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日本の文化発信と交流はいつか防波堤に/世界平和を願う会社員のひとりごと

どうしたら世界から戦争が消えて、平和になるんだろう。そんなことを考えながら、ふと思ったこと。


大谷ファンのアメリカ人に、日本嫌いはいるだろうか。

大谷選手を通して、東の最果てにある小さな島国・日本を知った人は増えただろう。コロナ禍に噴き出したアジアヘイトの対象に含まれるこの国に、“JAPAN=Otani”というポジティブなイメージをもたらしたはずだ。大谷ファンとアジア人差別思考を兼ねた人がいたとしても、決して多くはないと思っている。

敵地の試合で「うちにも来て」と熱愛コールが飛び交うほど、スターの魅力には心を動かす引力がある。大谷選手の活躍はご本人の努力の賜物で、それ自体がものすごいことだから例外なアジア人かもしれない。それでもたった一人の偉人の出現で、愛が生まれるくらい人の心は温かい。その愛は平和に繋がると信じている。

BTS好きのおばさんに、韓国嫌いはいるだろうか。

何度も訪れる韓流ブーム。それを支えてきたのはヨン様時代から韓国に魅了されたおばさまたちではないだろうか。包み隠さず言えば、年齢が高いほど歴史の名残でアジア諸国を見下すような価値観が垣間見える。私自身もそんな場面に出会したことがあるし、それは本人の意思よりも彼らの生きた時代の影響が大きかったと思う。周囲が「日本はアジアの頂点だ」と言わんばかりだった時代を超えたおばさまたちは韓国をどう見ているのか。ひとつだけ言えることは、旦那を置いて海を超えてわざわざ赴く程に熱狂しているということ。

私のような平成生まれや令和の若者にとって、韓国はとても身近な国である。韓流ブームは日本に完全に溶け込み、韓国の食・エンタメ・美容は欧米発のハンバーガーやファストファッションと同じくらい当たり前のものになっている。推しのK-POPアイドルの発言を理解しようと韓国語を学ぶ若者も多い。政治家が何を言おうと、私たちの生活から韓国要素がゼロになったり、不買運動が起こったりすることはないだろう。

知らない恐ろしさと知っている強さ

大谷ファンと韓流ブームの例を挙げた理由は、どちらも好きなものを通して他国に興味をもつきっかけだったから。世の中にある差別やヘイトスピーチは大して相手のことを知らない人によって行われている。反日運動が報道されると、中国人や韓国人の友達は「政治家がどんなに反日感情を煽っても、それは意図的だとわかる人はわかっている。全員がそんなこと思ってないし、日本が好きな人もたくさんいる。日本のメディアと同じだよ」と教えてくれた。もう交流のない今でも、私は中国や韓国のネガティブな情報を見ると彼女たちを思い浮かべるようにしている。

日本人の私が誰かと交流することは、日本人の友達がいる人を増やすこと。友達がいる国だと思えることは、有事の時にお互いを守ることなんだと留学生の友達から教わっていた。(彼女たちは留学するくらい経済力・学力・リテラシーが高かったのはもちろん理解し合えた要因でもある)。

日本がやるべき、文化の輸出と交際交流

日本に行ってみたい。既にそんな想いを持ってくれる外国人に対しては本当にありがたいと思う。美しい風景やアニメの世界を体験したくてやってきて、きっと日本を好きになってくれる。そのきっかけを作ったり、実際に訪れた人の心を掴んだり、努力を惜しまないエンタメ・観光業界の皆さんには頭が上がらない(ありがとうございます)。

一方で、クールジャパンが騒がれてから、世間の雰囲気は少し怠慢になってしまったように感じる。日本って素晴らしいでしょ?世界にこんな評価されてんだぜ?という趣旨のテレビ番組には正直うんざりする。世界から見た日本の強みを認識することは大事だけど、それを鼻にかけていないだろうか。

世界に触れるその瞬間、私たちは誰もが日本を代表して最前線に立っている。一人一人が日本の印象を決めている。誰かにとって初めて出会う一人の日本人留学生かもしれないし、旅行先で出会った自分の国に興味がある日本人かもしれない。そういう出会いは心に残る強さが違う。「あいついい奴だったな」と思われていたら、その人はきっと自国と日本が揉めても一方的に批判しない可能性が高くなる。日本で出迎えることも大事だし、日本を発信できる人材を送り出すことも同じくらい重要だと思っている。若い人だけじゃなく世界に飛び出す日本人を後押ししてほしい。そういう意味でこれはもっと国を挙げて戦略を掲げて必死にやるべきなのでは、と不安定な世界情勢を見て思わない日はない。

愛は日本を救うのか

人手不足、オーバーツーリズム、文化摩擦、単純じゃない問題が山ほどあって、観光産業に従事していない私の考えは絵空事かもしれない。それでも誰かが瓦礫の下敷きになっているこの世界で、個人が繋がっていく草の根運動で揺るがない地盤を作れるはずだと夢のようでも信じていたい。

国際系の学部で学んでいた頃に感じていたのはこんなことだった気がする。なんの希望も叶わないまま就職して今に至るけれど、自分の中に流れるこんな信念をいつか形にできたらと思う。簡単に吹き飛ぶような無力な個人だからこそ、私は平和な世界を望んでいる。


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