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泉健太氏は国葬に賛成すれば「政治家」になれたのに

泉氏はもともと安倍氏の国葬に賛成(容認)だった。野党第一党の党首として当然の態度である。

しかし、辻元清美氏などの左派から突き上げられて、1日で態度を変えた。(その経緯は以下のブログに書いた)


「国葬反対」に回ったことで、何を失ったのか。泉氏は気づいているのだろうか。

泉氏は、政治家としての将来のほとんどを失ったのだ。


泉氏は、むしろ以下のように言って、国葬に賛成すべきだった。

「安倍氏の政治がすべて正しかったとは思わない。統一教会問題を含めて今後も厳しく追及する。国葬でも弔意の強制には反対する」

「しかし、国葬そのものは粛々と行われるよう協力する。私も国葬に陪席し、選挙演説中に斃れた議会政治の先達に、最大限の敬意と弔意を表したい。そして、テロを許さず、民主主義を守り抜く決意を新たにしたい」

そう言って国葬に参加し、世界からの弔問客と堂々と交流すれば、泉氏も立憲も見直されただろう。

それで泉氏は党内で負けてもいいのである。泉氏はまだ若い(48歳)。党内不和が表面化し、マスコミから批判されたとしても、国民は若さゆえの血気をまだ肯定的に評価する。

うまく運べば、泉氏は、この機会に、党の劣勢と、参院選の敗北を一気に挽回できた。政権交代の可能性が高まった。賭けに出るべきタイミングだった。

党首としてもそうだし、政治家個人としてもそうだった。40代で党首になった泉氏は、党を超えた「その先」を見通せなければならない。

仮にそれで役職を降ろされ、立憲が分裂したとしても、それだけの見識と行動力を示せれば、10年後に野党のリーダーとして担ぎ出されるのを期待できる。そして政権を狙える。あと15年たっても、今の岸田首相(65歳)より若いのだ。(年齢が若いほど国葬に賛成している。つまり将来は、現在の国葬支持派が主な選挙民となる)

「立憲民主党をぶっ壊す」の乾坤一擲の気合が欲しかった。「自民党をぶっ壊す」と言って世論を一気に味方につけた小泉純一郎は、やっぱり天才だったな、と思う。泉氏は天才ではなく、若さも生かせなかった。


泉氏は、党内左派に忖度して国葬反対に回ることで、「何でも反対」の悪い党のイメージを上塗りし、同時に、自ら国際政治の晴れ舞台にデビューするまたとない好機を棒に振った。

それ以上に、政局に右往左往する「政治屋 politician」ではなく、信念を持って国のために尽くす「政治家 statesman」だと、国民に証明する機会を失った。

国民は、泉氏が党内左派に譲歩し、自らの考えを曲げ、役職にしがみついたのを見た。それによって、立憲のダメさ加減と共に、泉氏の政治的・人間的資質のなさを、ダメ押し的に国民に確認させることになった。

参院選敗北の責任は、それでなんとか逃れたのかもしれないが、今度は幹事長を人気のないロートル(岡田克也氏)に交代させるという。唯一の売り物であった執行部の「若さ」も失った。


立憲がさらに衰えていくのを、党内左派は計算済みだ。

辻元氏のような人は、泉氏より経験も悪知恵もある。それに、もはや立憲以外に行くところがない。年齢的にも、野党党首以上の出世はもう望めない。泉氏がボロボロになって権力を投げ出し、自然にポストが降りてくるのを待っている。左派マスコミもその方向に動いている。泉氏はハメられた。

泉氏には、辻元氏より政治家として上に行ける可能性があった。だが、今回の譲歩で、その可能性が消えた。


元首相が暗殺されるようなことは、政治的天変地異だ。

政治家としての泉氏に、こうした「チャンス」はもう来ない。

泉氏は悪い人ではないと思う。

50代になると転職も厳しい。40代の今のうちに政治家以外への転身を勧めたい。

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