読書感想文・備即書忘録031:『 一万円選書 』 著:岩田 徹
読書感想文・備即書忘録031
『 一万円選書 』
著:岩田 徹
概要
この本は、北海道砂川市の小さな書店が始めた独特の選書サービスをしながら、本と人との深い関わりを憂慮した心温まる1冊です。
本書の最大の特徴は「一万円選書」という独自のサービス、本が持つ力と、それを人々に届ける書店の役割をしっかりと考えている点です。
「選択カルテ」を丁寧に読み解き、その人に合った本を選ぶプロセスを育てながら、本が人生に与える影響の大きさを示しています。
特に印象的なのは、著者が選ぶ本をシンプルビジネスではなく、一種の「処方箋」として捉えている点です。
顧客の人生や悩みに寄り添い、その人にとって本当に必要な本を選ぶという姿勢は、現代社会において失われつつある「人と本」「人と人」のつながりの大切さを再認識させてくれます。
本書は、ベストセラーや話題の新刊ではなく「あまり知られていないけど良い本」を提案することの重要性も強調しています。
これは、大型書店やオンライン書店が主流となる中で、個人書店ならではの強みを解決するうえで高く評価できます。
逆に言うと、小さな書店は「流行の本」は入りにくいという実情があります。売れている流行本は大型書店に集まるという現代の書籍流通の仕組みと歪。
著者の岩田氏は、自分の読書経験と、地元新聞の書評欄での経験を交流、幅広いジャンルの本を紹介しています。
『一万円選書』の意義は、概念的書店経営の成功事例を超えて、本が持つ力と、それを人々に届ける書店の役割の重要性を再確認させてくれる点にあります。
ジタル化が進む現代社会において、実際の本と人との対話が実現価値を再認識させられます。
本書は、書店経営者や本好きな人だけでなく、人生の岐路に立つ人々や、自分に合った本との出会いを求める全ての人々にとって、新たな視点と深い洞察を提供する貴重な一冊。
岩田徹氏の地道な姿勢と深い洞察は、読者の持つ力を再認識させ、より豊かな読書生活をこれからも導いてくれるでしょう。
総じて、この本は、本と人との関係性を見つめ直し、個人書店の新たな可能性を示唆する重要な内容の本です。
感想
岩田徹氏の『一万円選書』は、北海道砂川市にある「いわた書店」が特別なサービスを提供していることを紹介している1冊です。
このサービスは、消費者のニーズを配慮した本を店主が選んで送るという「一万円選書」というサブスク的サービスです。
ベースになっているのは、東京都江戸川区の書店「読書のすすめ」という小さな書店が始めた「おまかせ選書」というサービス。
この本を読むと、流行っている本を売るのではなく、個人の顧客にぴったりの本を選ぶという、独自のビジネスの素晴らしさがわかります。
「一万円選書」は、顧客がどんな本を求めているのか、どんな本が好きなのかを深く考え、それに基づいて本を選んでいます。
これは、現代のビジネスでも大切な「パーソナライゼーション(同様に、みんなに同じ商品を売るのではなく、個人のニーズに合わせた商品やサービスを提供すること)」が、顧客の満足度を高めるために非常に重要であることの証明です。
このサービスは「本を売る」だけではなく「自分では選ばない、自分にマッチした本を選んでもらう」という特別な体験を提供しています。
本が届くまでのわくわく感や、届いた本瞬間の楽しさは、これは、ただ物を売るのではなく、体験を売る「コト消費」と呼ばれる現代の消費トレンドに合ったものです。
東京の隅っこ江戸川の「読書のすすめ」も小さな書店ですし「いわた書店」も北海道の小さな書店ですが、全国から注目されています。
これから、地方のある小さな店でも、独自のサービスや考え方で大きな成功を収めることができるということは理解できると思います。
WebサービスやSNSを活用すれば、地域に根付いたビジネスでも全国、さらには世界に向けて発信できる可能性があります。
この本から得られる学びは、私たちビジネスマンにとっても非常に役立つものです。
1)専門性の大切さ
岩田氏は、長年の読書経験や本に対する深い知識を活かしてサービスを提供しています。自分の得意な分野や好きなことをしっかりと理解していることが、将来のキャリアや仕事で大きな武器になることを伝えてくれています。
2)創造的な思考
普通の書店が行っているビジネスモデルに決めず、新しいサービスを考えることは、今後の社会でも非常に重要です。顧客の要望を満たすアイデアで新しい価値を生み出す力が、これからの時代に必要とされます。
3)顧客理解の重要性
本を選ぶために仕事のことをしっかりと知る必要があります。 友達や家族との関係でも大切なスキルです。
4)地域と世界のつながり
地方の小さな書店でも、独自のサービスやアイデアで全国に注目されることができるという考え方は、グローバル化の時代において地域の可能性を考えるきっかけになります。
岩田徹氏の『一万円選書』は、ビジネスの新しい可能性や、個人の顧客に合わせたサービスの大切さを教えてくれる本です。
私たちビジネスマンにとっても、専門性を磨くことを大切にし、創造的な考え方、そして地域の可能性を考えるきっかけになりる1冊です。
この本から読み取れることを、日常の生活や将来の進路に留意し、自分自身の強みを伸ばしつつ、顧客を喜ばせる新しいアイデアやサービスを考える力を育てていきましょう。
失敗前提での小さな試行錯誤の積み重ね行動が、これからの社会で必要とされるスキルを身につけるための大きな一歩となるはずです。
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