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うちの会社が電話に出る際に「有難うございます」と受け取る理由

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

今日は「有り難い」ということと「経営」のつながりについて、経営コンサルの現場でのエピソードを踏まえてお話できればと思います。

■ある経営者の意外な言葉

ある経営者とミーティングをしていた際に「会社は決して安泰だと思っていない。油断をすると会社はすぐにつぶれる。」という話をその経営者の方がしていました。

その企業は、ここ数年、順調に市場を開拓し、会社の業績は好調。今後の成長も見込まれていて、すぐにつぶれるという会社ではまったくない状態です。

そんな企業だけに、経営者のこの言葉は、とても重く印象に残りました。

なぜ、「会社はすぐつぶれる」という言葉を大切にされているのかを聞いてみると、数十年前にご自身が社長に就任する間際に、会社が倒産しかけた経験があったということでした。それまで好調だった商材が、競合の攻勢により、徐々に価格競争に巻き込まれ、業績が悪化。綱渡りの経営をした日々から「油断をしたら会社はすぐにつぶれる」という言葉が、ご自身の教訓として刻まれたということだったのです。

■電話に「有難うございます」と受け取る理由

この話から私の今の会社が電話に出る際に「有難うございます」と受け取る理由の話を思い出しました。

今の会社の創業者は、元銀行員で、そこから経営コンサルタントとして独立をした方で、顧客は当然いない状態からのスタートでした。

創業者以外に2名の社員と会社をはじめ、数か月たっても顧客がいない状態。家賃や社員の給与で資本金はどんどんなくなっていく。そんな中で感じていたことは、電話がならないこと。電話を頂けることが有難いことであるということをその時に身に染みて実感したと言います。

その後、顧客が見つかり、その後は順調に歩み出したのですが、その時の気持ちを決して忘れてはいけないということで、電話に出る際には「有難うございます」と受け取ることにしているのです。

「有り難い」は「有ることが難しい」=「当り前じゃない」ということ。「顧客から電話が来ること、顧客から仕事を頂けること、これらは当り前なことでない、有り難いことなんだ」という想いが込められていて、その教訓となっています。

■イトーヨーカ堂創業者の伊藤雅俊さんの言葉

この話から先日亡くなられたセブン&アイ・ホールディングス(HD)名誉会長で、イトーヨーカ堂創業者でもある伊藤雅俊さんの言葉を思い出しました。

それは「お客様は来てくださらないもの」というものです。

伊藤さんは、戦後間もない東京・千住で、お母さんと兄と3人で羊華堂という洋品店を営んでいました。その際のお母さんからの教えがこの言葉でした。
伊藤さんは、生涯この言葉を大事にされ、「お客様がお店に来てくれることは、とても有難いことである。お客様に喜んで頂く、また来たいと思って頂くお店作りをしていかなければならない」ということを経営の基本の考えとしていたと言われています。

■治にいて乱を忘れず

これらの経営者の話から共通している考えは、「順調なときにこそ、厳しかったときの教訓を忘れるな」ということだと思いました。古典にも同じ意味合いで「治にいて乱を忘れず」という言葉があります。

私もそうですが、順調に行き始めると大変だったときのこと、うまくいかなかったときのことをどうしても忘れがちです。そして、忘れるとどうなるか。同じような過ちを犯してしまう。さらに言えば、取り返しのつかない過ちにつながってしまうことも少なくありません。

裏を返せば、厳しいとき・大変な時にも意味がある。そこから学ぶことがある。それが、会社を、自分を成長させ続ける教訓となる可能性があるとも言えると思います。

大変な時も順調な時も一喜一憂せずにいきたいものです。

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