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【奥の細道 授業実践】〜Google Earth🌍とGoogleスライドで芭蕉の旅路に思いを馳せる!〜

【はじめに】
 今回は、Google EarthとGoogleスライドを使った『奥の細道』の授業実践について書こうと思います🙂。
 生徒がGoogleスライドを使って松尾芭蕉の旅路を紹介するプレゼン資料をつくり、発表時にGoogle Earthのプロジェクト機能を利用して視覚的に実際の地を見せるという授業を行いました!

1.授業計画

 今回の単元を貫く課題は「芭蕉の旅路を調べ、芭蕉がどんな旅をしていたのかわかりやすく聴衆に伝えよう!」です。

 単元を貫く問い/課題について述べた記事はこちらです↓

 今回は「話す・聞く」を評価の対象とした単元として設定しました。多くの国語の授業が、「読むこと」に力を入れており、生徒は「話したり」「聞いたり」する活動をあまり経験できていません。

 そこで、本単元は「話すこと・聞くこと」を軸に進めることにしました。 

 さらに、私が以前から『奥の細道』について考えていたことがあります。

 『奥の細道』は大変有名な作品で、多くの教科書で掲載されていることと思います。しかし、掲載されている章段は「旅立ち(冒頭)」「平泉」などであることが多く、これらの章段以外は生徒は触れることなく高校を卒業してしまいます。

 教科書に載っている章段しか読めないのはもったいないな〜

と以前から思っていたのです。

 「旅立ち」や「平泉」以外にも魅力的な章段がたくさんあります。

 「俳聖」と呼ばれ、日本史上最高の俳諧士の1人として数えられる芭蕉が、各地を旅する中で何を感じ、そしてどんな思いを歌に託したのか

 それを生徒にもっと味わってほしいと考えました。

 そこで今回は、グループに分かれ『奥の細道』の全章段の中から2章段選択し、そこで芭蕉がどんな旅をしたのか、またどんな俳句を詠んだのかを調べてもらい、調べたことをスライドにまとめて発表してもらおうと考えました。

 また、実際に芭蕉が訪れた地をEarthで紹介することで、芭蕉が訪れた地や俳句に詠まれている地を視覚的に楽しむことができるのはないか、とも考えました。

2.発表のルールと評価基準

 発表を行うにあたって、発表のルールと、評価基準表(ルーブリック)を生徒に提示しました。

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 ルーブリックは、「話し方」「発表内容」という大きく2つのものを用意しました。(詳細は画像をご覧ください)

 後述しますが、評価は私だけが行うのではなく、生徒自身にも発表班の評価を行ってもらいました

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3.授業準備

 まずはじめに、私の方で全グループ分のGoogleスライドを用意し、共有設定も終わらせた上でGoogle Classroomに掲載しました。生徒には自分のグループの番号がついたスライドを選択してもらい、そこから自身の端末で編集をしてもらいました。

 ※本校の生徒は教員が許可した場合においてのみ、授業中に自分の端末を使用することができます。それについての詳しい記事は、同じ学校で勤務しているけいすけ先生のnoteをご覧ください。

Google Classroomの画面はこのようになっています↓

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 同様に、Google Earthのプロジェクトもこちらで全グループ分用意し、Google Classroomに掲載しました。↓

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 ここで一つ気をつけなければならないことがあります。Google Earthのプロジェクトの編集は、スマホのアプリからはできません

 そのため、Google Earthのプロジェクトを編集するために、パソコン室を借りる必要がありましたスライドの編集はスマホから行いましたが、やはり生徒はパソコンの方がやりやすいようです。(はやく1人1台パソコン欲しいなぁ)

 こうして、ClassroomにスライドとEarthをこちらで掲載し、そこから生徒は自身の端末やパソコンで発表の準備をしていきました。

 さらに、班どうしでお互いに刺激し合ってほしいと考えたので、Googleサイトで作成した授業サイトにすべての班のスライドを掲載し、一覧で見られるようにしました。↓

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 生徒たちは、他の班のスライドを参考にしながら、スライドを編集していました。

 『奥の細道』の章段を生徒が調べる際は、Google検索を使ったり、図書室を使ったりしました。その際に、いくつかの複数のサイトや文献を閲覧し、信頼できる情報を吟味してからスライドに載せるよう指示しました
 ネット上のすべての情報が信頼に値するものではないからです。

 今回、表向きの目標は「話すこと・聞くこと」にしていますが、実はこの授業では、「情報を取捨選択できること」、「情報機器やツールを使いこなすこと」という目標の達成も目指しています

 社会に出てからネットの危険性や情報機器の扱い方を知るのでは、はっきり言って手遅れです。日々の授業の中で「生徒自身が情報機器を扱い、ネットの情報を取捨選択するという経験が必要です。

 そのため、Google検索や図書館を利用する際は、複数のサイトや文献に目を通すよう指示しました。

 こうして、各班のスライドが完成しました。いよいよ発表です。

4.発表

 発表は、2台のプロジェクターを使用して行いました。1台はスライドを表示する用で、もう1台はEarthを表示する用です。

 本校にはプロジェクターがついていないので、2台のプロジェクターを教室まで持っていかなければなりません😓。教科係も私も一苦労でした...笑。他の教室から教卓をお借りし、プロジェクターを2台設置しました。

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 生徒たちは、2台の端末でスライドとアースを操作しながら発表を行いました。普段発表という活動自体をあまり経験したことがないからか、やはり生徒たちは緊張していたように思います。

 スライドをもとに芭蕉の抱いた感情や俳句に託した思いを紹介しつつ、俳句に出てくる場所や実際に芭蕉が訪れた地をEarthで表示するという発表を行いました。

 慣れないスライド操作、慣れないEarth操作をしながらも、生徒たちは懸命に自分たちの調べたことを発表してくれていました。

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 限られた時間の中で、準備から発表まで、生徒たちはよくこなしてくれたと思います。
 奥の細道について詳しく調べることで、芭蕉の思いや俳句について、多くのことを知ることができたのではないでしょうか。

5.評価

 今回の評価は、事前に生徒にも示したルーブリックをもとに行いました。なお、今回は、生徒どうしが自分たちの発表を相互に評価することができるように、評価用のGoogleフォームも用意しました

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 グループの発表が終わった後、3分ほど時間をとり、評価用フォームに評価を記入してもらいました。

 最終的にはフォームの集計結果をスプレッドシートに出力し、そのスプレッドシートを生徒と共有しました。

 その上で、他者の評価を確認し、自分たちの班の良かったところと反省点をドキュメントでまとめてもらい、classroomで提出してもらいました。

 こうした「話す」授業は今後も積極的に取り入れていきたいので、生徒たちが今回の反省点を生かして、さらに高いレベルで人前で話せるようになることを期待したいです。

6.良かった点と反省点

 ここまで、授業準備や実際の授業の流れについて述べてきましたが、最後にこの単元の良かった点と、反省点をまとめて終わりにしたいと思います。

【良かった点】

「自分たちで」『奥の細道』について調べることで、『奥の細道』について生徒たちはより深く理解できた。
・Google Earthを使用することで、地理的にも『奥の細道』の世界観を体験できた。
・スライドを編集することを通して、情報を取捨選択したり、相手に情報を伝えるための効果的な方法について考えたりすることができた。
・発表を通して、人前で話す体験ができた。
・自分たちの発表を反省することで、人前で話すときの効果的な話し方について学ぶことができた。

【反省点】

スライドに書いてある文章や原稿をそのまま読んでいる生徒が多く、真の意味で「人前で話す」練習になっていなかった。
・ルーブリックに評価項目を追加しすぎたせいで、生徒がどこに焦点を絞ればいいのかわかっていなかった
・Earthはただ場所を映すためのものとして活用し、Earthで映っている場所について全く言及しない班がいくつかあり、Earthの意味が感じられないときがあった(Earthをただ垂れ流しているだけの状態の班がいくつかあった。
・生徒たちは「発表すること」ばかりに集中してしまい、芭蕉の感情や俳句に託した思いについて深く考えることができていなかった
私の教材研究が甘く、『奥の細道』を通して何を学んでほしいのかしっかりと考えないまま授業に臨んだため、国語の授業というより、ただ調べたことを人前で発表するだけの「総合」のような授業になってしまった

 今回は、私の教材研究が甘く、『奥の細道』を通して生徒に何を考えさせたいのか、どのような力を身につけてほしいのか深く考えることのないまま、「Google Earth を使いたい」という思いがどうしても先行してしまいました。

 ICTの利用はあくまで手段であって、目的ではありません。

 手段と目的のねじれは非常に危険だということを痛感しました

 今回は管理職にも授業を見にきてもらったのですが、「国語の授業には見えない」とか、「教材研究が甘い」とか、お叱りの言葉をたくさんいただいてしまいました😢笑

 ただ、スライドやEarthの利用は効果的に使えば間違いなく生徒の学びを促進できると思いますし、情報機器やツールの活用という視点で見れば、今回の授業は生徒にとってはプラスになるのではないかと思います。

 今後は、深い教材研究のもと、目標を明確にし、その目標を達成するための効果的なICTの利用方法について研究していきたいと思います!

【おわりに】
 今回は、GoogleスライドとGoogle Earthを使った『奥の細道』の授業実践について書きました🙂

 ICTの普及が急激に進んだことで、(プロジェクターもついておらずiPadが一台もない本校でも)手軽に様々なツールを使って授業ができるようになりました。

 Earthは視覚的に場所を表示できるので、教育現場において様々な活用の仕方ができると思います。

 ただし、あくまでICTは手段であって目的ではないということを念頭に置いて使っていかなければなりません。

 今後も様々な授業を実践して、効果的な授業方法を模索していきたいです🙂

 ここまで読んでくださったみなさま、ありがとうございました🙂。もしよろしければ次回の記事もお読みください。

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