見解3『おもひでぽろぽろ 』思い出のスイッチを探せ!
前回は
全9話の今回第3話は、思い出の秘密に迫ります。
タエ子が昔を思い出す時、必ず何かを見てまたは感じて昔を思い出します。いくつかのエピソードの何がスイッチになっていたか見ていきましょう!
①夏休みの田舎のあこがれエピソードは、休暇届けを見て思い出しています。
絵コンテ集では☆印で「休暇届である事がわかればよい」と書かれています。
②パイナップルのエピソードは駅に向かう途中の果物屋のパイナップルとバナナを見てスタートします。
実際にいったんパイナップルに目がいくところがしっかりと描かれています。
③好き嫌いの克服エピソードは小学5年生くらいの荷物番をさせられている、退屈そうな女の子を見て始まります。
④初恋のエピソードはタエ子があけぼの号に乗車し自分のベットに座り窓を見ます。
夜間、電車に乗ると窓から近いと外は見えやすいのですが、通路挟んでの距離だと内側の光がガラスに映ってよく見えません。
つまりここでのスイッチはガラス越しに映る、麦わら帽子にボーダーのロンTをインしてワイドめのパンツにサマーセーター、いかにもananから飛び出した自分の完璧な姿を見て、初恋のエピソードが始まります。
座る前に上の写真のようなヒントを高畑監督はくれます。
⑤生理のエピソードは車窓から一旦ベットに戻ります。
横になったタエ子はただひたすら寝台の天井を見ているだけ。
完全に視覚的な情報がなくなります。
では何がスイッチになったのでしょう?
つまり、タエ子は生理になったと思われます。
ベッドに戻る前に先頭車両が真っ赤な「あけぼの号」がダダダっと疾走するシーンがあります。
先頭車両以外はブルーなのですが赤いライトに照らされて他の車両も赤くも見えます。
また、記憶が溢れた子供達が通路を走りますが同様に
子供達の先頭に合わせ特急の赤いヘッドライトが車内を走ります。
これらのように『先頭が赤いものがドドっと走る事』が生理が始まった合図を表現しています。
車内の赤いライトに関しては、あけぼの号をすごいスピードで追い抜かないとあの様には見えません。かなりレアなライトを高畑監督は描き足した事になります。
そして同様のエピソードが始まります。
ちなみにこの先頭が赤いものルールは他にもあります。
先頭だけ赤いのがまたどどっと走ってます。
この階段のシーンを含めあと2ヶ所もあるのです。
これらの説明は別の回で!
お楽しみに!
⑥わがまま克服エピソードはナオコとキヨ子のプーマのやりとりを見て始まります。
⑦分数の話のエピソードは蔵王で2人一緒にトンビを見ています。
トンビは他のタカ類に比べ残骸や死骸をあさる事から、
タカ類の中では一段低い印象がある為このようなことわざが多いのです。
「鳶(トビ)の子は鷹(タカ)にあらず」
「鳶も居ずまいから鷹に見える」
「鳶が鷹を生む」など。
つまりタカとトンビは格差の象徴なのです。
27歳でなぜ結婚しないのかという問いを跳ね除け分数の話を始めます。
ここでは、分数をすんなり理解したリエちゃんをタカ、出来ない自分をトンビとしたのでしょう。
実際、絵コンテ集でも、高畑監督は「タカかトンビが鳴く!」と書いています。
この格差が表現出来ればどちらでも良かったのでしょう。
⑧カラスの内容が含まれる学芸会のエピソードは夕日のカラスを見て始まります。
ちなみにこのエピソードの中でひょっこりひょうたん島の曲が流れるところでも「理容ハルタン」という虹のような理髪店の看板(サインポール)のそばを通って歌が始まります。
当時のひょっこりひょうたん島でもやはり虹が出てきます。
この頃から何かを見て何かを思い出したり連想する風潮があったという事を意味します。
雀百まで踊り忘れず。子供の頃の癖は大人になっても変わらないというメッセージが入ってます。
この『雀百まで踊り忘れず』という言葉はこれから沢山登場するので覚えておいてください。
余談ですがこの理髪店は吉祥寺の中通り商店街に同名の外見もかなり似た理髪店があります。
⑨最後はアベ君のエピソード。これはトシオや田舎の農業を軽い気持ちで見ていた事、また、外面を気にして良い子ぶっていた事がスイッチになっています。
もはやここまでくるとタエ子は思い出依存症と言ってもいいくらい、何かを見たり感じて何度も過去を思い出しています。時には振り返ったり、アベ君が橋のところで出てきたり。ちょっと心配ですね(笑)
次回は
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