【企業PR方法】高校生採用~必須アイテム「採用パンフレット」を進化させる
採用・人事・離職防止のパーソナルトレーナーのカンヤケケンイチロウです。2024年2月時点で23社、様々な業種・職種の採用トレーニングを行ってきました。
特に高校生採用はこの10年で最も難易度が上がっており、企業サイドではそこまでと思っていないためかなりの苦戦を強いられています。
高校生採用において、一番大切なのは「学校の先生」の攻略。先生に紹介してもらえることが大切。ついで「本人」、そして「保護者」です。親ブロックによる辞退は社名認知度の低い中小企業で少なからず発生しています。
先生や保護者に企業をPRする採用ブランディング活動において欠かせない『採用パンフレット』について、お伝えします。
「いまさら紙のパンフレット?」とお思いかもしれませんが、実は採用サイトと組み合わせて、リアルとWEBのハイブリッドな展開も進められるのです。
高校生の採用事情
「5年前までは何もしなくても(高校生は)採用できたのに、今は全然、、、涙」
特に地方の中小企業経営者からこの言葉を良く伺います。ほとんどの社長は学校訪問を行っておらず、人事担当の方も資料だけ送って終わり、そういう状態の企業さんが圧倒的に多いです。
そんな方々がご存じないのは採用の難易度の急上昇。いまや有効求人倍率(1.2倍)や大卒の求人倍率(1.7倍)の倍以上3.52倍(令和5年3月)というのが全国平均で、地域によっては10倍を超えています。
企業が集中している関東だけでなく、台湾の半導体企業をはじめとした外資系大手工場が参入し、人材が取り合いになっている熊本、福岡、北九州でも100人の就職希望者に2,000社近い企業がアプローチしていると聞きます。普通に学校に求人票を出しているだけでは高校生は採用が無理ゲームです。
進路指導教員の悩み
生徒に就職指導をする先生にも悩みはあります。各学校には進路指導教員が複数人いらっしゃって、彼らが生徒の進学や就職の指導を行い、生徒の就職相談に乗っているわけですが、ほとんどの先生は就職指導のプロではない。
さらに、先生以外の仕事経験もほとんどの方が持たれていないので、仕事に関する知見作りが重要です。
彼らもいろんな機会を通じて知見を取りに行かれていますが、業界知識、その仕事の面白みや苦労、得られる技能、その地域の優良企業の情報などを、限られた時間で限られた情報から身につけているという現状です。
加えて公立高校は定期的に転勤があり、地域ならではの優良企業の知見が転勤するたびにリセットされます。新たな学校で新たな地元地域情報を入手する必要が出てきます。
これを学校の授業のほかに行っているのだから大変。この情報収集は以前は残業して行っていたのですが、いまは働き方改革の中、残業でカバーすることも難しく、うまく時間を作る必要があります。
そのために学校サイドの進路指導事務作業を軽減するサービス(Handy進路指導室 ※1)を各校で導入しはじめているわけですが、この仕組みで解決できないのが「その地域ならではの優良企業の細かい知見」を醸成することです。
この不をを解決に、ひとめで企業情報を俯瞰できる『採用パンフレット』がつながるわけです。『採用パンフレット』にわかりやすく記載がある情報を頼りに進路指導教師は地域の優良企業の学びを深め、生徒への適職、オススメ企業の紹介をしっかりおこなっていくわけです。
採用パンフレットで伝える事
そんな役割を果たす『採用パンフレット』にはどんな情報を入れるのが良いでしょうか?
ジョブドラフトという高卒採用のサポートサービスを提供する人と未来グループ社の調べでは、高校生が会社選びで知りたい情報のトップは「社風・職場の雰囲気」。そのほかにも「実際の仕事内容」「人間関係」などが、募集条件待遇以外の内容が上位を占めています。
条件は求人票で確認ができますので、それ以外の3つ「社風・職場の雰囲気」「実際の仕事内容」「人間関係」を押さえる事がポイントになります。
このほかに、先生が知りたい情報も盛り込む必要があります。
企業選びの前段階の知識として「業界についての知識」が必要。「業界における企業のポジションやそれぞれの企業の提供価値」も知りたい情報です。
オススメできる会社かどうかは会社の将来性も大きな要素で「社長がこの先にめざしていること」に業界の未来や会社の成長性を伝える情報が込められています。
これらは、進路指導教師が生徒に話す際に必要な情報で、昨年学校訪問に帯同した時にも上記の3項目についてはかなり質問されました。先生が求めている情報であることを実感しています。
まとめますと、採用パンフレットに必要な情報は
・業界についての知識
・業界内でのその企業のポジション、提供価値
・社長が目指していること
・社風・職場の雰囲気
・実際の仕事内容
・職場の人間関係
以上の6項目になります。
この内容を最低見開き2ページの紙面で表現できれば、先生や生徒本人が知りたい情報をかなり網羅することができます。
採用サイトと相乗効果を創る「ハイブリッド」にする手法
紙のメディアのメリットは、パソコンやスマホで検索する必要がない、パッと見られる手軽さ、すぐにわかる視認性と、ファイルしておけば見たい時にいつでも見られる保存性の良さです。
逆にデメリットは、紙ゆえの動きがないこと。最新情報への常時アップデートにも向いていません。しかしここはクリアする方法があり、QRコードで動的コンテンツや採用サイトとつなぐことで、ハイブリッドモデルを構築することができます。
採用パンフレットでは表現しきれない動的な内容、アップデートが必要なコンテンツは、あらかじめ採用サイトに格納しておき、そのURLをQRコード化して採用パンフレットに掲載すると、紙のパンフレットでもスマホでQRを読み込めば動的情報を担保することができます。
採用サイトを更新して、これらを創りこんでおけば、濃度の高い情報を採用パンフレットで企業を知った人にも伝えることができ、働きたい気持ちを増幅させ、応募を促すことが可能になります。(その意味でも採用サイトは非常に重要な役割なんです)
実際の事例を紹介
実際、私の支援先でこのモデルを構築しました。
技術がめっちゃすごい、特許も持っている、大手メーカーと共同開発した部品もある。ある領域では国内シェア70%をとっている。そんな従業員30人ほどの金属加工部品ワッシャー(ボルトとナットの間に挟む滑り止めの輪っか)を作っているメーカーです。
部品というポジションゆえ商品に派手さがなく、すごさのアピールにもインパクトがだしにくい。でもその製品がないと世の中が動かないばかりか、ネジが緩んで大変なことになる。それだけ「なくてはならない存在」の部品。
パンフレット上で表現したのは、パッと見てわかる「無くてはならない価値」の表現。見開きで「この会社がなかったらどんな世界になるか」を表現。学校の先生に1秒でわかるインパクトで見せています。
中面では、スタッフの一日と後輩へのメッセージを伝え、QRコードでリンクした採用サイトでは、スタッフ8人へインタビューと、実際の工場での作業手順、商品のより詳しい情報、会社が紹介されたテレビ番組のシーンも格納して、働きたい気持ちを多角的に伝えるつくりになっています。
この採用パンフレットを作成いただいた会社は創業40年を迎える老舗の求人専門広告代理店。
従業員は100名弱。うち、ライター、デザイナー、ディレクターなど求人広告制作スタッフが10名弱在籍しており、官公庁の採用ポスターやホームページの企画を長年コンペで勝ち取り続けている、求人系の企画力と表現力が高い会社です。
WEBだけでなく紙面での構成やデザインもできるところは印刷会社以外では今や少なくなっているのではないでしょうか?
私も永年おつきあいをいただき、こう言ったクリエイティブの提供時には助けてもらっています。毎月のお役立ちセミナーでは採用手法のトピックスをしゃべらせていただいており、なので、いちおう宣伝もかねてリンクを貼っておきます(笑)
終わりに
高校生採用は、今や一番の激戦。学校訪問時でも短い時間で先生にアピールをしないといけないという過酷な世界です。
立派な採用サイトを作ってもそれだけでは見られず、入り口になる手元に残るものが重要になります。
ペーパレスとは言われていますが、やっぱり手許に物が残ることも大切。うまくハイブリッドな構造を作り出すことが、これからの高校生採用のひとつの戦略になるのではないかと思います。
※どの企業を生徒に薦めるかは学校の先生が決める事なので、必ず学校へ訪問して先生との関係性を構築することはおわすれなく。
おまけ
現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。
※1 Handy進路指導室の話はこちらにまとめています
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