(総選挙5)政権交代を望むならば、野党支持者よ「戦略的投票」を!
衆議院議員総選挙は、いよいよ投開票日となった。最後に1つだけ言っておきたいと思う。
私は、政権交代を望むわけではない。野党を支持しているわけではない。しかし、政権交代を望んでいる人、一度は自民党を下野させて反省させたいと思っている人が明らかにいる。そういう方々のために、1つだけ言っておきたいと思うのだ。
それは、「戦略的投票」を考えてほしいということだ。
私は大学の授業で、さまざまな「選挙制度」について、単純なサンプルを用いて、その長所・短所の特徴、投票の結果、どのように議席が決まり、どの政党にどのように配分されるか等を講義してきた。
私の授業は「反転授業」なので、講義は予習として動画となっている。それをみてください。日英両方あります。
選挙制度の特徴をよく理解すること、それは自由民主主義を守り、育てることにつながるのだと話す。
なぜなら、選挙制度の特徴をよく知れば、選挙で「戦略的投票」ができるからである。戦略的投票によって、政策に失敗したり、スキャンダルが起きた政権を交代させることができるからだ。
「戦略的投票」とはなにか。
自分の立場に最も近い政党・候補者の当選の確立が低い場合、次善の政党・候補者に投票することだ。
要するにどういうことかといえば、例えばA氏という有権者が、B候補者を支持している。政策から人柄、かっこよさまで完全に惚れているが(笑)、なにより大事と思っているのはB候補者が所属するC党の政策だとする。本当に、人々のためになると思う。当然、選挙ではA氏はB候補者に投票したいと思っている。
しかし、C党は小政党でしかない。資金力、支持団体の質量で、D党、E党の「二大政党」に勝てず、B候補者は選挙に勝てる見込みはない。
A氏のB候補者、C党への強い気持ちの入った投票は、「死に票」になってしまう現実がある。
その時、A氏は考える。D党、E党の候補者のどちらに投票すれば、C党に近い政策が実現されることになるか。E党の方が、C党ほど完ぺきではないが、ややC党に近い政策を実行してくれる。A氏は、政策が一歩でも前に進み、よりよき社会を実現することができるならと、E党に投票する。そうすれば、A氏の票は、社会の改革に少しでも資することになり、「死に票」にならない。
これを、戦略的投票と呼ぶ。
今回の総選挙では、「裏金問題」などで自民党の支持率が低迷し、苦戦が伝えられている。しかし、野党への政権交代は難しいとみられている。
それは、野党がバラバラに候補者を擁立しているからだ。選挙区で、自民党の候補1人に対して、立民、国民民主党(以下、国民民)、日本維新の会(以下、維新)、共産党(以下、共産)が立候補者を擁立している。
野党支持の有権者が、それぞれの支持政党に素直に投票すれば、「反自民」の票が5つに割れてしまう。1人だけが勝利者となる現行の「小選挙区」では、たとえ反自民票が自民票を超えていても、それがバラバラでは勝てないのだ。
日本の有権者の多くは、日本の選挙制度「小選挙区比例代表並立制」がどんな特徴があるかを、熟知していると思う。メディアでも散々、バラバラ野党について報じてきたしね。
自民党がダメダメでも、どうせ政権交代は無理。せいぜい、議席を減らさせて少しは懲らしめることくらいしかできない。あきらめに近いムードがある。
私は、「1993年の細川護熙政権の再現」はあるかもよ、と言った。
過去の選挙で、一番似ているのがこの選挙であるのは間違いないが、さすがに政権交代にはいけそうにない。その最大の違いは、当時は「中選挙区制度」だったことだ。
この制度は、1つの選挙区で3人とか5人とか、奇数の複数人が当選者となった。自民だけが複数候補を擁立できたことで、自民だけが2人当選させることができるために、自民だけが単独過半数を獲得できる制度だった。
そのため、政権交代が極めて難しく、制度改革されたのだが、それでも、93年選挙では、自民1人だけ当選、野党側がバラバラながら2人当選という選挙区が多発し、自民が過半数割れした。
今回は、それができないことを、有権者も知っている。
さて、長らくかかりましたが、本題に入ります(笑)。
それでは、野党支持者に打つ手がないのかといえば、1つだけ残っている。それが「戦略的投票」だ。
野党支持者は、自分の選挙区に立民、国民民、維新、共産などの候補者が乱立していた場合、一番当選する可能性がある強い候補を選ぶ。地方新聞の情勢分析などみれば、わかるでしょ。
例えば、共産の支持者の皆さん。わかってるでしょ?自分とこの共産の候補、どうせ最下位で供託金没収になること(笑)。そして、立民か国民民かなどから、ひょっとすれば自民に勝てそうな候補もわかるでしょ?その人に投票するのだ。
野党候補が乱立しても、一番強い候補にある程度票が集中すれば、各選挙区で自民に勝てる。ある選挙区では立民、ある選挙区では国民民、ある選挙区では、共産でもいい。そして、自民を過半数割れに追い込む可能性を高めるのだ。
以前から、橋下徹氏が「野党の予備選」を提唱している。総選挙の前に、各選挙区で野党の統一候補を決めるための予備選を行い、一位になった人が立候補するという案だ。
まあ、それは政党間や政治家間のこれまでのさまざまな「遺恨」の結果、まったく実現しなかったわけだ。
だが、しょうもない政党、政治家の「遺恨」などほっておいて、もう有権者が自分で「戦略的投票」を行ってはどうかと思う。
野党側が過半数を得るか、与野党伯仲で最後、玉木雄一郎氏の決断で政権交代がが決まる状況になればおもしろい(笑)。
それを、アホな政党、政治家が作れないのならば、有権者が賢くなって自ら作ることが大切だと思う。それはまさに今日、できることなのです。
それでも、一緒になれず政権交代できず、自民党政権をみすみす延命させるならば、もう野党側は救いようがないということになる(笑)。まあ、その可能性が高いよ。
それでも、何度でも繰り返したい。「野党支持者よ、戦略的投票で政権交代を!」
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