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小説

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他のnoterさんに触発されて書いてしまいました。40歳にして処女作です(笑)良かったら読んでください!
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短編小説 飲むpay

短編小説 飲むpay

彼女はボアの付いたオシャレな雪靴にタイツ、黒のコートにマフラーを巻いてやってきた。小さな顔が更に小さく見えた。下は細い脚がコートから出ているだけで何を履いているかわからないが、何だか寒そうだ。

今日はこれらを全て剥ぎ取りたい…

「寒いね〜ポケット貸して」

そう言って彼女は僕のコートのポケットに手を入れてきた。
僕は黙ったままポケットに手を突っ込み、彼女と左手を繋いだ。彼女の体温が伝わってきた

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非嫡出子救済法(ハーレム法)あとがき

非嫡出子救済法(ハーレム法)あとがき

この物語は、「日本が一夫多妻制になったらどうなるかな」という私の思いつきから始まりました。それと同時に、

浮気した事ないのに法律という正論を振りかざし、浮気したやつを叩いているそこのあなた、もしその法律が変わったらあなたはどうしますか?というメッセージを込めました。また、あなたの周りにヒカルのような友達が現れたらどうしますか?友達でいられますか?というメッセージも込められています。

今の日本の

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非嫡出子救済法(ハーレム法)エピローグ

非嫡出子救済法(ハーレム法)エピローグ

男の子が泣いていた。放課後、誰もいない教室に入ろうとすると、隣の教室からすすり泣く声が聞こえた。

隣の教室を覗くと、一人の男の子と目が合った。私のクラスの生徒ではない。しかし私はこの子の事をよく知っている。

「咲也君、どうした?」

「……」

よく見るとTシャツの襟元がビローンと伸びている。

「…ケンカしたな?」

「……」

「何か言われたのか?」

「タツキ君たちが……お前の父ちゃんは

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非嫡出子救済法(ハーレム法)4

非嫡出子救済法(ハーレム法)4

「あっ!もしかして、耕平君⁈」

その顔を見て俺はウギョっとした。…見覚えがある…

「…櫻子さん……?」

「来てくれたんだ、ありがとうね」

朝方まで起きていた俺はその後眠ってしまい、起きた頃には荷物の積み込みが終わっていた。
まあ一人分の引っ越しだ、大した荷物はないのだろう。
ヒカルに連絡して、引っ越し先で合流する事になった。

…にしても何で櫻子さんが⁈場所合ってるよな…⁇

「あーーー来

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非嫡出子救済法(ハーレム法)3

非嫡出子救済法(ハーレム法)3

非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とは、法律上で婚姻関係を結んでいない男女の間に生まれた子供のことで、一方婚姻関係を結んでいる夫婦の間に生まれた子供を嫡出子(ちゃくしゅつし)と言う。
非嫡出子救済法は認知を拒む父親との間に生まれた子供を救済する法律で、裁判所の許可と、第一夫人の了承が得られればその女性を第二夫人として婚姻関係を結ぶことが可能である。
第二夫人は第一夫人と同等の権利が与えられ、またその間に

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非嫡出子救済法(ハーレム法)2

非嫡出子救済法(ハーレム法)2

「俺、結婚しようと思って」

「………は⁈」

「相手は同じ会社の娘なんだけどさぁ」
「いや待て待て待て待て!何言ってんだお前⁈」

この声の主はヒカルと俺だ。俺はヒカルに呼び出された。SNSでやり取りはしていたものの直接会うのはあの結婚式以来だ。あれから3年の時が流れ、俺たちはアラサーとアラフォーの境目ぐらいになっていた。

仕事がお互い忙しいが奥さんとは仲良くやっている。子供はまだらしい。俺は

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非嫡出子救済法(ハーレム法)1

非嫡出子救済法(ハーレム法)1


俺は自分のモノから勢いよく先程飲んだばかりの水分を垂れ流していた。酒はどうしてもトイレが近くなる、そんな事を考えていると、不意に背中をドンっと叩かれた。男の聖なる儀式の最中に背中を叩くとは何事だ!中途半端に止まってしまったではないか!

顔を上げると上下白のタキシードを着た男がニヤニヤした顔でこちらを見つめていた。

「これはこれは、本日の主役様ではありませんか」
「変わってねーなぁお前」

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