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創業110年の鹿児島の老舗企業が半年でバリューまで社員と作りきった「冒険の書」を公開!

小平株式会社は鹿児島で曾祖父さんの会社の企業から数えると110年の老舗の商社です。私で4代目の社長になります。LPガス、電力、ガソスタなどのエネルギー事業、IT事業、貿易事業などを国内外でやっている商社です。

1年ほど前に会社でバチバチの大喧嘩があり、社内の心理的安全性もエンゲージメントも下がりまくって役員の離脱などもありました。そして今年の3月、このままでは存亡の危機と、社長として会社を大きく変えることを決意します。

バリュー発表までの道のり

4月にCHROとしてジョインしてもらった池田亮平を中心に組織をかえるプロジェクトをはじめました。

そして、役員合宿でミッションを作成、役員のチームビルディングも経て9.16に経営ミッションの発表を行います。

そこで生まれたミッション(経営理念、パーパス)がこちら。

KOBIRA ミッション
KOBIRA ミッションステートメント

海の冒険者というのは、うちの祖先が海賊だった(らしい)というとこからです。メタファーとして「冒険」をMVV全てに入れています。そして達成したい6個のビジョン(10年後 2032年に辿り着きたい場所)も作成しました。

KOBIRA vision map

一つ一つのビジョンの説明はあらためてnoteでも書きたいと思うし、youtubeに上げている社内向けラジオ番組のコビラジでも話しています。(今、ビジョン3まで公開済みです)

そして、ここから、ミッション、ビジョンとセットになる最後のパーツ、バリュー(企業の価値観)の設定にとりかかります。

バリュー作成のプロセスと発表までの道のり

バリューはなぜ必要か?鎖か、ガードレールか?

企業に統一したバリュー(価値観)を作りますと言った時の最初の現場の反応は「それは私たち(社員)を厳しく縛る鎖になるのではないか?」という懸念でした。その懸念に対しては、バリューは「鎖でなく、皆を衝突から守るガードレールだよ」と答えました。

会社に統一したバリューがない場合、会社の仕事は個人の価値観によってその優先度がジャッジされます。そして個人の価値観は皆違うので社員の間で必ず衝突が起こる。だから、その個人間の衝突が起こらないようガードレールの様にお互いを守り、交通整理をするのが会社のバリューです。

またバリューは、日々の答えのないなか、行き先に迷った時、行くべき方向を示す羅針盤でもあると思っています。11.24に配布したバリューの冊子に以下のような文章を盛り込み、「鎖になるのでは?」の不安に答えました。

11.24の発表会で配布した冊子でのバリューの説明

バリュー作成プロセスには社員も巻き込んだ

ミッション、ビジョンは役員のみで作成しましたが、バリューは社員も含んだプロセスで作成しました。各事業部から若手や女性を中心に参加してもらい、役員6名+社員6名の12名で10.20に1日かけたワークショップを実施します。作成のベースとなる価値観の種は9.16のミッション発表会でのレゴを使ったワークショップで「今まで大切にしてきた価値観」と「これから必要になる価値観」という2軸で収集しておきました。そちらをベースにワークショップを設計してもらい、「皆の顔を思い浮かべながら」バリュー案の作成を進めました。

10.20 印刷したバリューの種を自分ごとにするワーク
10.20 価値観の違いを可視化するワーク
10.20 バリューの種から3チームに分かれてバリュー案を作る

1日がかりワークショップでしたが、できたのはざっくりしたバリューのイメージまででしたが、この対話のプロセスで部署を超えたつながりと自分が作成の参加しているという感覚を共有出来たと思います。その後、オンライン、オフラインで行われた数回のワークを経てバリューは完成。11.24の発表会を迎えます。

KOBIRA Vision meeting 2022.11.24開催

ビジョンに皆で向かう現在地を確認するためのVision meetingです
今回は城山ホテルで開催しました。

また、今回から全社集会のことをKOBIRA Vision Meetingと呼称しています。半年に一回行うこととし、ビジョンに辿り着くまでの、現在位置を共有して、半年間を振り返り、次に向かう場と定義しました。

挨拶、チームを作ってのチェックイン、新部署名の発表、ビジョンに向かうこの半年を振り返るペアインタビュー(45分x2)、永年勤続表彰などを経て午後2時ごろにバリューの発表が開始されます。

この日は皆、カジュアルな格好で参加にしてます

今回発表したバリューはこちらで、大項目、中項目、小項目と1:4:4の3層構造になっています。

バリュー大項目
バリュー中項目
バリュー小項目/ チーム
バリュー小項目/ 挑戦と成長
バリュー小項目/ コミュニケーション
バリュー小項目/ 誇れる仕事

いま、うちの会社は組織課題の解決に重点を置きたいので2層目の4個のうち2個はチームとコミュニケーションにしています。ミッションのワークショップでも皆から出たバリュー案もこのテーマが多く、会社の課題を反映しているとも言えます。(案の作成には色んな会社のバリューも参考にさせてもらいました。これ、「自分が作ったやつじゃん!」と思われた方、鹿児島に来てくれたらお借りしたお礼に接待します。)

バリューの冊子

発表後、皆にバリューの冊子を配布。ミッション、ビジョンのマップと共に持ち歩ける様にしました。また、バリューを自分ごとにするワークショップとして、それぞれのバリューが発揮された状態を表現する寸劇を行いました。やる前は半信半疑でしたが、皆ノリノリですごく良かったです。

最後に皆で記念撮影

MVVのプロセスで会社は変わったんだろうか?

このプロセスで自信を持って変われたと思います。ただここまではまだ旅の途中です。これからの次の半年は、今回できたMVVの浸透と、ベースにした、新しい評価制度の策定、管理職研修、中期戦略の策定、顧客へのベネフィットの明文化、採用、社内外広報など、まだまだ続きます。新しいMVVは決まったけど評価制度が古いままというギャップの問題も顕在化してきているので、皆が納得し、成長を促す新しい制度へのシフトをいそぎます。

自分の振り返り/きっかけになった経営者としてのマインドセットの変化

今回、MVV策定、チームビルディング、デザイン、場の設計、デジタルサービスの導入、組織サーベイなどなど多くの施策を一気に半年で進めました。これは贔屓目に見ても、かなりのスピードだと思います。

もちろん、CHROの池田くんやmusuhiさん、TUZUKUさんはじめ、素晴らしい社内外のチームがあっての事です。ただ自身を振り返ると、①ヒトや組織の問題を会社の存続に関わる戦略上の超重要課題として規定したこと、そして、②短期で質の高いアウトプットを得るために、コストが掛かっても構わないので、外部リソースを積極的に活用したこと、という経営判断は正解だったと思います。どちらも「ヒトよりキャッシュが大事」&「自前主義」が伝統だった先代時代ではあり得ない形でした。オヤジ(先代)には外注に金の使いすぎ、とチクチク言われてますが(笑)、使った分、これから新しい組織でガッツリ稼いで返そうと思います。

うちのケースは歴史や課題など特殊なケースとは思いますが、多くの中小企業の持つ課題解決の一つの例にはなれたんじゃないかと思います。今回のプロセスが世の中の地方中小企業の経営者の参考になれば幸いです。これからも終わらない旅は続きますので、今後も発信していきたいと思います。

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