見出し画像

会社の「本質」。どうしたら見つけられるの? (経営者のための発信力講座③ 「何を発信するか」その1)

スターダイバーの米津です。

これまで、「社長はなぜ発信する必要があるか?」というテーマでお話ししてきました。

ここからは「発信のコツ」へとテーマを移し、「社長は何を発信したらよいのか?」について、綴っていきます。

社長が発信すべきは、企業活動の「本質」

いきなりド直球で恐縮ですが、社長が発信すべきは、企業活動の「本質」です。

「そんなことわかってるよ!」「だから、それが難しいんだって!」なんて声が聞こえてきそうですが、どうぞ少しだけ我慢して読み進めてください。きっと「なるほど、それなら自分にもできそう」と思っていただけると思います。

では、話を続けます。
商品開発、中期経営計画、経営理念。発信するテーマは異なっても、社長が語る場合は、そこに企業の「本質」が語られている必要があります。それによって、組織という船の「旗」が鮮明になり、求める結果(売上や業績)を得やすくなるからです。

「本質」とは時々の流行や社会情勢にかかわらず、その企業が大切にしている哲学や価値観のこと。企業によっては、経営理念や社是などで明文化されている場合もあるでしょう。
社長は、この本質を自分の言葉で語れることが大切です。

企業という「船」は、さまざまな外的要因の波にあおられ、ともすれば針路を見失いがち。荒波に揉まれているときこそ、社員や顧客に「本質」という名の旗を高く掲げないと先に進めない。とはいえ、言うは易し。なかなか言葉にするのが難しいテーマです。

本質の見つけ方

では、本質はどうやって見つけ、言語化すればいいのでしょうか?

私は、「知性」のほかに「感性」も使うことをオススメしています。

どういうことか、説明します。                      日々誰しも種々雑多な情報に接する中で、「ここにはきっとこういうメッセージが込められている」と気づく瞬間があると思います。
たとえば、映画鑑賞。映画監督が伝えようとしているのは何かな?と思い巡らすとき、私たちは知性と感性を総動員して本質を読み取ろうとしています。

私の体験談を例に挙げます。
映画「シン・ゴジラ」はご覧になったでしょうか?(私は4回観ました!)
あの映画をただの怪獣映画だと思った方はおそらく少ないと思いますが、私は想定外の危機に見舞われたとき、日本社会はどうやってそこに立ち向かうのか?その強烈なアナロジーとして庵野監督はあの映画を創った、そう思いました。
これが、知性と感性の両方を使って獲得した、私にとっての映画「シン・ゴジラ」の本質です。

ロジックが一貫していて言語化しやすいのが「知性」なら、感性はロジックの有無とは関係なく言語化もしづらい。でも人は、「知性」と「感性」が融合して一つのまとまったメッセージを受け取るとき、それを「本質」ととらえ、自分自身に納得のいく「意味」として深く受け取るのではないでしょうか。「腹落ち」という言葉がありますが、まさにそれです。

では、感性とは何か?「感性」は、その人の歴史や価値観、美意識などをベースに自分の内側から自然と湧き上がってくる「ものの見方」だと思います。     これはちょっと恥ずかしいな、この人の生き方は見事だな、こんなことはしたくないな、とか。論理的に考えているわけでないけれど、価値観や美意識に照らして「これはアリかな」「これはナシかな」と、人は瞬時に判断しているものです。

たとえば、テレビでトイレットペーパーの買い占めが起こっているニュースを見て、「こうした行為は果たしてどうなんだろう?」と違和感を感じるのは、「感性」のはたらきによるものだと思います。

こういったその人固有の「感性」。この感性が、意志やモチベーションの土台になっている。学者でもない人間が何をわかったようなことを...と思われるかもしれませんが、何百人もの人をインタビューしてきた経験から、知性と感性の両方が融合したとき、語り手の言葉は格段に重みを増す...そう実感してきました。

違和感を感じたら、それは「本質」じゃない。

もう少しイメージしやすいように、仕事の現場に舞台を変えて説明します。
たとえば部下がA案とB案を持ってきて、「決断をお願いします」と言われたような場合。

「利潤を優先するならA案が正しい。でも、わが社の経営理念に照らすとB案だ…」

こういった判断は、ロジックだけではなく自分の「感性」にも照らして行っていることが多いのではないでしょうか。

そういった判断が積み重なって一つ一つの会社はできています。
ですから、経営判断における「感性」は、社長が長い年月をかけて、地層のように積み重ねてきたものをベースに湧き出てくる感覚。いわば、社長の生き方そのものです。

この感性が、会社の本質をつかむときの鍵になるのです。

社長自身の「感性」に照らす、つまり社長自身が自分の心の声に耳を澄ませて、ワクワクするか、違和感を感じるのか、嬉しいのか、口惜しいのか…そういった感覚を自覚することが、本質を見つけるためにはとても重要です。

「本質」は、社長の中にある

ロジックの通った「知性」の話は、頭のいい人なら訓練すれば鍛えられます。参謀や側近に任せることもできるし、本を読んでもいい。経営コンサルタントを雇うのもアリでしょう。彼らが知性的に解決策をサジェストしてくれる側面は、確かにあります。

しかし、「感性」については頼れる人がいません。
社長の「感性」のオーナーは、社長ひとりだけ。代わりが利かないのです。

ですから、誰がなんと言おうと、自分の「感性」に照らして、しっくりこないなら、それは会社の本質ではありません。

そもそも厳密な意味での正解や真実なんて、この世にはありません。
ですから、たとえ周囲から「これが正解に決まっているのに、それを選ばないなんてあなたはバカだ」と言われても、気にする必要なんてない。
自分がつかんだ本質は、もしかしたら間違っているかもしれない。でも自分はこれがしっくりくる。
そう割り切ってしまっていいのです。

そして、何が正解かわからない時代は、自分が正解だと思ったことを自分で正解にできる時代とも言えます。
「本質」をしっかりつかめば、それはパワーとなる。
あなたがつかんだ本質の方向に、会社の未来を創っていけばいいのです。
何しろその船のリーダーは、あなたなのですから。

「本質」は、社長自身の「感性」の中にある。
だから、自分の心に耳を澄ませばいい。

それが、私の考える本質の見つけ方です。

とはいえ、「感性なんてそんな甘っちょろいことで会社経営なんて、できるか。そんなのただの自己満足だ」と思っている人もいらっしゃると思います。
次回は、感性を解放すると会社の未来が見えてくるという話をしたいと思います。


(次回へつづく)

☆HIBIKUサイトはこちらですー
https://hibiku.jp


☆『売れる人がやっているたった四つの繁盛の法則』の著者・笹井清範さんにお話をうかがった動画をアップしました。対談2では「経営者の担当編集者って何?」をテーマに米津が答えています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?