「普通」について。 #かくつなぐめぐる
「そっち、食べる部分じゃないよ!」
焼魚に添えられた“はじかみ生姜”をかじる私に、彼女は宇宙人でも見るような視線を注いだ。
就職してちょうど3年が過ぎた春。突然仕事を辞めた友人の四国旅行に合流するため、私は高知へと向かった。ビジネスホテルやユースホステルを転々としていた彼女は、その夜、私と泊まるために旅館を予約してくれた。そこは渓谷を流れる川沿いにあり、夜は露天風呂からライトアップされた川を見下ろせる、少し値の張る宿だった。風呂上がり、浴衣に着替えた私たちは1階の宴会