見出し画像

山と鹿さん、そして私

イントロダクション。鹿さんについて(個人的見解)

突然だが、私には鹿の友人がいる。

鹿の(ことが大好きで大好きで大好きすぎる)友人だ。
今は、カッコを無くして鹿の友人になっている。
省略ではない。

友人に何が起きたのか定かではない。
聞くところによれば、コロナの非常事態宣言中、遠出をして奈良や広島にいる鹿たちとの触れ合いが出来なくなった悲しみが原因だとか、そこへ作家さんの素晴らしい作品を見かけたとか、色々聞いたけどわかったことは、情報がでかすぎると脳が処理落ちするって本当なんだという個人的発見だった。

とにかくだ。私視点から言うと、鹿の(ことが大好きで大好きで大好きすぎる)友人は、ある日インスタグラムで自分が大好きな鹿関連のアカウントを新設したかと思えば、いきなり鹿になっていた。

成程。必要は発明の母。
そこに鹿がいなければ自分がなればいい。

逆転の発想である。

ーーーこうして鹿の友人は、爆誕した。

(↑楽しそう)

(↑楽しそう)

(↑たの・・・いや、何してんの。。。)

さて、そんな鹿の友人、もとい鹿さん(仮名)と奈良で出会って早数年。
付き合いは長くても、実のところ私たちが直接会って遊ぶことは指で数える程しかない。(遠距離だから)
いつか地元でも遊べたらなぁ、と常々思っていたが、そんな思いも忘れかけた頃、ついに鹿さんから「6月に行きます」と連絡が来た。

TOYAMAに鹿来(きた)る-------。

おおっと、これはやばい。
何がって私のテンションが。
忘れかけた情熱の再燃ではないが、私はやっぱり、どーしても、鹿さんと地元で遊びたかったらしい。
気が付いたら地元ピーポーの強みを生かして富山の名所案内を始めてたし、気が付いたら「へへへ、何ならアッシがいいとこ連れて行きやしょう」と揉み手で勧誘したし、なんなら、旅行行程オール付き添い俺、みたいなスケジュールを立ててプレゼンまでしてしまった気もする。
・・・ちょっと、色々落ち着こう?
蠍座特有のヘビーな気持ちが滲み出てしまっていたけれど、なんとか鹿さんと遊ぶ段取りをつけた私はウキウキだった。

そんな訳で、地元TOYAMAに鹿さんが来た。
その旅程は、私と鹿さんが想定した斜め上を走っていた。
「・・・そんなことある?」と呟いたこと数知れず。
それを忘れるのが悔しいので、ここで纏めておきたい。

鹿さんがTOYAMAに来る?前日編

鹿さんが富山に来るということで、気づかれていないと思うが、私は、結構、かなり、ひどく浮かれていた。多分、顔面は一週間以上前から半分崩れかけていたと思う。そこは久しぶりなんだ。許してやってほしい。
(ただ鹿さんが鹿らしく何かを察知して逃げられたらイヤなので、メッセのやり取りはめっちゃ抑えていた。素直に思う。自分がキモイ。)

ただ、やっぱりワクワクは収まらず、それは強敵を前にした孫悟空(byドラゴンボール)も比ではなかったので、ついに謎のシックスセンスまで発動して鹿の絵を描き始めてしまったのは計算外だった。しかも、そのあと思いつくままに他3枚ぐらい絵を描きだすので、・・・人との交流って大事だなぁってオラは思った。(遠い目)


そして鹿さんがTOYAMAに来た!(1日目)

旅行とは準備するまでが忙しいと聞くけれど、実際鹿さんが訪れるまで約半月で絵を4枚も描き上げ、間に面接を受けに行き、落差日本一の滝を下見に行ったり、意外と怒涛のスケジュールを私は過ごしていた。
私が旅行する訳では無いのに。
世界の不思議である。
(因みに滝は天候の都合で今回は取りやめになった)

これだけ怒涛だと普通はグロッキーになると思うが、残念ながら私の取り扱い説明書の第一項目は「蠍座」だ。
蠍座は生態的に窮地に陥るほど瞳が輝く特質を持つ。ONEPIECEのゾロを想像していただければお分かりだろう。
なんかもう、動悸がやばくてイキイキしちゃうのだ。

当時のインスタグラムのストーリーを見てもわかる。
テンションがハッスル過ぎて、素直にキモイ。

そんな勢いになっていればどうなるか。
初日の待ち合わせは、駅にある車の乗降場とさわやか(?)に言っていたハズなのに、気が付いたら早く着きすぎて、新幹線改札口前で張り込みをしてしまっていた。やだ、私ったらいつのまに。気持ちの前のめりが既に酷い。

そんな私のバーサク状態にも気づかず、件の鹿さんはカッポカッポと蹄を鳴らしてやってきた。

ついに鹿さんが、富山に降臨した瞬間である。
(降臨の二文字に私のテンションぶちあがり具合が出ている)

因みに、その時鹿さんがどんな姿だったかは察してほしい。言っておくが、鹿さんはあれが素顔だし、中身は無い。
いいか、もう一度言う。
鹿さんに、中身は無い。

さて。
じゃあ、鹿さんを捕まえ、車に乗せたらどこに行くか。

『雄山神社芦峅(あしくら)中宮』一択である。(一択なんだ)

だって見てくださいよ、この杉並木!樹齢がわからない大木が聳え立ち、全く空気が違うんですよ!!

と言うのを、私は前から同じく神社好きの鹿さんにやりたかったのだ。
(推しをプレゼンするオタクの勢い)

秋に撮影した雄山神社鳥居前の様子
(鹿さんと来たときは撮影忘れた・・ヴっ)

実際、訪れると鹿さんはこの神社に大層感動してくれた。
「なんていいところ!」という感嘆に、私は「そうじゃろそうじゃろそうでっしゃろ」とウンウン頷き返していた。

立山町民でも無いのに。
芦峅の民でも無いのに。

しかし、そんな些細も気にせず、ここぞとばかりにオタクは止まらない。「あの社はあの神様が祀られている、あの祠にはあの神様が祀られている」と解説しまくっていたら

ーーー気が付いたら1時間以上経っていた。
(普通、あの規模の神社にそんな時間は掛からない)

時間が、飛んだ・・・だと?
さすが、異次元を感じさせる神社。半端ねぇ。。
隣の博物館にそのまま行く予定が、スケジュールの2個目から既に変更である。こういう柔軟な対応、極めていきたい。
(因みに参拝中は礼儀上、帽子などの全ての被り物は外しています。)

だが、車を出す前に大事なことがある。
そう、鹿絵の贈呈である。
人によってはキモイと思われるかもしれない私の行動。
鹿さんは

「え、うれしいー!」

喜んでくれた。純粋に喜んでくれた。こっちも最高だった。
すっごくじっくり観てくれた。もう、なんか、描いた方が想定しなかった角度でも観てくれた。ほんと、描き手が喜ぶ瞬間ってこういうトコだなって、オタクは思った。

そんな私たちを立山の緑は見守っていたーーー。

1日目ー完ー

制作・著作
━━━━━
 ⓃⒽⓀ


と、終わるわけにもいかないので、この話はまだ続く。
長すぎるだろうが、ここは140字じゃ納められない女が書くnoteである。
いいね!の数より書きたいものがある。
おわかりだろうか。
ーーーでは、話を進めよう。

鹿さんを連れて最推しの神社を参拝し、絵の押し付け贈呈も済ませたら、大事な事が私たちを待っていた。

そう、お昼である。

実はこの神社付近、食事処は意外と少ない。
しかし、たーっと車を走らせると、立山大橋を渡った先に有名なカレー屋さんがあるのだ。
どのくらい有名かというと、土日は客が列を成し、駐車場は停められないのが普通なレベルだ。(一部盛っています)

出されているカレーはシンプルだけれど、スプーンでも崩れるトロットロの鳥足とサラッサラのカレースープが抜群においしい。
ロッジ風の内装と庭もセンス良し、さらに店員さんも素敵となれば、そりゃぁ駅近でなくとも繁盛しますわと納得のお店なのだ。

写真は富山観光ナビより引用

もちろん滑り込みセーフで席につけた私たちも、その味を堪能した。堪能しすぎて、かなりまったりしてしまったくらいだ。

「こんなゆっくりした旅、いつ以来だろう」

と鹿さんが呟いていたが、ちょっと待ってほしい。
私よりも旅の多い鹿さんだが、たまに見せてもらえるあの穏やかな旅先の写真の数々は、実は超過密なスケジュールのなかで撮影されたものだったのだろうか。

「だって、行ったらアレコレみたいじゃない」

あー・・・。
すっごく分かる、その気持ち。
だが、それじゃ駄目だ。今回もそれだと、私が鹿さんのスピードについていけないのは目に見えている。
だって、鹿さんは、鹿だから!!

「今回の旅は、ゆっくりまったりをテーマにしよう」

断固たる決意を胸に、私は鹿さんに告げる。
そんな私の胸中も気づかず、鹿さんは静かに頷いていた。

ーーーーー

余計なものは見ない、周らない、焦らない。
そう決めたのに、しかし立山は見どころ満載。

立山開山について描いた作品の主人公のキャラボイスがワンピのルフィをやっている田中真弓のアニメを持っている博物館だとか、あの特撮に優れた白組が撮影した『オレが考えた最恐の立山地獄☆』が観られる映像館(別名『富山県民のトラウマ製造機』)だとか、総工費ウン億円をかけて出来た地獄のテーマパークだとか。(注:全てオタク視点で語っています)

(↑何故かここは県内より県外で有名)

とにかく見どころがいっぱい、いっぱいありすぎる。

最寄りのスキー場駐車場で謎の絵画鑑賞会をした私たちは、とりあえずまず博物館に足を進めた。ここの博物館は、立山の自然と歴史についての展示があって、ジオラマの出来も最高。山伏とか錫杖が好きな人も見に来たらいいと思う。(明治時代、誰も踏破できなかった剣岳に陸軍が地図作成のために必死に登るんだけど、頂上にやっと登ったらそこには錫杖頭が残されていた話は胸アツすぎ)

(↑映画化もしてる。『八甲田山』よりは見やすいと思う。展開的に)

さらに施設の隣には、元宿坊だったところが無料で観れて、きれいな庭を堪能できるので是非入ってほしい。意外とスルーしちゃう人が多いのは、実にもったいないとオタクは思っている。

で、ここを出たらどこに行く?とマップを見せると、鹿さんの目がキラリと光った。

「かもしか園があるの?!」

・・・あれは、その日1番の輝きだったと今でも思う。
さすが鹿さん。シカへのセンサーが強すぎる。(昼のカレー屋でも、何度も行っていた私が気づかなかった鹿の絵にすぐ気づいていたし)
いや、引きが強いのか。

鹿さん、野生のカモシカにも道で出会っていた。

そんなこと、ある?

普通、野生のカモシカが山間部とはいえ、人がいる民家側、それも日中に出てくることってまずありえないのだ。
私が驚き固まっている間も、鹿さんとカモシカは挨拶を済ませ、あ、鹿さん写真撮影もしてる。行動が、行動が早い!

あれ?これってシカはシカでもナウシカの1シーンだろうか?
それとも、もののけ姫のヤックルとモロの子のあの場面?

と、ジブリオタクが現実逃避している間に、カモシカは去った。
後で聞いたらカモシカはウシ科で鹿さんとは種が違うらしいんだけど、カモシカだし・・・、きっとお友達が去った寂しさを鹿さんは感じたんだと思う。(急なポエム)

その後も『ゆったりまったり』とテーマを決めた割に『なんちゃって布橋灌頂会(ぬのばしかんじょうえ)』も実行して、閻魔堂から布橋渡って遥望館、さらに奥にあるかもしか園に行って布橋から閻魔堂に戻って、また神社参拝をしたりして。

ーーー1日目から、既に飛ばしている空気が醸し出されていないだろうか。

いや、しかし傍で見ていて気付いたのだ。
この鹿さん、自然の中にいるほどめっさイキイキする。
なんか活力が湧いているというか、生命力がほとばしっているというか。
やっぱ鹿だから?ちょっとフェアリーなトコもある鹿だからなの?

対する私は、お天道様の下より薄暗い日陰の方が好きだし、鹿さんが山や空に感動しても「山は山」と答えちゃったし、神社の景色に「キレイ」と鹿さんがうっとりする横でデッケェ虫にぶつかってこられて叫びあがっていたし。
・・・・なんだろう、この俗世感。

・・・やべえな、私。鹿さんについていけるんだろうか。

ーーーそしてこの危惧は、翌日的中する。


『次回予告!!』

次はどこ行く!
あのキレイな湧き水を目指して、登れ標高2500m!!
室堂編。

お楽しみにーーーーー!


ーーーーーーー
↓2日目公開されました!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?