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【採用】高校生採用~先生の働き方改革に乗っかって学校と仲良くなる神ツール

高卒採用が激変している。そしてこのことに経営者は気がついていない。

「コロナの前までは先生が「成績は悪いけど人はいいやつなので、採ってくれないか?」と生徒を連れてきてくれたのに、いまは求人票を送っても何の連絡もくれない」とぼやく経営者からの相談をここ2年で数件受けています。

申し訳ないのですがそれは平成の話で、令和の高校生採用はそんなに簡単ではなく、そしてこの先も改善はしません。

ここでは、なぜこんなことになっているのかという背景、そしてこの現状を打開する高校生採用の支援ツールについてご紹介します。


高校生の採用難易度が爆上がりしている理由

最大の理由は少子高齢化社会

今の日本の採用環境をひっ迫している最大の理由は『少子高齢化社会』。下のグラフの通り1973年の209万人をピークに出生数は減少、現在20歳の世代(2004年生まれ)は110万人と約半分にまで減少しています。そして今年2024年の出生数は70万人と言われており、とにかく「若い人が居ない」という恐ろしい事態になっています。

厚生労働省 出生数、合計特殊出生率の推移


ベテラン技能者の後継者探しが急務

そして熟練して労働を支えてくれていた世代の引退。高度成長期を支えていた世代が軒並み65歳を超え、生産界から引退をされていきます。これはとくにテクノロジーへ置き換わりが進みにくい「技能労働」においては深刻で、後継者がいないことで仕事が回らないという事態が発生しています。

国立社会保障・人口問題研究所データ 人口ピラミッド推移より ピラミッドではなく壺型


外国人労働力にも見放され始めている

そんな救世主が外国人労働力だったわけですが、増加途上だった技能実習生も2020年41万人をピークに減少、留学生ワーカーも37万人→31万人と頭打ち。コロナで帰国し、再入国がままならないうちに円安が進み、ほかの国で働くほうが稼げるようになった上に、「安心」「安全」の神話が一部企業や団体の悪行がSNSで回り、日本が避けられはじめる事態にもなり始めていると聞きます。

国は育成就労に制度を変え、企業は呼び込む国を変え、受け入れ団体は企業内の悪い芽を摘み、と必死の改善活動を進めていますが、急激な増加は入国手続きもあって見込めそうにもなく、あと数年で引退するベテランを補完するほどの増加はこの先も見込めそうにありません。

法務省「外国人技能実習制度について」より抜粋


その他の採用需要 未経験者233万人の争奪戦が展開中

ここに加えて、建設・物流業界の働き方改革による増員、高齢者が増えて需要が高まり32万人の担い手不足が叫ばれる介護業界、IT2025年問題対応を皮切りに2030年には80万人の担い手不足と言われるIT業界も虎視眈々と高校生を採用ターゲットに入れています。

局地的には九州は半導体工場の新規採用、全国各地でも企業誘致が盛んですが「誰が働くか」を棚に上げての誘致合戦ですので、呼んでから「人が足りない」と大騒ぎになることもしばしば。そういった採用支援のご相談一度や二度ではありません。ざっと計算しても2030年までに各方面に233万人もの新規就労者が必要で、その大部分を高校生に!という皮算用が行われています。

高校生の求人倍率は3.52倍、関東は10倍超の争奪戦

そういった背景からか、若手=高校生採用という機運が再びわき始め、現在急激に採用難易度が上がっています。

平成27年に0.83倍から1.25倍に急上昇して以来、コロナの令和3年を除いて有効求人倍率はうなぎのぼり。最新の令和6年3月卒業予定者の倍率は3.52倍となっています。一般の有効求人倍率1.2倍台大卒1.71倍と比べても倍以上の難易度で、NHKニュースでは東京は10.99倍と報じ、先日講演させていただいた熊本では100人の就職希望者に2,500通余りの求人票が届いている高校もあるという話も聞きました。

10年前、先生が生徒を連れてきていたころの印象ままに採用活動を行っていてもまったく歯が立たないということです。

厚生労働省 高校・中学新卒者のハローワーク求人に係る求人・求職状況 より


ここに先生の働き方改革が重なり、紹介状況はさらに悪化

これに加えて、進路指導の先生に「働き方改革」の波が押し寄せていることも高校生の採用難易度を上げる一因になっています。

高校生の採用は生徒に直接アピールできません。学業の邪魔をしないために進路指導教師が情報をとりまとめて、二者面談、三者面談を経て生徒に情報を伝え、2,3社に絞って夏休みの職場見学を経て就職面談をうけます。進路指導の先生をいかに攻略するかが高校生採用の鍵であることは、昔も今も変わっていません。

平成のころは、授業が終わったあとで、残業時間も使って多数送られてきた求人票のファイル整理や、業務時間外の企業訪問に対しても対応し、一人一人の適性を考えた就職先選びを行っていました。それが働き方改革により業務時間内での効率的な進路指導を求められた。

先生は送られてくるすべての企業の情報を目を通すことも頭に入れることもできません。学校を訪問した際、「こんなに(企業から案内が)来てますよ」と段ボールの山を指さされたこともあります。整理する時間がないと。

学校が指定した日に企業担当者が進路指導教師に15分プレゼンして終了。進路担当教員が複数ブースにわかれて座り、ところてん方式で企業の話を聞きます。まるでオーディションのような、就職フェアの逆のような、そんな状態の地域も、私のご支援先ではありました。

2月、3月の早めの一次アプローチをお勧めしたものの、どうしても社長の都合がつかず、6月以降に学校を訪問したら「生徒への職場見学案内が終わったので、今年はご紹介できません。来年は余裕をもってGW前にご連絡の上でお越しください」と言われ、しょぼんとした社長もいらっしゃいました。

進路指導教諭の働き方改革支援ツールが新たな活路に

普通にやっていたら、令和の高校生採用は無理ゲームです。でも、この無理ゲームを乗り越える画期的なツールがあります。『Handy 進路指導室』という進路指導教諭の働き方改革を支援するツールです。

求人票仕分け、情報取り込みと配信を行うツール

このツールは、名前の通り、スマートフォンの中に進路指導室を収めたような構造になっています。基本的には大卒ナビサイトのような仕様なのですが、学校ごとに個別最適化が可能で、ハローワークの高卒採用求人情報提供システムとも連携しながら、各企業の個別情報ともマージさせることができる(※協賛企業のみ)ため、生徒へ情報を一元化して提供することができます。

時短とペーパレスが導入の大きな利点

進路指導教師にとって何より楽なのは、メールや郵便で送られる求人票を業種ごとやあいうえお順でまとめられたファイリングし、情報を最新化し、紙で印刷して生徒に配布し、という作業がなくなる事なのだそうです。

・二年目以降は求人企業ファイルを更新しなくていいこと
・いちいち求人企業の情報をファイルから探す作業がなくなる事
・求人票のコピーを紙で渡さなくてよくなること

こまかいことですが、これを2,000社余り分、100人分行っていたかと思うとぞっとします。たしかに大きな利点です。

教育委員会が推奨して導入が進む地域も

このシステムを入れると、求人票を学校の複合機でスキャンすれば自動仕分けされ、情報更新や分類も行ってくれます。人的作業時間が一気に短縮されます。
スマートフォンで生徒に情報提供も行えるので、ペーパレスも進みます。まさに一石二鳥です。

大阪府教育委員会は2022年に連携協定を締結。関東では教育委員会が音頭を取って一部の学校での試験導入ののち、翌年県ぐるみでの導入推奨を行うなど、公立高校を中心に各地で導入が進んでいます。

Handy進路指導室 サービスの概要 プレスリリース資料より


協賛企業になることで有料広告配信も可能

このシステムは学校からお金を貰わない代わりに、企業に協賛を募っています。もちろんハローワークに求人を載せていれば無料でも情報は掲載されるので、高校生を採用したいすべての企業が利用可能ですが、生徒への配信権限は学校の先生にあるので、企業の情報を生徒に閲覧させるかどうかは先生の匙加減にかかっています。

協賛企業には指定した学校への広告バナー掲示と、自社ホームページとの連携、データ提供が行われるので、生徒への閲覧率がサービスパンフレット上では18倍になると試算されています。こういったツールを活用することで、激戦の高校生採用において、違った角度からのアプローチを行うことも可能になります。


終わりに

高校生採用は、進め方はセオリーが確立されているので一番進めやすいですが、就職協定が今も根強く存在し直接生徒へアプローチできないため、学校を味方につけることが非常に重要です。

進路指導教諭の働き方改革、学校のペーパレス、といった違う角度からのアプローチのツール活用で、生徒との接点を構築することも、これからの高校生採用のひとつの戦略になるのではないかと思います。

※とはいえ、どの企業を生徒に薦めるかは学校の先生が決める事なので、無料で利用する場合は必ず学校へ訪問して先生との関係性を構築することをお勧めします。


おまけ

現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。

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