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脳神経外科学まとめ

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2020年6月の記事一覧

脳神経外科学 先天奇形・神経皮膚症候群

先天奇形胎生中に生じる器官、組織形成異常 早期に生じるほど広範囲、高度に生じる 中枢神経系発生 外胚葉→中枢神経系原基+神経溝+神経ひだ→神経板→神経管 この過程で異常生じると神経管閉鎖障害・縫合不全 髄膜、骨、皮膚の異常伴う 二分脊椎開放性:脊髄髄膜瘤 閉鎖性:髄膜瘤、潜在性二分脊椎 脊髄髄膜瘤 椎弓が形成されず、その部分の皮膚欠損 脊髄や神経組織が露出する 腰椎と腰仙椎部好発(70%) 葉酸摂取で発生率低下 症状:運動障害・・・麻痺、足変形、反射消失    

脳神経外科学 頭部外傷

頭部外傷の死因は 1位:急性硬膜下血腫 2位:びまん性脳損傷 3位:脳挫傷 分類①発生機序分類 一次性:局所性とびまん性にわかれる 二次性:頭蓋内圧亢進によるテント切痕ヘルニアによる脳幹損傷     脳浮腫などに伴う脳灌流圧低下による虚血 ②症状による分類 荒木の分類:意識障害と神経症状で分類 GCS:意識レベル びまん性脳損傷分類:神経障害と昏睡時間で分類 ③解剖・形態学的分類 頭部開放創の有無 CTによる分類:偏位の程度で分類 ④骨折の分類 部位 円蓋部骨

脳神経外科学 脊髄・脊椎

脊髄腫瘍硬膜外腫瘍:神経鞘腫 硬膜内髄外腫瘍:神経鞘腫、髄膜腫 硬膜内髄内腫瘍:星細胞腫、上衣腫、血管芽腫、海綿状血管腫 に分かれる 検査 MRI:空洞症の有無、造影の有無を確認 CT:骨の変化 血管撮影:濃染の有無 ミエログラフィー:腫瘍性病変には使いにくい 空洞あり→上衣腫、星細胞腫、血管芽腫 空洞なし→染まり方で鑑別→均一なら髄膜腫、神経鞘腫              不均一なら海綿状血管腫 各論 神経鞘腫 空洞ない、境界明瞭 後根由来の感覚障害を起こしやすい

脳神経外科学 血管造影・血管内治療

穿刺部位鼠径アプローチ:太いカテーテルもいれやすく一般的 大動脈弓部からアクセス 上腕アプローチ 橈骨アプローチ:術後安静時間短い 右鎖骨下動脈からアクセス 造影図のポイント①内頚動脈→分枝なし 外頸動脈→分枝あり ②頭蓋内血管は走行方向で血管を分類する 正面像で水平方向はM                     側面像で上方はA   など 血管内治療対象疾患 塞栓術:脳動脈瘤、動静脈奇形、硬膜動静脈廔、頭頚部腫瘍、鼻出血 血行再建術:脳梗塞、内頚動脈狭窄、頭蓋内血

脳神経外科学 感染症

脳膿瘍10代男性好発 炎症の波及、先天性心疾患、日和見感染などで生じる 原因疾患 中耳炎、副鼻腔炎、齲歯→連続性進展 肺膿瘍、心内膜炎→血行性感染 症状 炎症 脳圧亢進→頭痛、嘔吐、意識障害 巣症状→片麻痺、痙攣 診断 CT,MRIで円環徴候 拡散強調画像で高信号 治療 抗生物質大量投与 定位脳手術 トキソプラズマ症:免疫機能低下時にしょうじる特殊な脳膿瘍 先天性トキソプラズマ症:胎盤感染する 硬膜下膿瘍髄膜に膿がたまる 脳膿瘍同様に炎症の進展で生じやすい 症状

脳神経外科学 クモ膜下出血・脳動脈瘤

疫学日本人女性に多く、他の脳血管疾患に比べて生活習慣の影響が小さい 高齢者ほど発症時の死亡率が高い 症状脳動脈瘤破裂 特徴的な頭蓋内圧亢進症状→突発する激しい頭痛、嘔吐、意識障害 動眼神経麻痺(後交通動脈瘤による圧迫) 発症後しばらくしてから項部硬直、Kernig徴候など 巣症状がない 予後規定因子 初回出血の影響 再出血 脳血管攣縮 診断クモ膜下出血の有無→CT 動脈瘤の局在→脳血管造影,MRA,CTA 治療一次損傷→治療対象外 再出血予防→破裂動脈瘤の治療

脳神経外科学 脳血管障害概論

脳卒中の原因は脳出血から脳梗塞へと変化しつつある 脳卒中は重篤な後遺症が残り、要介護状態に陥りやすい 認知症原因の4割を占め、高齢化により患者数も増加傾向にある といった点で問題になりやすい 脳卒中分類血管の詰まり:脳梗塞・・・ラクナ梗塞              アテローム血栓性脳梗塞              心原性脳塞栓症 血管の破綻・・・脳出血         クモ膜下出血 ラクナ梗塞高血圧、糖尿病が主な原因で細い血管が詰まる 軽症が多い 予防:生活習慣改善

脳神経外科学 脳出血・脳動静脈奇形

脳卒中とは日本の三大疾患の一つであり、突発的発症を特徴とする脳血管障害 脳は極めて脆弱な器官であり、血管障害による頭蓋内圧亢進で強く障害される 脳血管障害の分類①血管が詰まる:脳梗塞 動脈硬化による→脳血栓 血の塊による→脳塞栓 ②血管が切れる 高血圧・動脈硬化→脳内出血 動脈瘤破裂→クモ膜下出血 脳動脈の特異性①太い血管は脳内を貫通せずにくも膜下腔を通り、細い血管は脳内を走る 細い血管が切れる→脳内出血 太い血管が切れる→クモ膜下出血 ②側副血行路が発達し、虚血

脳神経外科学 意識障害

意識覚醒(脳幹)と認識(大脳)からなる このいずれか、または両方が障害されると意識障害となる 意識障害評価①Japan Coma Scale Ⅰ・・・刺激しないでも覚醒 Ⅱ・・・刺激すると覚醒 Ⅲ・・・刺激しても覚醒しない ②Glasgow Coma Scale 開眼機能 1~4点 言語機能 1~5点 運動機能 1~6点 で評価 こちらは点が高い方が良好 頭蓋内圧頭蓋内腔は閉鎖腔であり、内部では脳実質、脊髄液、血液がバランスをとっている バランスが崩れることで内圧が

脳神経外科学 脳梗塞

脳梗塞の過程虚血期:形態的変化はみられない→血流再開法、抗血栓薬で治療 浮腫期:梗塞部は壊死、浮腫を伴う→減圧開頭術で内圧制御 脳梗塞完成期:浮腫消退、壊死部は萎縮→血行再建、再発予防 また各部位において 代謝障害→機能障害→形態異常→神経細胞死 と進行していく 虚血部位は二つに分けられる 虚血コア:中心部で進行速く、治療困難 ペナンブラ:周囲部で進行遅く、治療対象 脳梗塞の分類機序分類 血栓性:動脈硬化による 塞栓性:心房細動による 血行力学性:血流の一時的低

脳神経外科学 概論

神経細胞数百~数千億の細胞が存在し、シナプスからの信号を伝導していく 加齢とともに数は減っていく 脳の基本構造新皮質:情操・理解 旧皮質 古皮質 二つ合わせて辺縁系:本能・情動 間脳 中脳 橋 延髄 脊髄 脳神経外科対象疾患 脳血管障害 脳腫瘍 外傷 奇形 感染症 手術法 開頭手術 血管内手術 定位的放射線 脳神経外科の特殊性 脳は再生しない 脳は体重の2%に過ぎないが酸素消費の20%を占めている 脳は頭蓋骨内で髄液に浮かぶ状態で存在 機能局在がある モン