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童心に帰ったサマーさんとドタバタ異文化交流の旅in京都

千葉在住でパレスチナに帰国直前のサマーさん(以前オンラインで取材した様子はこちら)が急遽京都にやってくるというので、千載一遇の機会を逃すまいと飛んで会いに行ってきました。以下、私とあと2人の日本人そして彼女の4人旅です。

サマーさんin嵐山

コロナで観光客が少ない嵐山は、渡月橋でゆっくり川の流れを眺められるほど歩きやすく、澄んだ心地いい風が山の匂いを運んできます。「こんなに美しい景色を見られるんだったら京都に住みたかった~大学が京都にあればよかったのに~」とサマーさん。
夕暮れ時、天龍寺では庭園こそ見られなかったものの辺りには金木犀の香りが立ち込め、種を持って帰りたいサマーさんでしたが…金木犀の種って売ってるんでしょうか。見たことないなぁ。境内にはちょこんと飛雲観音さまがいて、よく見ると航空安全の神と書いてある!すかさず皆で彼女の旅の無事をお祈りして手を合わせます。

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”着物の森”で一枚。様々な紋様の筒が樹々のように連なっていて、着物好きな彼女にぴったりのロケーションです。

しかし嵐山観光は彼女が京都へ来た目的ではないのです。真の目的は亀岡にありました(関西じゃない方へ:亀岡は京都府の市です)。

ヒッポ!

10月3日午後7時。私たちは亀岡の道の駅「ガレリア」にいました。
サマーさんはどうやらここでプレゼンをするようなのです。

嵐山から私たちを一緒に連れてきてくれたのは、このグループのメンバーの方。ヒッポファミリークラブというその団体は、ガレリアに集まって多言語な活動をしているといいます。ここまで、全然ピンと来ていません。

さぁ、人が集まってきました。なにか始まるようです。

「最初のゲームはアーシファ・アーシファ・カビーラです!」

???

ルールを聞く感じ大嵐。サマーさん以外は日本人ですが、彼女がいることで今日はアラビア語多めの内容になるようです。我々、走ります。

その後も色当てゲームやジェスチャーゲームが続きますが、基本は英語で、アラビア語混じりで話が進みます。BGMは多国籍です。私たちなんて特に急遽やって来た初対面の人間なのに、知らない人たちと体を張って真剣勝負しています。サマーさん、英語の先生だっただけあって、ヒント出しも上手です。

ジェスチャーゲームお題:雪の結晶(snow flake)

回答「snow!」

サマーさん「Something you eat for breakfast! Corn...??」

スノーフレークか!もう忘れへんわ~!」

そしてスパルタ。誰かが出来ないと言っても、出来る出来ると激励する熱血先生です。

印象的だったのはハンカチ落としでした。真ん中にひとがいて鬼が次々変わっていく形式なのですが、ボールを投げながら「なんでもいいから外国語で何か言う」というルールなのです。なので、英語・アラビア語・ロシア語・韓国語・スペイン語などなどが音になって飛び交います。そのなかにいると、どの言語がどの言語かとかそんなことはどうでもよくて、ただフラットに多言語な空間。不思議な感覚です。

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そしてサマーさんのプレゼンの時間。

パレスチナの観光地や食べ物、刺繍の話に、イメージが湧かなかったメンバーの皆さんも興味津々で、「サマーさんを訪ねに行ってみたいねぇ~」という雰囲気になっていました。

この異文化や異言語への敷居の低さはどこから来るのかと帰り道しばらく考えていました。浮かんだのは、

越境

という言葉。境界線を無くそうと私たちは努力するわけですが、なにかの活動や運動をして価値観を生み出した途端に、また新しい境界線を作って、共鳴しない人との間に線引きをしてしまいます。「ああ~~私もついやっちまってるな~~」と道々思いながら、改めてこの「越境」する空間を持つ人たちはすごいなぁと。

千葉のヒッポファミリークラブでもサマーさんは自文化を広める活動をしていました。彼女の最近のFacebookには日々の刺繍教室や料理会の様子が載せられています。

「日本へ来てたくさん自文化を発信することが出来た。それが本当に良かった。もう、パレスチナ出身だと言って、どこ?と返されることもない」

サマーという名前はアラビア語の動詞で、真夏の夜の話とか、砂漠の会話とか、月夜の会話という意味なんだそう。日本語には訳しにくいアラブ圏ならではの感覚です。そして彼女のヒッポネームは太陽から取った「ひなた」。

太陽そのもののような彼女は、日本を去っても、世界のどこにいても、自文化の発信と異文化交流に邁進するのでしょうね。

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最後にヒッポファミリークラブのメンバーと。


架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。