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国税審判官になろう! 弁護士・公認会計士・税理士向け ~書類選考対策・面接対策~

筆者は、公募されている任期付の国税審判官の採用内定をいただいたことがあります。結局、内定は辞退しましたが、今でもやってみたかったなと思います。

そこで、国税審判官の仕事内容、処遇(年収)、採用されるには?といった点を記事にまとめました。書類選考対策(有料)・面接対策(無料)にもなり、また、どの程度の職務経歴なら合格できるのかというレベル感も分かる内容になっているかと思います。

国税審判官の年収(任期付の場合)

皆さんが一番興味があると思うのは年収だと思うので、まずここから。

国税審判官は、全国で採用しており、地域手当の高い都市部の方が年収が高くなります。最も高い東京国税不服審判所で年収は1000万円を超えます。

詳しくは公式HPをご参照ください。

各地方の審判所の希望を出すことはできますが、東京が一番人気と思われるため、東京のみ希望だと内定がもらえない可能性が高くなるので要注意です。

また、任期は原則3年です。

国税審判官の職位(ポジション)

説明会では、税務署長と同格と案内しています。霞ヶ関の本省では総括課長補佐クラスです。ノンキャリアの税務職員では定年までに辿り着くことができない人の方が圧倒的に多いですね。

任期付なら、早ければ30代半ばでこのポジションに就けます。税務署の統括官(課長)や上席調査官(係長)が副審判官として部下になりますが、年上部下の可能性もあります。

筆者が採用されていれば、そうなっていた可能性が高かったでしょう。筆者は、社会人の初めに税務署に4年弱勤めていたので、面接のときに、「かつての先輩が部下になるが大丈夫か?」という質問を受けました(笑)

応募資格・倍率

税理士、弁護士、公認会計士、大学の教授又は准教授の職にあった者となっています。筆者は公認会計士の経験(約10年)で合格しました。

また、要件ではありませんが、採用されるには、10年程度の職務経験が必要という案内があります。実際、筆者は4年程度の経験で応募したときは書類選考で落ちました。

倍率は概ね6倍程度とかなり高いです。

https://www.kfs.go.jp/topics/r02/pdf/shinpan_saiyo.pdf

100名弱の応募に対して15名採用となっています。

仕事内容

 審判所は、国税に関する法律に基づく処分についての審査請求に対する裁決を行う機関です。
 審判所は、税務行政部内における公正な第三者的機関として、適正かつ迅速な事件処理を通じて、納税者の正当な権利利益の救済を図るとともに、税務行政の適正な運営の確保に資することを使命とし、税務署長等と審査請求人(納税者)との間に立つ公正な立場で審査請求事件を調査・審理して裁決を行っています。

以上は、公式HPからの引用ですが、もっと分かりやすく言うと、審判所は、税務調査の結果に納得行かない場合の救済機関となります。

そして、国税審判官は、裁判官が判決を言い渡すのと同様に、審査裁決を行います。

同じ国税組織なので、裁判所ほど中立的な立場ではありませんが、その代わり費用が掛からず、結果が出るのも速いという特徴があります。

ちなみに、訴訟を提起する前に審判所に審査請求をすることが必須となっています。なので、後に世間を賑わす大型訴訟の前裁きをするということも十分あり得ます。

面白そうですよね!

採用されるには

書類選考

応募書類の記載欄がかなり多いので、ここでしっかりアピールしましょう。公表されていませんが、書類の通過率は半分程度と思われます(面接人数からの推測)。

手書きも可能ですが、Excelできれいに印字するのがコツです。筆者の場合、余白が多くなる質問もあったので、文字サイズを大きして調整しました(笑)

国税に関する著書・論文はなくても構いません。筆者もあまりアピールするようなものはなかったのですが、中央経済社の旬刊『経理情報』という雑誌に連結納税の記事を書いたことがあったので、これを最大限にアピールしました(笑)

有料となりますが、筆者が作成して実際に合格した応募書類を本稿の末尾に掲載しましたので、真剣に応募を考えている方は是非参考にしてください。

書類選考に合格すると通知が届きます。

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書類選考合格者向けの説明会もやっているので、都合が合えば参加しましょう。疑問点に個別に答えてくれます。

面接

面接官10人vs受験者1人の個別面接です。面接室には、面接官のほかに記録係の方が3名くらいいます。こんなに大人数に審査される面接は後にも先にもこれだけですね…。

質問される方は、真ん中に座っている国税不服審判所(本部)の所長+各地方の審判所長2名と思われます(推測です)。税務署長クラスの幹部職員を採用する試験だけあって、かなり気合が入っています。

質問内容は、志望動機、仕事の理解を試すもの、適性を見るもの、国税に関する最近のトピック等となっています。具体的に聞かれたものを列挙します。

担当案件の裁決書に記載する分量は多いが、これまでにそういった報告書のようなものを書いたことがあるか?
裁決は3人の合議制だが、ほかの2人の審判官と意見が合わない場合どうするか?
BEPSについてどう思うか?
任期が終了したらどうするか?

これらについて、ある程度すらすら答えられると良いと思います。ただ、筆者の場合、BEPSでしどろもどろになってしまいました…コーポレートガバナンスについてどう思うかみたいに、ある意味カチッとした答えがない質問かなとも思います。

合格すると

まず内定の電話が掛かってきて、1週間以内に返事をする必要があります。補欠に連絡するから、辞退するなら早くしろということですね。ここで、内定を受諾すると…

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国税庁長官名の立派な採用内定通知書が届きます。

まとめ

士業としてやっていくに当たり、国税審判官の経験は大変有用かと思います。何より顧客に対する訴求力が違います。税法の解釈に詳しいと思ってもらえますからね。

資格をお持ちの方は、是非チャレンジしていただきたいと思います。

参考として、国税審判官経験者の方の情報にリンクを貼っておきます。

税理士→審判官

弁護士→審判官

公認会計士・税理士→審判官

書類選考対策

筆者が作成して実際に合格した応募書類を掲載しています。

個人情報部分はブランクにしていますが、選考に大いに影響する勤務地を限定するか否か、限定するとした場合の理由の書き方はそのままにしてあります。また、自己PRの書き方は、汎用性のあるフォーマットになっているので、どのような職務経歴でも使えるものになっています。

※有料部分の文字数は少ないですが、応募書類のPDFファイルをダウンロードする方式のためです。

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