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私たち夫婦が保育園を創業して、学童を経営することになった理由を告白します。

はじめまして。私と夫はさいたま市で保育園と学童、幼児教室を経営しています。なぜ私たち夫婦は創業に至ったのか。どのような背景で教育事業を始めたのか。

私たち夫婦に訪れた転機とともに、会社を経営するに至った理由を告白したいと思います。

私たち夫婦の結婚から出産までの道のり

私たち夫婦は大学を卒業して、新卒で入社した生命保険会社で同期として出逢いました。夫は新潟県長岡市の営業拠点に、私は東京の本社に配属になりました。

入社2年目の夏頃から付き合い始め、遠距離恋愛を続けていました。入社4年目には夫も東京本社の、しかも隣の部署に異動してきました。

お互いの仕事も充実していたし、いつでも会える距離で生活できるようになって二人の交際も順調に続いていきました。

そして入社5年目のときに結婚しました。
その後、長女を授かり、出産しました。

長女を妊娠したばかりの頃、夫と産後の働き方について話し合いました。

【私の生い立ち】

私は母が専業主婦の家庭に生まれ、幼稚園に通い、小学生のときの放課後は母がいる家に帰宅していました。

【夫の生い立ち】

夫は共働きの両親のもとに生まれ、0歳児から保育園に通っていました。
約35年前の当時、0歳児の夫は、待機児童(当時そのような言葉があったのかわかりませんが...)になり、初めは認可外の保育所に通っていたそうです。その後、公立の保育所に転園し、卒園。小学校1年生から3年生までは公立の学童に通っていました。

もともと私は出産後も働き続けたいと思っていましたが、当時の私は共働きの家庭で育った経験がなく、共働きの家庭の子育てをイメージすることができませんでした。

だから私が働き続けることで子どもに寂しい思いをさせてしまうのではないかと急に不安になり、夫に「保育園に通っていて寂しくなかったの?」と思わず尋ねました。

すると夫は「保育園が寂しい場所だったら、こんなに自己肯定感の高い大人は育たないでしょう。」と満面の笑顔で答えました。そして、夫はこう話し続けました。

確かに親が共働きだと、親と過ごす時間は短くなるし、親に見送られることよりも親の背中を見送ることの方が多くなるから、親の後ろ姿の記憶が鮮明にある。

でも時間が限られているからこそ、父さんも母さんも一緒にいられる時間は精一杯の愛情を注いでくれた。だから、時間は長さではなく、濃さで計るものだって子どもながらに理解していたよ。

そして職場に向かう両親の背中から働くことの大変さを感じたし、お迎えに来てくれた時の満面の笑顔を見て働くことで得られる幸福感があることを学んだ。

人それぞれ価値観は違うから、仕事を続けるか仕事を辞めるかの選択のどちらに正解なんてないけれど、もし母さんが働き続けたいと願っていたのに自分を理由に働くことを諦めたんだということを知ったら寂しく感じるな。

子どもにとっても親は家族で、子どもながらに家族の力になりたいと願うし、家族の力に自分がなれたと知れば誇りに思う。

だから働き続けることでこの子を犠牲にすると考えるのではなくて、この子の力を借りながら自分たちらしくいられる家庭を築こう。

そして、この子に毎日たくさんの感謝と愛情を伝えよう。

そうして、私たち夫婦は長女を出産後も共働きとして当然に働き続ける予定でした。しかし、長女の保育園がどうしても見つからず、なかなか復帰の目処が立ちませんでした。

夫、創業を思い立つ

そして、2016年11月も終わりの頃、夫が家に帰って来ると唐突に私に言いました。

「保育園が見つからないなら自分たちで創ろうよ。」

夫のあまりの突然の提案に私は返す言葉がなかなか出てきませんでした。「夫が仕事を辞める??」「そもそも保育園って作れるの??」「保育園を開園するのにいくらかかる??」「資金はどうやって工面する??借金する??」という疑問と不安が頭の中をグルグルと周っていました。

だからといってこのまま何も行動しなければ、仕事に復帰できる見込みもなく、考えれば考えるほど、私たち夫婦が共働きを続けていくために夫からの予想外の提案が現実的な解決策のようにも思えてきました。

そうして夫は2016年12月に会社に退職届を提出し、2017年1月に退職。
2017年3月に会社を設立して、同年7月に認可外保育所「彩の調こども園」をさいたま市に開園しました。

【保育園の名前の由来】

「彩の調」は「イロドリノシラベ」と読みます。
子どもたちの「多様な個性」を「彩(イロドリ)」として、保育園という「集団生活の可能性」を「調(ハーモニーという意味でのシラベ)」として表しました。
『子ども一人ひとりがかけがえのない個性を見つけ、集団生活の中で個性を伸ばす方法を学び、自分自身と周りの人を大切にする人間性を育む。』
そんな決意を込めました。
また保育園は地域のための施設なので、「この場所から地域に根ざし愛される保育園になろう」という想いを込めて、埼玉県の愛称である「彩の国(サイノクニ)」の「彩」と、浦和エリアを象徴する狛うさぎで有名な「調神社(ツキジンジャ)」の「調」に由来して、『創業の地である埼玉県の浦和から幼児教育を通じて社会に貢献する』という決意を込めて「彩の調」と名付けました。

【保育園のコンセプト】

私たちの保育園に通う子どもたちが成長して、大人になって、親やおばあちゃんおじいちゃんになったときに、自分の子どもや孫をこの保育園に通わせたいと思ってもらえるような保育園でありたい、そんな想いで保育園創りをしています。
三世代に渡って利用したいと思ってもらえる保育園であるためには物理的な環境を整えるだけでは限界があって(モノは何十年も保たないものも多いので)、大切なことは子どもや保護者の方、地域を取り巻く外部環境の変化に保育園として目を配り、「変えるべきこと」は機敏に変化させ、「こだわり抜くこと」は徹底的にこだわり抜く頑固さを持つことだと思っています。

【保育のコンセプト】

私たちが保育の中で見つめるのは、子どもたちの「今」はもちろんのことですが、子どもたちの「30年後の未来」です。
30年という時の経過の中で子どもたちには進学や留学、就職、結婚、出産、育児、介護、事業継承や起業など、本当にたくさんの環境の変化があり、日々「迷い」や「悩み」の連続です。
子どもたちがそうした「転機」を乗り越え、「自分らしい生き方」を選択してもらいたい、そのために保育園として「今できることは何か?」を考え抜く保育を目指しています。

保育園のその後

創業から間もなく5年。保育事業が拡大していく過程で、私も保険会社を退職し、今は夫の事業に参画しています。

さまざまな困難にぶつかりながらも、その度になんとか乗り越えながら、現在ではさいたま市内で保育園4箇所を運営しています。

そして、2022年4月には認可保育所をさいたま市内に2箇所開園する予定です。

【事業の沿革】

○2017年3月 
   - 株式会社Lead Discovery 設立

○2017年7月
   - 認可外保育所「彩の調こども園」を開園

○2018年1月
  - 彩の調こども園を「企業主導型保育事業」に
     運営移行

○2018年10月
  - 彩の調こども園の保育室を増床

○2019年3月
  -  彩の調こども園北浦和校(企業主導型保育
   事業)を開園

○2021年4月
  -  彩の調保育園浦和高砂(小規模保育事業所)
     を開園
  - 彩の調保育園南本町(小規模保育事業所)
     を開園

○2021年7月
  - 社会福祉法人LEAD Care and Education
     Center 設立

○2022年4月
 - 彩の調保育園南浦和(認可保育所)を開園予定
 - 彩の調保育園さいたま新都心西口(認可保育
    所)を開園予定

彩の調こども園
彩の調こども園(保育室増床部分)
彩の調こども園北浦和校
彩の調保育園浦和高砂
彩の調保育園南本町

長女は2021年3月に私たちの保育園を無事に卒園し、小学校に入学しました。
こうして、私たちの創業物語はひと区切りがつくはずでした。

学童の創業

しかし、私たち夫婦は長女の学童が見つからない「小1の壁」に直面しました。でも、もう私たちが進むべき道は決まっていました。

2021年1月、今度は私が代表者として会社を創業し、同年7月に民間学童「ガクモン」を開校しました。


【学童の名前の由来】

ガクモンの由来である「学問」とは未知のものを理解するために「問い」を立て、「解」を考え、「理解」を積み重ねる行為であり、「より良い暮らし」を実現するために人間が時代を超えて続けてきた営みです。
「学問に王道なし」という故事があるように、学問を修めるのに簡単な方法はなく、誰でも苦労して習得するものというイメージが古代からあります。
一方で、様々な技術が発達した現代は学問を始めるきっかけや、学問を続ける動機づけ、未知の知識を調べて習得する方法や機会は故事ができた時代と比べて飛躍的に増えています。
だから、学問を「もがき苦労する修行」から「楽しみワクワクする習慣」に変えること、これが私たちガクモンの目指すことであり、名前の由来です。

【ガクモンのコンセプト】

学問の自由が約束された場所、ガクモン。
好奇心の赴くままに問い、学ぶ自由を子どもたちに。
基礎学習のその先に触れ、想像し、将来の可能性に期待を膨らませる自由を子どもたちに。
学ぶこと、それ自体を楽しむ自由を子どもたちに。

【ロゴのモチーフ】

失敗を恐れず未知の領域にチャレンジする「ファーストペンギン」の志をモチーフにしています。ペンギンは群れで生活しますが、餌を獲る際、「ファーストペンギン」と呼ばれる初めの1匹が海に飛び込まない限り、他のペンギンは海に飛び込みません。天敵が潜んでいるかもしれない海にファーストペンギンがリスクを負って飛び込んでも魚はいないかもしれません。
ファーストペンギンにはリターン以上に大きなリスクが伴います。しかし、ファーストペンギンがいないことには、群れが食事をすることはできません。
子どもたちには、実現したい夢を抱いた時、失敗を恐れずにチャレンジする意思を持ってもらいたいです。
夢を実現するための挑戦にリスクが伴うのであれば、リスクを回避する方法として「挑戦しないこと」を選択するのではなく、リスクを軽減するための方法を調べ尽くし、行動する力を身につけてもらいたいです。
そして、たとえ前例にない挑戦であっても果敢に挑戦できる人になってもらいたい、そんな願いを込めています。

こうして私たちの創業物語は、予想外の展開ではありましたが、第二幕が上がりました。

私たち夫婦の仕事、それは「起業家」だと思います。
むしろ「起業家」でありたいと願っています。

登山家が山を登る理由は「そこに山があるからだ。」というように、起業家である私たち夫婦が事業を興す理由は「そこに社会の課題があるからだ。」というシンプルなものです。

自分たちが選んできた「起業家」という山をこれからも一歩ずつ着実に登って行きたいと思います。

#この仕事を選んだわけ


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