見出し画像

“5kg以上増やしたくない”妊婦さん

“赤ちゃんと胎盤とかかでて、出産して減るのは5kgとききました、ほかの増えた分って、私の脂肪ってことですよね?”

“どうやったら、妊娠中の体重増加を5㎏以内にできますか?”

**“妊娠初期で体重が7kgも増えてしまいました。これからどれだけ増えるのか心配です。もう増やしたくありません。” **

助産についての研究テーマに決めるとき、
一時期、妊婦体重増加量について調べていた。
研究論文では、どうやって体重を適正に増やすか、食事の指導をするか、が調べられていて、

ふと、ふつうの妊婦さんってどんなことを考えているんだろう、と思いたち
Googleで調べてみたとき、出てきたのが上の言葉たちだった。

Yahoo!の掲示板でも、妊婦さんたちの、
たぶん、産婦人科で、医療者には言えない本音や悩みが、つづられていた。

正直、衝撃だった。
5kg?どこからそんな話が出てきたのだろう。

妊娠したら、赤ちゃんのために食べなきゃね、とか
体重増やしすぎちゃダメだよ、とか
そんな言葉は、誰でもどこかで、聞いたことがあるのではないだろうか。

産婦人科は助産師の教科書や研究では、
どうやって適切に体重管理をするか、
食事を勧めるか、保健指導をするか、
たくさん、たくさん習う。

しかし、一般の妊婦さんや、女性のなかには、

そんな真面目な指導なんて、もしかしたら、どどかない“何か”を抱えているのかもしれない。

そんな思いがした (´._.`)

妊婦体重増加が、どれくらいが望ましいか、は
妊娠前のBMIによって推奨量がある。

(ただ、この数字も、海外と比較すると異なり、研究に基づいているものの、確実に正しい、といえるものではない、ともいわれている。)

ただ、日本は
低出生体重児、といわれる2500g未満で生まれる赤ちゃんの割合と
早産、といわれる妊娠37週未満で生まれる赤ちゃんの割合は、
増加している。
栄養状態、衛生状態が良い先進国の中で珍しい現象だ。

(全出生児のなかで低出生体重児の割合は1975年に男児4.7%、女児5.5%だったが、2015年には男児8.4%、女児10.6%と、過去40年で約2倍)
(早産の割合は、1980年には4.4%だったが、2015年には5.6%)

低出生体重児や、早産のリスクには
さまざまな原因が調べられているけれど
妊娠期の体重増加が少ないことや、
食生活も指摘されている。

女性芸能人が、妊娠後に激太りしたとか、
産後どうやって体重を戻したか、とか
あの人は妊娠しても体型が、見た目が変わらないね、すごい、と話題になるのをみていると
メディアの影響力というのも問題な気がする。

調べてみると、こんな記事も多くでてくる。
例1

例2

妊娠中の体重増加は、“太った”なんだろうか?

摂食障害の人は、腹部が大きくなることにも抵抗があるという。
腹部が大きい=太った、と感じるからだ。
摂食障害と診断治療されていない、また自覚がない人でも、
🌀 痩せていたい
🌀 太りたくない
🌀 痩せているべきだ
**といった風潮が当たり前に存在する日本で、
少なからず影響を受けている妊婦さんは、たくさんいる気がする。 **

妊婦は、産科の健康診断のときに
毎回、体重を測る。
何キロ増えましたね...
順調ですね、赤ちゃんは元気ですよ...
貧血になりやすいから鉄をとりましょう...
バランス良く食べましょう...
この時期にしては、増えすぎかも...
食事どうしてますか?...
赤ちゃん少し小さめですね...

医師や助産師、看護師は、
血圧、尿検査、赤ちゃんの成長、体重、生活習慣など、さまざまな指標を総合して診断、
または判断して、妊婦さんに伝えているけれど

**医療者と妊婦さんがお互い理解しやすく、目に見える共通の目標が、妊婦の体重増加量なのかもしれない。 **

助産師として、働き始めたあと、
妊婦さんの思いに寄り添った看護をしたいと、心から思うけれど、
研究でいわれている推奨と、相手の思いを尊重しながら
妊婦さん家族にとって、
より良い妊娠出産になるための、
専門家として関わる難しさを、思い知る。

参考文献
妊娠期の至適体重増加チャート
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a4.pdf
平成29年わが国の人口動態 平成27年度までの動向 Vital statistics in Japan Trends up to2015. (2017).

#摂食障害 #ボディイメージ #産後 #妊婦 #妊婦体重増加 #妊娠 #ダイエット #痩せたい #太りたくない #出産 #育児 #過食 #拒食

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?