採用活動のループ 7つのポイントを押さえて好循環のループを回そう(前編:集客について)
採用・人事・離職防止のパーソナルトレーナーのカンヤケケンイチロウです。私のトレーナー活動はご依頼いただいた企業さんが「自分たちの力で採用・人事・離職防止の活動を行っていただくこと」をゴールにしています。
このパーソナルトレーニングの柱にしているのがこの採用活動のループ。採用戦略立案に始まり、集客→導客→検証と改善を踏まえて採用戦略を進化させて実行する。この一連の活動を7つのパートに分けてお伝えし、順番に身につけていただきます。
7つのパートすべてをアナログに手弁当で自己完結するわけではありません。人材不足で後回しになりがちなのが採用領域。なのでテクノロジーとのハイブリッド運営をおすすめしています。
人間力を使ってアナログに行う部分と、テクノロジーツールを駆使してデジタルに解決する部分と、社内の人員体制、インフラ(通信や動線など)、そして使う人のスキルや好き嫌い(テクノロジーが苦手って方も多いので)などをふまえ。課題が大きいところから順に整えて、最終的に社内で実行できる体制として構築していきます。
今回は各ステップごとで何を行っていくのか、何を注意する必要があるのか、全体像としてお伝えいたします。この前編は集客の3パートを解説します。
集客 「母集団が増えない」時代の応募数確保
まずは集客。求人応募のための母集団を集めることを「集客」と呼びます。お客さんを集めるように求職者を集める。いい言葉です。
まずはこの3つのパートを紹介します。
Step.1 集客①採用戦略立案
居酒屋に入って「とりあえずビール!」の感覚で、「とりあえず来週から求人を出しておいて。内容は前と同じでいいから」と言うお客さんに、求人広告営業時代に何度も出会いました。それじゃダメなのでおせっかいを焼いたわけですが、めんどくさがるお客さんに説明して、なんとかナビゲートして、結局まる受けする羽目になって(涙)、でも結果が出て喜ばれて、と今となっては結構いい思い出です。
バブルが崩壊して、よほどの下手を打たなければ応募が来ないなんてありえなかった1990年代と違って、人不足を通り越して「人不在」と言われている2024年にはそのやり方では難しいです。
応募が来てもターゲット通りの人でないと採用はできません。大切なことは「狙ったターゲット」を、「再現性」があるやり方で採ることです。この戦略を立てることをまず行います。
求人応募は、実は極めてシンプルな下の図の掛け算であらわされます。求職者に情報を伝える「Deliverly」と応募ボタンを押させる「Action」の掛け算。紙の求人広告のころから現代のSNSやマッチングアプリでも求人メディアを創る裏側の理屈は実は同じで、マイナビ転職やタウンワークと言った求人メディアも、この掛け算をワンパッケージで提供しているのです。
しかしやっかいなのは、2020年頃からこのパッケージ商品(求人媒体)だけでは採用ができなくなっており、「Delivery」と「Action」のばら売り商品を組み合わせて考える必要が出てきました。求職者が情報収集を行う手段が多様化し、情報を集約する求人媒体の効力が弱まってきていることが原因です。
たとえば「Delivery」はIndeedのような検索エンジンやTikTokのようなSNSが効力を発揮し始めています。「Action」を起こしてもらうためには、フォーマットに条件が書かれただけの「求人票」だけでなく、採用サイトやショート動画に臨場感のあるリアルを詰めて提供しないと効力を発揮しなくなっています。
このように、「Delivery」と「Action」の最適な組み合わせを考える必要がではじめ、この傾向はこれからさらに加速します。そのためにも、採用戦略をしっかり考えて、集客の打ち手を遂行することが重要なわけです。
この「Delivery」と「Action」の両方に大切なのは採用ターゲットを決めるというアナログな作業。これが採用戦略立案のはじめの一歩になります。
採用ターゲットの決め方はシンプルで、その仕事(この職場)には「どういったタイプ(キャラクター)」「どういったスペック(技能、能力)」な人を求めるのか、まずはこれを言語化することから始めます。
社内で実際に活躍している人、こんな人を増やしたいと思っているエースをイメージして、その人の「タイプ」と「スペック」を言語化するとよいでしょう。「いやー、そんなこと考えたことない」「そんな(活躍している)人なんていないよ」「うちは贅沢を言えないので、応募してくれたら誰でもいいんだけど」
とおっしゃる方も多いですが、その場合は逆に考えて
「その仕事が絶対に務まらないタイプ」「すぐ辞める人のタイプ」「欲しくない人のタイプ」を言語化しましょう。その逆が欲しいタイプということになります。スペックは比較的でやすいので、思いつく言葉を書き留めます。
そして、イメージした人が社内にいなければ思い切って有名人に例えてみましょう。例えば5人組の有名芸能人グループの〇〇タクさんのようなカッコいい人がターゲットだとすると、「〇〇タクはいちいち求人サイトを探しに行かないよね、スカウトされるのを待つでしょう」とか「〇〇タクはちゃらけた動画では応募しようと思わないよね」とか、「Delivery」と「Action」を考えやすくなります。
「Deliverly」の考え方
求人応募を獲得しようと思うならば、まずは「求人しています!という情報」を採用したい求職者に届けることが必要です。
やらないほうがいいのは「Indeedがいいと聞くから(使う)」「〇〇会社さんはビズリーチで採用できたから」と手法の決め打ちで募集活動を行うこと。他社とまったく同じ人材を採用するなら別ですが、ターゲットが違うなら使ったとしてもいい採用だができるとは限りません。採用ターゲットを定め、そのターゲットが情報収集を行っている動線上に告知する。これがセオリーです。
「採用マーケティング」と言われ始めていますが、これからのひと不在時代は「採用ターゲットがどこにいるかを探す」マーケティング活動が求人告知において重要になります。
「Action」の考え方
そして大事なことは「Action」をさせること。ただ単純に告知すれば応募が獲得できるわけではありません。「この求人気になるなぁ」「(この仕事の話を)詳しく話を聞いてみよう」と思わないと応募ボタンは押しません。
そのためには、採用ターゲットが好む内容(求人原稿)を、受け取りやすい方法(テキスト、写真、動画)に加工して届ける必要があります。
その上で、採用市場における自社の採用力をデジタルツールで測定しましょう。HR Forcasterという企業の採用力を測定して採用戦略を立てるツールがあります。これを使って戦い方を検討しましょう。詳細は↓↓をご覧ください。
Step.2 集客②最適な求人告知、手法選定
求める人物が決まれば、その人に求人を届ける具体的な募集手法を考えます。採用ターゲットがどこで情報収集をしているのか?どういう求人手法を使えば彼らに届くのか?これを考えましょう。まずは大まかに採用したい人の属性で考える事から始めます。
ざっくりと表にして書き出し〇×をつけてみるだけで打ち手のイメージがついてきます。
また昨今は顕在的に仕事探しをしている人だけでは採用活動が厳しくなってきています。「いい仕事があったら考えてもいい」といった潜在的な求職者へも情報を届ける必要もあります。彼らは求人サービスに目を通すことをしませんので、間接的に目に触れるところへ求人情報を掲示する必要があります。その場合も同じような考え方で、日常的に情報収集をどこで行っているのか?そのベースで求人告知を行う場所を考えます。
Step.3 集客③求人告知、応募促進
最後に「Action」をおこさせる方法。「お!いいね。」と思うかどうかは採用ターゲットが仕事に何を求めているかを知る必要があります。
採用ターゲットは属性ごとに仕事探しのポイントが異なります。
ツナグ働き方研究所、dip総研、リクルートキャリア、ジョブズリサーチセンター、学情など、多数の求人事業者が「仕事探しのポイント」を調査し結果をネット上に紹介しています。
これらを参考にして求人原稿に盛り込む「キーワード」を決めていきます。このキーワードが昨今の求人トレンドであるAIマッチングの決め手になります。下の表はほんの一例です。
また、これらのキーワードを伝えるための加工も重要です。最適な求人告知手法のフォーマットに合わせて「テキスト」「写真」「動画」と伝え方を変えることもポイント。情報が伝わるスピードも変わってきます。
アメリカの調査会社と大学教授の研究結果では、1分間の動画で文字換算にして180万語の情報を伝えられるそうです。動画系SNSでは30秒動画が主軸ですので半分に割ると90万語、実にテキストの5,000倍の速度で情報が脳に伝わるのだそうです。これを考えると極力動画での情報伝達を考えたほうがよさそうです。そういった採用テクノロジーも多数存在しているので利用しない手はありません。
ここまで、前編では集客に関してお伝えしました。後編では『導客』と『検証と改善』についてお伝えします。
おまけ
現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。
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