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老人を出せ! (2つの意味で)

「ウクライナ戦争」が浮き彫りにしたのは、老人政治家や老人評論家、老人ジャーナリストや老人学者のダメさ加減と、若い専門家や若いSNS発信者たちの優秀さ、たくましさ、ではなかろうか。

前にも書いたとおり、50代以上は「平和ボケ」で、軍事や国際政治のことを勉強していない。それは、左だけではなく、右もそうだ。いまだにイデオロギーや、嫌韓、嫌中だけで論評している。

「丸の内OL」などの若い学者や評論家は、そんなのより、断然優れている。

1つには、これまでの評論家たちは、左の「朝日・毎日・岩波」か、右の「読売・産経・ネトウヨ出版社」のどちらかに依拠しないと、世の中に出られなかった。

学者も、有名になりたければ、そのどちらかに媚びるしかない。そうすると、同じ「派閥」の悪口が言えないなど、言論のタブーが多すぎて、型通りのつまらないことしか言えない。

ウクライナ戦争で出てきている専門家は、左右どちらのメディアにも依拠せず、マイナーな領域で研究してきた人たちだ。それが、今回の件で急に押し出された形で表に登場した。

だから、左右のイデオロギーやポジションにはまらず、新鮮だ。そして、政治性なしに勉強してきたから優れている。護憲だ改憲だ、とか、戦後精神がどうこうとかが、全部ばかばかしく見える。すべて過去の遺物に思える。

この1カ月で、文化状況が劇的に変わったと思う。不幸中の幸いで、世代交代のよい機会になった。

参院選で、また辻元清美の顔とか見たら、どんだけ場違いだ、どんだけアナクロだ、とみんな思うに違いない。(でも、老人は、お懐かしや、とホッとするかもしれない)

前にも書いたとおり、少なくとも国防や国際政治に関しては、50代以上は役に立たないし、むしろ将来に禍根を残す気配がありありだ。有害だから、メディアや政治の舞台から退場させるべきなのだ。

そういう意味での「老人を(追い)出せ」、が言いたいことの1つ目。

しかし、老人だって、生きていきたい。

しかも、長い余命が待っている。

これからの50代以上は、これまでの老人のイメージと違う。パソコンやインターネットが使える。

1日中地上波テレビを見て、あとは町内の寄り合いでゲートボール、という生活をずっと送れるとは思えない。

私も、そういう老人だ。ネットでYouTubeを見て、Netflixを見る。

そうすると、不満は、そこでのコンテンツに、老人が出てこないことなのだ。

これは老人にならないと、わからないかもしれない。

まず、映画やドラマは、自分と同一視できる登場人物がいないと、楽しめない。

それに、老人は、若い奴が生き生きと活躍している姿など見たくない。

これからの老人は、若い奴にバカにされ、使えない、日本の衰退はお前らのせいだと責められ、早期退職とかに追い込まれた奴が多いのだから、なおさらだ。

老人は、老人が見たい。老人の考えが受け入れられる世界に浸りたい。

「イカゲーム」がよかったのは、オ・ヨンス演じる老人が、結構いい役柄で出てきていたところだ。それがヒットの秘密である。これは、世界中で、まだ誰も指摘していないだろうが、私にはわかる。

私も「イカゲーム」は大好きだったが、「今私たちの学校は」は見たいと思わない。若い奴ばかりが出るドラマなど、つまらないからである。

「今私たちの学校は」が「イカゲーム」ほどヒットしないのは、重要な役に老人が出てこないから、というのは韓国エンタメ界ですら理解していないが、私にはわかる。

いま私は、Netflixで見るものがなくなり、アンソニー・ホプキンスが痴呆老人(死語・禁句)を演じる「ファーザー」ばかりを何度も見ている。

老人が出る映画やドラマを、もっと作ってほしいのである。

その意味での「老人を出せ(出演させろ)」が、私が2つ目に言いたいことだ。

「ポリコレ」的に、映画やドラマには必ず1人老人を出す、という縛りをつくってほしい。(世界中で公開されるハリウッド映画なら、すべての人種の老人を男女オカマそれぞれ1人ずつ出さないと政治的に正しくない、とすべきだ)

そして、できれば、老人の世界観が認められる映画ドラマにしてほしい。

セクハラ・パワハラやり放題で、でも部下から告発とかされず、「さすがだ」「年の功にはかなわない」と、若い奴から尊敬されるだけのオフィスものとか。

広島の平和の像を背景に、反戦平和をしみじみと語る老人の話を、若者たちが素直に聞いているだけの戦争ものとか。最後に憲法9条が全員で読み上げられる。

安保反対、東大闘争で、俺たちはこんなにワルで、反体制で、左翼で、カッコよかった、という自慢話を、若者が感動の表情で聞き、一緒に渋谷のデモに繰り出す政治もの、とか。なぜかデモの時には必ずいる朝日新聞・毎日新聞の写真部のフラッシュを浴び、夕刊の一面に顔が載るのがクライマックスだ。

バブル期の華やかな(でもバカみたいな)ダンスミュージックだけを流しまくる音楽番組とか。

スターウォーズのヨーダみたいな老人キャラばかりが出てくるスーパーヒーローものとか。ヨーダ、パット・モリタ、ガンダルフ・・・みたいなのばかり出てくる。

そういうコンテンツを作ってほしいのだ。

そうすると、老人はそれらのファンタジー世界に釘付けになり、もう若者たちの現実世界に干渉しなくなって、お互いハッピーだと思うのだ。


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