「しゃあない、やるか」を育てる

最近、小学2年生の我が子に「宿題やりなさい」と言わないようにしている。それは、我が子の「しゃあない、やるか」を育てようと思ったからだ。


「今やろうと思ってたのに」の正体

自分が子どもの頃のことを思い返してみると、「勉強やったの?」と言われた時に「今やろうと思ってたのに」と思ったことがある。実際に我が子にもそう言われた。

それって実際に「やりなさい」を言う側になって分かったのだけど、「今やろうと思ってたのに」の正体は「今やらなきゃいけないことは分かっていた」だと思う。そして、それをやりたくなくてぐずぐずしているところで、周りから「やりなさい」と言われる。その時に出る言葉が「今やろうと思ってたのに」だ。

「やりなさい」と言われた時、たいてい腹が立つのだけど、それは「自分のタイミングで始めようと思っていたのに、人のタイミングで始めさせられることに対するいら立ち」なのではないかな、と思う。


無限ループにはまる

自分が「宿題やりなさい」という側になって分かったことは、「宿題やりなさい」と言った方が、よりやらなくなるということだ。なぜかと言うと、「やりなさい」と言われた時にやり始めてしまったら、「自分のタイミングで始めたことにならない」から、わざとその時には始めなくなってしまうのだ。要は、「言われたから、やらない」状態になってしまう。

「言われたから、やらない」状態になっているのに気付かずに、「まだ始めないな、コイツ」と思いさらに「やりなさいって言ってるでしょ」と言うと、無限ループにはまる。実際、1月2月くらいに、その無限ループにはまってしまっていた。無限ループの行き着く先は「怒る」だ


なんて最低な母だ

無限ループ地獄にはまった我が家では、子どもが泣くことが増えた。私が、無限ループを終わらせるために怒鳴り散らすことが増えたからだ。これをやると、親子そろって自己肯定感が下がる。子どもは「宿題をちっともやらない自分は駄目だ」と思うし、お母さんがどんどん嫌いになっていく。そして私は自分を「なんて最低な母だ」と思う。

こんな状況を続けてはいけない。


そこで、色々考えていくうちに「しゃあない、やるか」と言う言葉が思い浮かんだ。

これは、自分が、やりたくない事をするタイミングで、心の中でつぶやく言葉だ(単に「やるか」の時もある)。

この言葉をつぶやく自分を考えてみると、

●自分がやりたくてやっていたことにキリがついた時
●そろそろやらないと時間が間に合わない時

こういう状況が多い。

だったら、我が子も「今やらなきゃいけないことは分かってる」んだから、同じような状況で「しゃあない、やるか」と思うのではないか。自分ができる手助けは、「時間のお知らせ」と「キリの付け方」の方ではないか。

我が子の「しゃあない、やるか」を育てていこう。そう考えた。


自分のタイミングでやってもらおう

その日から、私は「宿題やりなさい」とは言わないようにした。ただ、ちょいちょい声掛けはすることにした。「もうすぐ〇時だよ~」とか、「その作業、あとどれくらいかかるの?」など。

自分としては、宿題が遅くなっても食事が遅くなっても、寝る時間さえ守れればいい、と言う気持ちで、我が子の「しゃあない、やるか」の発動を待った

すると、約束の時間より15~30分遅れにはなるのだけど、自分から「やる」とちゃんと言ってくれる。毎日ちゃんと自分から言ってくれる。30分遅れくらいになる日は結構イライラハラハラするのだけど、それでも自分から「やる」と言ってくれるのだ(うちの子の場合)。


「自分からやる」は、きっと自己信頼感も育む

しばらく、自分から宿題をやってもらうようになって、我が子が少しだけ、落ち着きが出てきた。そして、宿題以外のやるべきことを、以前よりちゃんとやるようになってきた

それはきっと、「自分からやる」ことの気持ちよさに気付いたのではないかと思う。

「自分からやる」
「お願いされてやる」
「命令される」

結果として同じこと(宿題)をしたとしても、やり終わった後の気持ちは全部違う。

「自分からやる」には、自分への信頼感が増す感じがある。
「お願いされてやる」は、自分が得意なことや好きな事以外は、面倒ごとを引き受けた感じがする。
「命令される」は、相手への反発や嫌悪感を引き起こす。

どうせやることは同じなのだから、「自分からやる」に持っていきたい

それは相手が子どもであれ自分であれ。


私自身が、我が子の「しゃあない、やるか」を奪っていたことを肝に銘じる

忘れてはいけないのは、上記の無限ループのスタートは「私」だということだ。

「しゃあない、やるか」を育てる、なんて偉そうに書いておいて、私自身が、我が子の「しゃあない、やるか」を奪っていただけだったのだ。

困った我が子がいた訳ではなく、困った母が作り出した状況だった。

言い訳をすると、ここしばらく疲れていたから、早く1日のすべての工程を終わらせたかったと言うのもある。毎日早く寝たかった。でもそんなこと、我が子には関係のないことだ。

自分のコンディションをしっかり整えて、たくさん笑ってストレスはしっかり発散しておいて(参照:もう少し笑うようにしよう)、子どもにストレス発散の矛先が向かわないように、もう少し自分に手をかけておこうと思う



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