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【公認会計士】IPOスキルアップ講座第3回受講レポート 〜東証審査の勘所〜

今回は、個人的にメッチャ刺さる内容でした!

テーマは次のとおりですが、教科書的な内容ではなく、パネリストの経験に基づく踏み込んだ意見が聞けました。

◆テーマ:業務プロセスの整備
・管理業務の充実 ・業務管理制度の構築(販売、購買、財務等の業務プロセスの確立) ・諸規程の整備
・人事制度の構築
・システム導入・変更に関する助言 ・情報セキュリティに係わるアドバイス ・関係会社の整理・企業再編
・アウトソーシング
・J-SOXへの対応
・内部監査制度構築

パネリストは次のとおりです。

東 陽亮氏
トーマツ出身。Game Withで取締役管理部長としてIPOを果たす。現在は、同社内部監査室長で、ほかにIPO準備会社3社の社外監査役。
尾下大介氏
トーマツ出身。弁護士としてNOTに在籍中、東証上場審査部に出向経験あり。
岩竹惇志氏
弁護士としてMHMに在籍中、東証上場部に出向経験あり。

それでは、レポートです!
※審査の話が多いですが、会計士として関与した際にアドバイスを求められたら?みたいな内容もあります。

規程整備

Game With
 設立4期目で上場。東氏は設立2年目にジョイン。当初は規程がまったくなかった。意識したこととしては、職務権限規程。業務推進とガバナンスのバランス。事業推進できる管理部でありたい、スピードを落としたくない。細かく作りすぎないようにした。
 一般的に社長は権限を下ろしたがらないが、社長業をしっかりやってもらうということを説明した。監査役などからもアドバイスもらった。
 自社固有の話として、広告審査のチェックフローを作成した。

東証審査
 リスク管理の実質面をみる。過去、審査で大量に落とした原因にもなっている。みんな雛形を使っているので、形だけは整っている。会社固有のリスクに対応した規程になっていないことが多い。自社固有のものがないか3つくらい考えてみよう。雛形にないものもあるかも。
 事後稟議や稟議漏れが問題になることが多い。最初の段階できちんとワークする規程を作っておく。作ったからにはきちんと運用する

内部監査

東証審査
内部監査をアウトソーシングするのはネガティブか?→大事なところは会社が握っておけばいい。新規上場ガイドブックのとおり。尾下氏個人としては、うまく活用したらいい。有能な人に教えてもらいながらやっていけばできるようになっていくこともある→独立会計士が活躍するチャンス

法令遵守

東証審査
 細かいところで落としてるのはあまりない。東証審査は法律の素人も多いので。よく落としてるのは、ビジネスの根幹に関わる法令。許認可が取れてないとか、このスキームだと当局に目をつけられるとか。
 ネット広告だったら消費者向けの広告が景表法に違反してないか、ネットで公開している利用規約が消費者契約法に違反していないか。
 顧問弁護士がokでも…社長の顔色伺っている場合も。革新的なビジネスはグレーゾーンになることもある。同業他社と比べてどうか。

責任限定契約

※社外役員就任に当たっての情報
 弁護士は、社外役員の就任を嫌がる。顧問になれないから。
 社外役員の責任はどこまでか。そもそも定款に定めがあることが前提。契約書だけじゃだめ。限定の仕方としては、会社法のマックス(役員報酬2年分)にしておく。重過失があったら限定されない。リスク判断の誤りはまあ大丈夫として、リスク要因の検討を怠ると危ない。
 責任限定契約でヘッジできない場合、役員賠償責任保険でヘッジできる可能性も。就任する場合は検討してみては。

労務管理

東証審査
 規程は守っているけど、厚労省のガイドラインを見落としているケースがある。結果的に労基法を破っていることに。形式は整っているけど、実質で落ちるケース。よくあるのは次の2つ。
 固定残業代。就業規則にあるないの問題ではない。制度が有効に運用されているかどうか。払われる方が残業何時間でいくらもらっているか認識できていないとダメ(最高裁判例)。基本給がいくらで残業代がいくらで何時間分か、給与明細に書いておく。超えた部分を払っていないことも多い。
 管理監督者。本当に管理監督者か。実質的に見たら該当しないこともある→未払残業代の問題。判断基準は厚労省のガイドラインがある。3つのポイント。①責任・判断が経営陣と一体か、人事権があるか。②給与水準は適正か、残業代がないせいで職位が下の人と逆転していないか。③労働時間、残業するしないの裁量はあるか。規程だけではなく、実際にそうなっていることが必要。全社員の2割以上管理監督者だと危ない。

システム導入

Game With
 勘定奉行でずっと変えていない。フルリモートで耐えうるものにしていきたい。現状紙のエビデンスが多い。ワークフローや勤怠の業務ごとに色んなソフトがあるが、相性とかどうしているか→API連携で効率化している。
 ERPを構築しても、業務が変わって使えなくなった例も聞く。変化に対応しやすいように、少しずつ導入していくのが良いのでは。
尾下氏
人事労務周りのシステム、組み込んでおくことで法令遵守になるのがいい。残業時間のアラートとか。

情報セキュリティ

Game With
リモートワークに当たって、PC貸与。社内フォルダのアクセス権限を見直した。
東証審査
 実質の部分。個人情報の少ない会社と多い会社で対応は異なるはず。病歴などのセンシティブな情報を外部に持たせちゃって大丈夫?必要に応じて専門家を雇うことも。
 インサイダー情報。情報管理。何がインサイダー情報か。問い合わせ部署を規定に入れておく。情報に触れたときに次にどうすればよいかが分かるように。

グループ会社

東証審査
 100%子会社じゃないとダメ?→100%じゃなきゃいけないということはない。ただ単に審査質問しているだけなのに都市伝説化しているのかも。東証との関係では理由が説明できればよいが、主幹事証券によっては目線が異なるかもしれない。
 M&AはN-1期から止めるのが通常だが、そうでない事例も少ないけどある。内部管理と業績の問題。申請期に買うと、子会社管理の整備ができないかも。規模が大きくなくてきちんと管理できていればいい。業績に大きく影響するとダメってことは主幹事証券によってはあるかも。

アウトソーシング

Game With
給与計算は社労士に委託し、社内で結果のチェック。税務申告書も同様に外部委託。法令改正に対応するため。ただ、丸投げすると怖いので、自分も勉強して分からないことがないようにしていた。

内部監査

東証審査
雛形で監査していると、自社のリスクに合っていないケースも。
東氏
会計士がアウトソーシングで入った場合、社長に迎合したたら価値がない。意見を言って欲しい。
尾下氏
弁護士に比べると、会計士はリスクアプローチや財務諸表の知見があるので、メリハリを付けて監査できるのが強み。

以上!

おわりに

尾下氏の踏み込んだ意見が多くて参考になりました。講座の中で宣伝されていた別のセミナーはこちらです。

東海東京証券株式会社(主催)
CrossOver法律事務所(共催)
株式会社オービックビジネスコンサルタント(共催)
日程 2021年 03月 04日
17:00~18:10 (受付16:45~)

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残念ながら、個人資格の私は参加できませんが、IPO準備会社に在籍されている方は、とても参考になると思うのでご検討ください。

※勘定奉行の営業勧誘を受ける可能性があります。

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