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倒産したダイヤモンド・ビッグ社の思い出

ダイヤモンド・ビッグが倒産したと聞いて驚いた。(マキノ出版破産に続き・・)


倒産を報じる記事は、どれも「地球の歩き方」を出版する会社、という紹介をしていて、それにも違和感があった。

「地球の歩き方」事業は、2020年設立の学研傘下の会社「地球の歩き方」に引き継がれ、出版され続けるのはよかったが。


ダイヤモンド・ビッグ社がダイヤモンド社の子会社として発足したのは1969年だ。

もともとは就職情報事業の会社であり、「就職ガイド」を出すための会社だった。

その経緯は以下の記事に詳しい。


リクルートやマイナビと同じような会社だ。

内定した学生への海外旅行を提案したところから「地球の歩き方」が生まれ、1979年から市販するようになる。


私が就職時期を迎えた1980年代前半でも、ダイヤモンド・ビッグ社は「リクルートのような会社」という認識だった。

ネットのない時代。そのころの学生は、ダイヤモンド・ビッグから山のような紙の就職資料を受け取っていたはずである。私もそうだった。

「地球の歩き方」が有名になったのは、そのあと、1980年代後半からの円高時代を通じてだろう。


マスコミ業界で働くうちに、ダイヤモンド・ビッグの人とも接触したが、私の中では、ダイヤモンド・ビッグと「地球の歩き方」はストレートに結びついていなかった。

ダイヤモンド・ビッグも、少なくとも2000年ごろまで就職事業をやっていて、「会社の歩き方」といったサイトを運営していた。だが、そのサイトの名前からして、事業内容が逆転したのを感じた。

上記の記事で、社長が言っている。


本業であった「就職ガイド」はバブル崩壊とともに陰りをみせ、
インターネットの登場により完全に衰退してしまったのです。
そのため、「就職ガイド」事業を分離して別会社を設立。
ダイヤモンド・ビッグ社の事業は、
本業でも、本業の副業であった「学生旅行」でもなく、
副業の副業であった「地球の歩き方」を中核として活動するようになります。


就職事業は、1997年発足の「ダイヤモンド・ヒューマンリソース」社に受け継がれたようだ。


ダイヤモンド・ビッグは、もともと「(出版事業もやる)就職情報会社」だったのが、出版会社、しかもほぼ「地球の歩き方」1本の出版会社となったわけだ。

似たような会社に、毎日新聞から派生した「毎日コミュニケーションズ」がある。

こちらも「(出版事業もやる)就職情報会社」で、一時期はコンピュータ関係の出版事業で目立っていたが、ダイヤモンド・ビッグとは逆に、出版事業はたたんでほぼ就職事業オンリーとなり、名前も「マイナビ」になった。


いずれにせよ、「ダイヤモンド・ビッグ」という名は、「地球の歩き方」以上に、我々の世代には「ビッグネーム」だった。

私が就職するころ、ダイヤモンド・ビッグ社自体が確か初任給が高く、魅力的な就職先に映っていた。リクルートはじめ就職情報産業は伸び盛りで儲かっているように見えた。受験しなかったが、受験して合格していたらお喜びで入社していただろう。

入社していたら、たぶん変化の多いサラリーマン人生になった。

付き合いのあった人たちがどうなったかも心配だ。

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