脳神経外科学 頭部外傷
頭部外傷の死因は
1位:急性硬膜下血腫
2位:びまん性脳損傷
3位:脳挫傷
分類
①発生機序分類
一次性:局所性とびまん性にわかれる
二次性:頭蓋内圧亢進によるテント切痕ヘルニアによる脳幹損傷
脳浮腫などに伴う脳灌流圧低下による虚血
②症状による分類
荒木の分類:意識障害と神経症状で分類
GCS:意識レベル
びまん性脳損傷分類:神経障害と昏睡時間で分類
③解剖・形態学的分類
頭部開放創の有無
CTによる分類:偏位の程度で分類
④骨折の分類
部位
円蓋部骨折
頭蓋底骨折
顔面骨骨折
形態
線状骨折
縫合離開性骨折
粉砕骨折
陥没骨折
進行性骨折
頭蓋内外交通性
閉鎖性骨折
開放性骨折
頭蓋底骨折
部位
前頭蓋底、中頭蓋底、後頭蓋窩に分かれる
症候
①出血斑
前頭蓋底骨折→パンダの目徴候
中頭蓋底骨折→Batte徴候
②脳神経症状
前頭蓋底骨折→嗅覚、視覚障害
中頭蓋底骨折→眼筋麻痺、三叉神経、顔面神経麻痺、聴覚障害
③髄液漏
前頭蓋底骨折→髄液鼻漏・・・前頭洞、篩骨洞などから
中頭蓋底骨折→髄液耳漏・・・乳突蜂巣から
④血管損傷
急性頭蓋内血種
硬膜外血腫
直撃損傷による硬膜血管破綻
局所徴候みられる
予後良好
硬膜下血腫
脳挫傷による脳表面血管損傷
強い意識障害みられ、脳ヘルニアも多い
予後不良 死亡率5割以上
脳内血腫
直撃・半衝損傷による脳挫傷
直後から意識障害生じる
急性期頭部外傷患者管理
バイタルサイン、各種検査、GCS確認などで重症度確認
意識障害あれば頚椎単純撮影、超音波検査など必須
GCS9以上なら軽・中等度
意識障害や症状の強さに応じて入院経過観察必要か決める
GCS8以下なら重症
二次的脳損傷を最小限にするために
気道確保
酸素濃度確保
血圧確保
頚部保護
合併損傷への応急処置
行う
続発症
①急性硬膜外血腫
直撃損傷による硬膜血管の損傷で凸レンズ型血腫生じる
意識清明期がある
開頭血腫除去術適応
②急性硬膜下血腫
直撃・反衝損傷どちらでも起きる
症状:重症脳損傷による意識障害
所見:三日月形血腫
治療:開頭血腫除去術 予後不良
③脳挫傷
直撃・反衝損傷どちらでも起きる
症状:脳実質の破壊による頭痛~意識障害
所見:ごま塩状まだら出血
治療:減圧開頭術
④外傷性くも膜下出血
脳動脈瘤破裂によるものとは病態異なる
症状:脳表のくも膜下腔の出血による頭痛~意識障害
所見:くも膜下腔の脳溝や脳底の出血
治療:重症なら手術
⑤外傷性頭蓋内出血の合併
重度外傷による
症状:硬膜内外の血腫、脳挫傷による頭蓋内圧亢進→重度意識障害
所見:複数の血腫、脳ヘルニア
治療:減圧開頭
びまん性脳損傷
①脳震盪
軽度の回転加速度損傷による
症状:脳が揺さぶられ意識消失、健忘、頭痛、めまい、吐き気、平衡感覚障害など
通常は24h以内に回復
セカンドインパクト症候群
受傷後数日から数週間の間に頭部外傷を受けると軽微な脳損傷が蓄積される
スポーツの復帰には3週間程度の復帰期間が推奨される
②びまん性軸索損傷
回転加速度損傷、剪断損傷(バイクの転倒など)
症状:軸索が切れて脳震盪のような症状が持続
所見:びまん性点状出血
③慢性硬膜下血腫
高齢者男性アルコール多飲で好発
軽度頭部打撲から数か月後に発症
症状:軽度出血が徐々に脳を圧迫→頭痛、認知力低下、歩行障害など
所見:三日月形血腫
治療:穿頭ドレナージ 予後良好
慢性の血腫は固まっていない液状であるので吸出しが可能である
小児の頭部外傷
特徴
頭部組織の結合が緩い
頭蓋骨が薄くやわらかい→陥没骨折
硬膜が骨からはがれやすい→硬膜外血腫
乳幼児は硬膜下腔が広い→硬膜下血腫
脳実質が柔らかい→反衝損傷しにくい
初期症状がでにくい
頭が大きいので転倒が多い
例)進行性頭蓋骨折
線状骨折が脳の発達で押し広げられる
高齢者の頭部外傷
単純な転倒で悪化しやすい
脳挫傷、急性・慢性硬膜下血腫、脳内出血多い
硬膜外血腫は少ない
脳萎縮で症状出にくい
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