菅野稀|Kanno Mare
新羅王の妃になるはずが、人質として中大兄皇子に捧げられることに…。 645年、新羅王族の文姫は、倭国との同盟のために倭王へ嫁ぐことになる。 文姫は三人目の子を産んだばかりだった。それでも新羅のため、兄の金庾信(ユシン)のために、夫の金春秋と別れて倭国へと赴く。 中大兄皇子、大海人皇子、そして中臣鎌子の間で翻弄される文姫。 激動の三国時代に翻弄された、誇り高き王后の物語です。
創作に関する気づきや1行日記などをつぶやきます
文明は毅然とした礼容で、宝姫にねぎらいの言葉をかけた。 「これまでの勤めに感謝する。こ…
その夜、金春秋は盛大な宴をひらいた。王は袞龍袍を着用し、花郎徒たちの礼を受けた。その横…
文姫が新羅を旅立ってから、十五年ぶりの帰還となった。 懐かしいはずの月城は、よそよそ…
六五九年(皇極五年)、文姫は男児を産んだ。 不比等と名付けられた男児は、鎌子に似た凛…
鎌子が帰ってからしばらくの間、文姫は茫然と書簡を眺めていた。 文姫の膝には、首の座っ…
「ですが、夢やぶれて誅殺されるかもしれませぬ。石川麻呂のように。山背大兄皇子のように」 …
「私は倭国の王と縁をむすびに来たのじゃ。悪いが、鎌子のような大臣は、私の身分とは釣り合わ…
小説を書く際、PCとインターネットのおかげで作業がかなり楽になった。 資料集めのために図書…
「いえいえ、それこそ非礼でありましょう。文姫さまを側室扱いするわけにはまいりません。私…