映画でもスタントドライバーとして参加している↓
すげ〜〜。
漫画みたいな話、本当にあるんだ…。
と思ったら、日本にも実在する方が↓
ゲームの世界と、リアル世界が交差してる。
まさかもうそんな時代になっていたとは…!
実際にリアルレーサーになれて活躍出来る人は、ほんの一握りだと思う。レーサーになるには実力もお金も必要。でも、もはや夢物語ではないのだ。
☆☆☆
息子は不登校中で、1日中ほぼずっとゲームをしている。他にやることがないからと言いながらも、好きなゲーム以外はしない。ちゃんと好みがある。
学校にも行かず勉強もせず、ゲームばかりしている息子は、端から見れば無駄な時間を過ごしているように見えるのだろう。でも『無駄な時間』って、一体なんだろう。
人は生まれたと同時に、必ず死を約束される。
人生はいわば『死ぬまでの壮大な暇つぶしゲーム』とも言える。
その長いゲームをプレイする間、一体どれだけの人が『無駄じゃない時間』だけをプレイ出来ているのだろうか。そもそも『無駄』って、そんなに悪いことなのだろうか。
私の兄は、息子の様に昔から車や電車が大好きで、ずっと好きを貫いて、今では車の整備工をしている。逆に私は飽き性で、色々な仕事を転々として、せっかくとった栄養士の資格も活かしていない。
じゃあ、私の今までの経験は無駄なものだったのだろうか。きっと、そうではないと思う。数々の失敗があったからこそ、今の私がいる。
今はゲームばかりしている息子だが、そのままゲームや車好きを今後の人生に活かすかどうかは正直わからない。でも人から見て無駄と思える時間であっても、きっと息子は『今』自分に必要な経験をしているだけなのだろうと思う。恐らくそれは当事者にしか分からないこと。
役にたつか、立たないか。人生の経験は、それだけで判断される事ではない。
だから、自分が『無駄だ』と思うことをしている人の事を批判したりするのは辞めようと思う。他人はきっと、私が出来ない経験を代わりにしているだけなのだ。
夢を持っていても、いなくても。
夢がかなっても、叶わなくても。
きっと、どちらでもいいのだ。
私達はただ、生きて経験を重ねるだけで。
きっと無駄なことなど、何一つないのだ。
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