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レジリエンスとは何か②~人と地球環境で今求められていること〜


レジリエンスとは?

「外的圧力を撥ね返す復活力」
「逆境や困難に対して流されず外的環境に順応していく適応力」

困難な場面に遭遇した場合、人により反応が違うのは、このレジリエンスがあるかどうか、と言われている。

しかし、それは事勿れ主義でも周囲に合わせてしまうなど主体性のないもの、でもない。

生態系などの分野でよく取り上げられるのは
「多様性」「モジュール性」「密接なフィードバック」であると言われているそうだ。

「多様性」とは、例えば、
1人の男性が、「〇〇会社の部長」というものだけを自分の肩書としていたとしたら。
そんな時に不意にもし病気で入院して働けない状況になったとすればその男性のアイデンティティは、もしかして崩れてしまうかもしれない。

私は「〇〇会社の部長」であるが、「〇〇君のお父さん」でもあり、私は「野球チームのコーチ」でもあると、自分を多角的にとらえていれば、どれか一つ自分のアイデンティティが崩れたとしたとしても心は柔軟に対応ができるだろう。

全体のうち、一部だけに焦点をあてるのではなく、全体の中の「多様性」に焦点をあてればレジリエンスが発揮しやすく、大難を小難に変えることができる。

「モジュール性」は、普段は全体と繋がっているが、有事の際に、切り離して自立して存在できるかどうか、

「密接なフィールド」は、そのように他で起き始めている変化を感じ取り、その変化に対応できるよう早めに対応できる準備を予めしておくこと、

これらが「レジリエンス」を発揮できるケースになる。

大自然はこれらの「レジリエンス」を自然に発動できる仕組みになっている。

一時的に循環が止まったとしても、それらの自然治癒力、自然浄化作用(レジリエンス)により、元の循環へ戻っていく。

チュクチ海に浮かぶコリュチン島に打ち捨てられた気象観測ステーションが、好奇心旺盛なホッキョクグマの住処と遊び場になったように。

しかしこの大自然における「レジリエンス」が発揮できない状況がなぜか起きている。つまりそれらが「地球環境問題」となっている。

なぜ自然界において本来備わった力、「レジリエンス」が発動できないのか?

本来であれば、生物や植物など個体数の変化、環境が多少変化したとしてもその中でうまく循環をしてきた。

生態系で行われている活動、水の浄化や栄養サイクルなど生態系から得ているものは全て無料である。
しかし、水不足や今原油が高騰しているように、不足、失われたりとレア度が高くなると、初めて評価されるが、普通に周りにある事が当たり前になると、いつでも享受できるものだと人間は考えてしまう。 

人々は経済発展のために、より利便性を求めるために、固有の品種を求め、植物や動物の数を制御したり、ダムや堤防で洪水の水位を調整しようとしたりと、大自然の循環をコントロール、自然の仕組みを制御しようと介入してきた。

また、市場経済ではそのような生態系の循環は生産の過程では「非効率」であるといわれていた。
早く植物が育つために、すぐに資源を求めるために、自然の循環を待たずに生産を繰り返してきたのは言うまでもないだろう。

けれどもこの大自然の、元に戻ろうとする「レジリエンス」も万能ではない。破壊がある一定の基準を過ぎると「レジームシフト」が起きる。

「レジームシフト」が起きれば、自然が破壊された状態をさらに加速させてしまう。

まるで温厚な人が毎日の我慢を重ねていたものが、一気に噴き出してキレてしまうように。

小麦や牛肉など生産の過程で、個体の調整を人間がしてきたことは、自然のレジリエンスを弱くし、自然が破壊される「レジームシフト」のきっかけを作っている。

人間は自然の「多様性」を認めず、「同質化」し、どうにか思い通りにコントロールするために自然の「本質」を見ずに効率だけを求めてきた。

「地球環境問題」「異常気象」、「コロナ」など一見あまり人々に喜ばしくない事象はそれら人間の本来の生き方を考えさせるきっかけになっている。

持続可能な未来、サスティナブルな未来へ、と言うならば、これらがなぜ起きているのか理解していかなければならないとも思う。

人間は地球の王様ではない。
他の動植物と地球を共有している存在で、人間だけに頭脳と知恵がある、というならば、地球のリーダーとしてどうするべきかを考えていく必要がある。

お金や物を優先する時代はもう終わり、私達は美しい地球を護る存在であると認識していく。

それらの意識を変えることでさらに人間は進化していくことができるのではないだろうか。

「レジームシフト」は(つまり異常気象などや災害は)人間にとって不都合なだけであって、実は地球の「レジリエンス」が発揮している状態でもある。
循環が阻害された状態を一度全て破壊し、再生に繋げていく過程であり、今起きている事には無駄はない、という事だ。

「レジリエンス」とは、より良い環境へいざなう力であり、本来地球が、大自然が発揮してきた力であり、

そして「レジリエンス」を備えている地球に住む私達人間にも、本来備わっている、持っている力であると自負すること、気づいていくことも大切だろう。

つづく

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