今日のアウトテイク#64(日曜無料版)「移住より「移働」が地方創生を実現する ほか」【メンバーシップ特典】(2024-01-21)

<アウトテイク>
・SNSに投稿する前の推敲(もしくは配慮)なしのメモ
・投稿せずに、いや、やっぱりやめておこう、と思った殴り書き
・ブログ記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・要するに「伊藤の現在地点」

※noteメンバーシップ「Beyond the Coworking 〜移働の時代〜」に参加いただくと有料記事も全文読めます。

※読んで面白かったらぜひシェアくださいまし。

いつも言ってることをまた書いてしまった。耳にタコ。


#今日のBGM

#今日のコトバ

"飛べないのなら走っていけ。
走れないのなら歩いていけ。
歩けないのなら這っていけ。
だが、どんな方法であれ、前進することをやめてはならない。"
(マーチン・ルーサー・キングJR)

#移住より「移働」が地方創生を実現する

日頃、まったく日経は読まないのだけれども、今日、ふとしたきっかけでこの記事を読んだ。非常に重要なテーマが取り上げられているので、一読をオススメする。(無料会員登録でも読めるはず)

で、気になったのはここ。

「自治体に人口ビジョンをつくってもらったが、結局、移住者の奪い合いになった。やってほしかったのは人口が少なくても様々な社会システムが成り立つように考えてもらうことだった」

これは、ずーーーーっと思ってる。

どこの自治体も「移住促進」の一点張り。国全体で人口が減っていくのに、その減っていく人口を移住者誘致で取り合い、縮小する一方のパイの奪い合いをすることの無意味さ、不毛さが、なぜ判らないのだろうと、ずーーーーーっと思ってるし、ずーーーーーっと言ってる。

自分とこさえ良ければ他所のことは知ったことではない、という根性が丸見えで実に情けない。自治体ってそういうのでいいのだろうか?地元地域を維持継続させるために、もっと他に考えることがあるだろう。それとも、考えてはいない?じゃ、一体誰が、これを手引きしてるのか?

そもそも「定住」を前提に「移住」させるのは、どだい無理がある。それよりも、時代はリモートワークだ。居場所を変えても仕事できる人がどんどん増える。この「移働」する人をたくさん呼び寄せ、年に何回かやってきて、しばらく、1週間から、できれば1ヶ月、そこに滞在するための環境を整える。

移住してくるのではなく、年に数回、回遊してくるイメージ。一時的な観光でわずかの売上を期待するのではなく、自分の居場所として、一年のうち一定期間そこに滞在して、仕事もする。で、持ってきた仕事以外に、地元の仕事も手伝う。ローカルのプロジェクトに参加する。

つまり、外から来る人を地元の経済圏のプレイヤーとして巻き込んでしまう。本人もそこが気に入ってきてるのだから、こういうローカル複業に積極的になる。別に定住しなくても経済活動にコミットしてくれるだけで大いに効果があるはず。自治体はこれをまずやるべき。これも、ずーーーーーっと言ってる。

移働者は、まずはどこでもできる自分の仕事を持って移動してくる。どこでもできるから、その地にしばらく滞在しても問題ない。この「どこでもできる仕事」をするために、コワーキングスペースを整備しておく。←これはもう、地方都市、ローカルエリア、要するに日本の大半である「田舎」の必須事項。

「いや、ホテルやカフェでもできるだろ?」と思うかもしれないが、それはコワーキングの本当の価値を知らない人が言うこと。そこに地元の、あるいは外からやってきたワーカーがいるから、リモートワーカーはコワーキングを利用する。要は「場所」「ハコ」ではなくて「人」がそこにいるから来るのだ。

だから、そこに地元のコミュニティがないと話にならない。よく、自治体から開設したコワーキングスペースに誰も来ない、とご相談を受けるが、元々、その地にあるコミュニティの拠点として機能することが先決。そこがすっぽり抜け落ちていて、ハコを作ってしまう。

地元のコワーキングに出入りして、そこを拠点にして仕事すれば、人つながりができる。ただのよそ者でなくなる。人間関係があることで、自分の居場所になり、そこを再訪する根拠になる。

要するに「人が人を呼ぶ」。これもずーーーーーっと言ってる。

居場所を変えても仕事できる環境を各地に作っていく。二拠点と言わず、もっと複数の拠点を設ける。それを、一年のうちに、適宜、移動して仕事する。だから「移働」。で、ちょっと疲れたなと思ったら本拠地に帰ればいいのだ。

そのことはここでも書いた。

「田舎」にコワーキング?と不思議に思うかもしれないが、コワーキングはただ単にIT系のワーカーの作業場ではなく、地域のありとあらゆるカツドウの拠点として有意に機能するインフラだ。このことを知らない人はこれを。

コワーキングは、だから、人と人をつないでコトを起こして前に進めるための仕組みであって、そこでコラボが組まれて地域に価値をもたらすカツドウが動き出すことで町が活性化する。

小さくても地域でカツドウする空気を醸成し、さまざまなプロジェクトを駆動するエンジンとしてコワーキングを運営する。行政も、ただハコを作ってボ〜っと人が来るのを待つのではなく、このことを前提にコワーキングを整備すべき。「ハコ」より「ヒト」と「コト」。コワーキングは目的ではなくて手段として活かす。

その上で、ここ。

「政令指定都市にも責任がある。政令市が周辺の地域とスクラムを組んで東京に対抗し、地域全体を引き上げる努力をしていない。それができれば地方の姿も変わった。地方は人材が不足しているから市町村の広域連携がもっと進むといい」

さっきも書いたが、奪い合うのではなく、助け合うこと。単体ではなかなか解決しない課題を持つとき、他と連携してエンパワーすれば道が拓ける可能性もある。自治体が他の自治体と協働関係を持つ。いいと思う。

これまで、各地の自治体からお声がけいただいて講演なり研修なりやらせていただいているが、どこにも非常に優秀で熱意のある職員がおられる。が、衰退する一方の町をどうやって再活性化するかという課題に対して、既製の枠組みの中では限界があることもヒシヒシ感じておられるように見受ける。

これはもしかしたら、都道府県、市町村単位ではなく、例えば道州制による地方行政に絡むのかもしれないが、お互いに助け合う、それこそコワーキングの本質である「相互扶助」の精神さえあればできること。

共通のテーマはいくらでもあるはずだ。そこをコラボで役割分担する。←これもコワーキングの5大価値のひとつ。

あるいは、民間と協働関係をむすび役割分担するのも手だ。

先日書いた公民館の利活用もそのひとつ。

ついでにもうひとつ、ここについて。

「かつて国連が『補充移民』という概念を出して人口を維持するために必要な移民数を推計した。日本だと膨大な人数になり、現実的ではない。日本の今の実態は『労働移民』だ。それでも昨年4月に公表された将来推計人口では、70年に総人口に占める外国人の割合が10.8%になる。現在の欧州並みだ。実際には今後の国の政策次第だが、できれば技術をもった人材に来てもらい、日本の産業の高度化、成長に資する形にしたい」

このグラフは、なかなかキビシイ。しかし、こうなるらしい。

記事では「労働移民」という言葉を使っているが(もう少し、明るい未来をイメージさせる言葉はないものか)、注目すべきは「できれば技術をもった人材に来てもらい、日本の産業の高度化、成長に資する形にしたい」というところ。

いわゆる単純労働者を外から持ってくるという発想より、能力の高い人に来てもらいたい。言い方が悪いかもしれないが、数より質だ(やっぱり、悪いな)。

かつ、それを単に「労働力」とするのではなく、日本に新しいプロジェクト、ビジネス、産業が立ち上がる「起爆剤」になりうる才能を持ち合わせる人に来てもらいたい。

そこで思い出していただきたいのが、以前に書いたこれ。

世界中を移動しながら仕事もするいわゆるデジタルノマドを誘致するためのデジタルノマドビザについて書いた記事だが、国によっては単に観光客として入国して消費させることが目的ではなく、自国のワーカーとの連携による『知の再結合』が起こることを期待している。

つまり、外からやってきた人の手(というか、頭脳)を借りてローカルに新しい価値を生み出すことを目論んでいる。実にスマートな発想だ。

自ら引用すると、

多くのデジタルノマドは、高度な技術や能力を備えたれっきとしたビジネスパーソンであり、何らかのビジネスアイデアとチャンスをもたらす可能性の高い人材だ。そしてなによりデジタルノマドは起業家精神を育み、世界各地にテクノロジークラスターを形成する上で重要な役割を果たす存在とも言える。

彼らに住居とコワーキングスペースを提供し、ローカルワーカーと人間関係を結ぶ機会を設けることで、デジタルノマドは現地のナレッジワーカーと協働もしくは協業関係になり得る。結果、地域間の知識や資源の流れを促進し、デジタルノマド自身にも、そして受け入れ国にも利益をもたらす可能性がある。

つまり、彼らとのコラボレーションを促進し、自国にイノベーションを引き起こす原動力とすることで、ビザ発行元の国は多くの恩恵に浴することができるわけだ。

この時、現地のビジネスパーソンたちは、デジタルノマドが持ち込んだ知識に自分たちの既存の知識を組み合わせる、いわば「知の再結合」を行える。こうした目に見えない、いわゆる無形資産の獲得が、地域をサステナブルにするということを、どの国も重々理解しているからこそビザの発行に積極的になっている。

特に、ベネチアやバリは、サイエンス、テクノロジー、エンジニアリング、アート、数学(STEAM)の分野のミレニアル世代にターゲットを絞って自国へ呼び寄せようとしている。目的が観光ではないことが明白。それぐらい、「人」が最上の資産であることを弁えている。こういう決断が必要。

これを日本も、というか、ベネチアやバリのような、日本中の地方都市がやるべきではないか。

いつまでも東京の方ばかり向いているのではなく、直接、海外のリモートワーカーにメッセージを送り届けて、直接、呼び込む。今どき、インターネットを使えばそんなに難しいことではないし、事実、彼らも日本への、それもローカルな日本への関心も高い。

いや、まずは、国内のリモートワーカーからはじめよう。やり方は同じだ。

コロナ禍以降、リモートワーカーやハイブリッドワーカーは増え続けている。彼らをローカルに呼び寄せて、地元との結合点としてのコワーキングに招き入れる。そこで人間関係を作り、お互いに持てるものを融合する。

なので、ローカルコワーキングは非常に重要なポジションを占めることになる。

そうして、いっときの消費を煽るだけの観光ではない、人財誘致を、地方はやるべきだと思う。

地方創生という言葉も、いささか古びて聞こえるが、当初の「移住」志向から「移働」志向をベースに再起動するのがいいと思う。

ということで、今日はこのへんで。

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