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サブカルこけしの日常

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30歳を過ぎてから男性→女性に性転換した人の徒然なる文章たちです。誰の役にも立ちません。
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#トランスジェンダー

あぁ。

人の物が欲しい訳じゃない。人の物だったってだけ。

私に悪気なんてありゃしない。

繋いだ手を振り解こうなんて思えない。

美化なんてしようと思わない。

この気持ちに慣れてしまうのかなぁ?

それはそれで私の生き方にはお似合いな気もするよ。

なんで?どうして?なんて考えても無駄だから。

灰を被って、ガラスのヒールがへし折れても。血まみれになった裸足のままで、終わりの景色がやってくるまで私はこ

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クリスマス。

サンタクロースに来て欲しかったけれど、ずーっとサンタクロースはわたしには微笑んでくれなかった。

いつしか、わたしより素直にサンタクロースを待ってる子のために、わたしは心の中で泣きながらサンタクロースになっていたよ。

だからクリスマスって嫌いだった。ずっと泣いていた。

父も幼少期にクリスマスに期待し、裏切られる事に疲れた人間だった。

わたしの代でそれを変えたくて、しばらくクリスマスプレゼント

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全身装備200万のおかま

本日のコーディネート締めて200万円程也。

ルブタン履いて、クロムハーツじゃらじゃら着けて、インポートのシルクワンピ着て、高級腕時計しても満たされない。

愛が有っても満たされない。友達100人居ても満たされない。

整形しても満たされない。

人に求められる程度の仕事はしている。

満ち足りるとはなんぞや。

幸せとはなんだ?

なんでこんなに虚しいのだろう。

乙女のたしなみ

世の女子達よ。

高級ブランドバッグにペペローションとイチジク浣腸を忍ばせてデートに赴くこのやるせない気持ちが解るか?

解るまい。

君たちにはそれくらいのアドバンテージがあるんだ。

未来は明るい。

頑張れ。

女の願望が具現化したようなオカマでありたい

クリスチャンルブタンの10cmヒールをカツカツいわせながら姿勢良く歩く。

後ろから見た時にしか解らないレッドソール。

耳から垂れ下がるクロムハーツのピアスが揺れる。

EMILIO PUCCIの派手なシルクワンピースにゴージャスなファーのついたコートを着て、腕にはバーキンを引っかける。

ルブタン込みで身長180cm。

腕を組み、横を歩くメンズはそんな私よりも背が高くハンサムで身なりも整って

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冒頭

「ここが世界の果てだよ。」

あなたは約束を果たしてくれた。自分でも忘れていたような戯言を覚えていてくれた。

それだけで充分。本当はこれが最後の旅になるって、飛行機のチケットを受け取った時から気がついていたの。

この空気の匂いも肌を刺す風も、流れる雲も、何一つ味わう余裕なんて無かった。私は只々、最後の瞬間まで貴方の顔を脳に焼き付けるように見つめていた。

記憶とは脳に蓄積されるものではなく、脳

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ツンデレラ。

心と頭をフル回転。そうやって人生をサバイブしてきたの。

だから頭だって悪くないし、神経は常に鋭敏。大きく間違った選択なんてしないわ。

人の恋愛相談だってたくさん受けてきた。

「恋とか愛なんて普遍的なものよ。自然体でいればいいの。心の赴くままに、素直な心を見せてあげて。」

いつも自分のペースを乱さずに。ホット&クレバーが信条。

でもそんなの一瞬で崩壊。

好き好き大好き。

すきすきだいし

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恋のはなし。

普通の恋を諦めていた。

恋は出来ると思っていたけれど。結末を期待しないものでよかった。

自分を愛する事で精一杯でよかった。

わたしの心と頭の中だけで育めばよかったの。

わたしを必要とする人が現れたって、きっとその人が望むものを与えることは出来ないんだから。

期待しないから。期待させないで。

でも、どうしても心がざわつく。そんな時ってある。

あぁ…どうして深入りしてしまったのだろう。責

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自分では決められない。そう思ってるよ。

お医者さんは言った。

性同一性障害と自称した患者で、今まで美しい女性だと認識した人は二人いる。その一人はあなただ。

それ以外の性同一性障害と自称した男性の多さ。察するに余りある。

お医者さんは言った。

美輪明宏は君にとってどう見えている?私には男性にしか見えない。

そう。それなの先生。

わたしは自分で自分の性別が決められない。どうありたいかは決められるけれど。

わたしの性別は…人がど

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