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【公務員試験】国税専門官になろう! その2 〜仕事・事務系統〜

国税専門官を考えている方向けの記事です。前回は出世と年収について記事にしました。

今回は、仕事内容や事務系統についてご説明します。


国税専門官とは

主に以下のお仕事を行う立場を総称して国税専門官といいます。

国税調査官
納税義務者である個人や会社等を訪れて、適正な申告が行われているかどうかの調査・検査を行うとともに、申告に関する指導などを行います。

国税徴収官
定められた納期限までに納付されない税金の督促や滞納処分を行うとともに、納税に関する指導などを行います。

国税査察官
裁判官から許可状を得て、悪質な脱税者に対して捜査・差押等の強制調査を行い、刑事罰を求めるため検察官に告発します。

事務系統

上記は職務(作業)に着目した分類です。実際には、職員は専門分野別の事務系統に分かれます。

法人課税 文字どおり法人(主に会社)の調査等に従事します。税目でいうと、法人税、消費税及び源泉所得税がメインになります。このほか、酒税や揮発油税・航空機燃料税等の間接税の調査を行う部署もありますが、多くの職員は携わることはありません。

個人課税 文字どおり個人(事業者)の調査等に従事します。税目でいうと、申告所得税(譲渡所得税は除く。)や消費税です。個人の確定申告期間に合わせて、年明けから5月までは、確定申告事務に従事するため、税務署では基本的に調査を行いません。調査をガンガンやりたいという方は法人課税の方が良いでしょう。

資産課税 個人の資産に着目した調査等に従事します。税目でいうと、譲渡所得税、贈与税・相続税がメインです。そもそもの申告件数が少ない税目なので、比較的調査は少ないです。

以上の3つの事務系統に選ばれると、国税調査官を目指すことになります。

管理運営 窓口業務や申告書整理等の内部事務、国税債権の管理を行います。今の方は、税務署1年目は管理運営部門に配属され、全ての税目の内部事務を通じて国税組織の基本的な事務を学習することになっているようです。

徴収 国税債権の滞納整理等を行います。滞納になる理由は様々ですが、国税の支払に回せる資産がないかなどの調査を行います。この事務系統に選ばれると、国税徴収官を目指すことになります。

ちなみに、基本的なことですが、確定した税額を支払わないことを滞納といい、脱税とはいいません。脱税とは、確定税額を仮装・隠蔽により少なくみせることをいいます。

なお、国税査察官については、国税局の査察部に配属されない限り、なることはできません。全事務系統からの配属の可能性はありますが、税務署の調査経験がそのまま生きる法人・個人の方がなりやすいです。

事務系統の希望については、採用後に出すことになりますが、人気順は、法人>資産>個人>徴収となっています。一方、必要な人数は、法人>個人>徴収>資産となっているので、全員の希望が叶うわけではありません。また、事務系統は、一度決まったら定年まで変わることは基本的にありません

人気順について説明すると、以下のとおりです。

法人 国税局の調査部では、日本を代表する大企業の調査に従事できます。そうでなくとも、個人事業者より会社組織の方が何かとスマートなイメージがあり、印象が良いのだと思います。また、退職後の税理士業務を考えたとき、大は小を兼ねるで、法人税だけでなく、個人事業者の申告所得税もそれほど違和感なくやれるということもあるでしょう。査察がやりたいという人は、実はあまり多くありません。

資産 なんといっても退職後の税理士業務で最も有利ということがあると思います。資産税は専門性が高く、実務経験者でないと敷居が高いです。税額も大きく、ミスったときの賠償額も手痛いです。一方、資産税専門の税理士も少なくなく、効率的に稼ぐことができる点が魅力です。

個人 徴収よりは…という消極的な理由です。

徴収 基本的にはお金のない人から取り立てることになるので、借金の取り立てみたいなイメージを持っている人が多いことによります。

業務のキツさだと、どうでしょうか。個人的には、ノルマ的な厳しさがある法人が精神的なプレッシャーがキツいように思います。この点、確定申告事務の割合が多い個人や資産はそれほどでもないように見えます。徴収は泥臭そうなイメージですが、元々取れないもんは取れないということで、案外気楽という人もいました。税額も確定していて、そこから増やしてこいなんてこともないですしね。

法人の調査については、以下の記事(税務調査の話シリーズ)もご参照ください。

その他のお仕事

このほかにも、国税局や国税庁・財務省に出向すると、様々な仕事に従事できます。なお、事務系統は関係ありません。

国税局 訟務官室では、課税処分の取消事件等の訴訟案件について、被告である国側の立場から主張立証していく業務に従事します。

国税不服審判所 国税審判官は、訴訟に至る前の課税処分の不服申立てについて、中立的な立場から審査裁決を行っています。若手のうちは国税審査官と呼ばれ、審判官の指示・命令に従ってお仕事を行います。

国税庁 各種税務行政の企画・立案に従事するほか、国税庁が所掌する国際税務(移転価格税制の相互協議等)の実務等に従事します。

財務省 主税局において、各種税制の企画・立案業務に従事します。同じ企画・立案であっても、国税庁は執行面(効率的・効果的な納税制度とか)であるのに対し、財務省では税制そのもの(どうすれば公平な課税かとか)である点で異なります。

上級庁に出向するには

国税局であれば、そこそこの結果を出していて希望すれば、概ね行けると考えて良いと思います。一方、霞ヶ関の国税庁や財務省については、全国の優秀な職員から選ばれないといけないので、偉い人の目に留まるような結果を出さないといけません。若手であれば、専科研修で金時計を取るのが近道です。筆者と一緒に金時計を取った同期は、最初の異動で財務省に出向していました。金時計については、こちらの記事を参照してください。

その2のおわりに

国税専門官のお仕事について、一通りご紹介してみました。次回もお楽しみに!

次回に続く



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