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【追悼】「今くるよ」さんの名文

今くるよさんが亡くなっちゃったねえ。

今いくよ・くるよは、まさに1980年代のスター、わたしの世代の漫才師でした。

あの見栄と虚飾のバブル時代に、それを破壊するような突き抜けた笑いを届けてくれた。

心よりご冥福をお祈りします。


わたしが真っ先に思い出したのは、9年前、相方のいくよさんが亡くなったとき、くるよさんが「文藝春秋」に寄せた追悼文でした。


いくよちゃんは首スジで「ありがとう」と言った(今くるよ 文藝春秋2015年9月号)


ちょうど又吉直樹の芥川賞受賞作「火花」が載った号でした。芥川賞目的で買った人が多かったのではないか。

わたしも同じ。

ついでに、今くるよさんの「いくよちゃんは首スジで「ありがとう」と言った」を読んだ。

偶然、「火花」と同じ、漫才コンビの話だけど。

正直、「芥川賞」より、くるよさんの手記のほうが心に残ったね。


もちろん、聞き書きで、くるよさんの話を文春の記者がまとめたものだろうけど。

でも、これが名文で。

「いくよちゃんは、美人で、モテたのに、結婚しないで・・」

というーー。

同性の相方をずっと見続けて、ずっと心に秘めていた思いを吐き出したような文章でした。

相方への感謝と、「でも、あなたは本当に幸福だったのか」という問いかけと、複雑な心情が、「声涙ともに下る」という感じで語られていた。

高校時代からの親友で、仲がいいことで有名なコンビだったけど、ただの友情よりもっと深い、魂の結びつきを感じさせて、感動したんですね。


あれをもう一度読みたいと思ったけど、ネットでは見つからなかったな。

くるよさんが亡くなっても、いくよさんはもう追悼文を書くことができない。

いくよさんの、

「くるよちゃんはドヤサで「ありがとう」と言った」

を読みたかったね。



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